スペインで、友達から "Gracias!" と言われた時、"De nada." 以外の言葉を返したことがあるだろうか?
「いえいえ」「いやいや」「全然いいよ」「大したことないよ」「とんでもない」「お気になさらないでください」「お役に立てて光栄です」
日本語に「どういたしまして」のバリエーションがあるように、スペイン語にも『De nada. (デナダ)』以外の表現がたくさんある。
今日は、その紹介と使い分けを。
【特に使用度が高い5フレーズ】
① (Gracias) A ti.
スペインで最もポピュラーな返し。「誘ってくれてありがとう」「招待してくれてありがとう」の返事は "A ti." (こちらこそ、来てくれてありがとう。)。この場面で "De nada." と言うと、少し謙虚さに欠ける。「招待してやったぞ」とまではいかないものの…。"A ti." がベスト。
「いつもありがとう」
➡︎ "A ti." (こちらこそ、いつもありがとう。)
「色々ありがとう」
➡︎ "A ti." (こちらこそ、ありがとう。)
「すごい試合を見せてくれてありがとう」
➡︎ "A ti." (こちらこそ、観戦ありがとう。)
これ、好きなスペイン語のひとつ。
② No hay de qué.
友達に対して使うと「お礼を言われるようなことなんてしてないよ」「全然気にしなくていいよ」、フォーマルな場面で使うと「お礼に値しませんよ」「お礼の必要なんてありませんよ」という意味になる。
③ Un placer.
控えめな言い方。ありがとうって思ってもらえたことが自分の中で「喜び」だよ、と伝えたい時に使う。
これも好きなスペイン語のひとつ。
④ No hay problema.
主に、相手のために何かをする時、少しでも自分の時間を使ったり、努力が必要だった時の返事。大学でノートを貸してあげたり、勉強を教えてあげたり、預かりものをしたり。車で家まで送ってもらう途中に、友達から「一瞬、スーパーに寄って良い?」と聞かれ『もちろん良いよ!』と返し、お礼を言われた時も... "No hay problema"。
⑤ Está bien.
すごく小さなことに対してお礼を言ってもらった時に使う一言。「それで良いんだよ」「(好意として) 受け取っておいて」「当たり前」という意味。今浮かんだ例は、友達がレジで小銭をあまり持ち合わせていなくて2セント足りず、お札を出そうとしたから、自分が2セントを差し出し、「えーありがとう!」と感謝され「Está bien! (2セントくらいでお礼なんて良いよ!)」と言う場面。
【人間性が出る言い方】
① Me alegra poder ayudarte.
「役に立てて嬉しいよ」
② Sé que harías lo mismo por mí.
直訳は「君も僕 (私) のために同じことをするだろうからね」で、意味は『困った時に君も迷わずこうやって手を差し伸べてくれるだろう?だから良いんだよ』となる。
③ No hay porqué darlas.
「お礼を言われる理由がないよ」
④ Agradezco tu agradecimiento.
「その感謝に感謝するよ」
⑤ Hoy por ti mañana por mí.
スペイン人が使う「困った時はお互い様」。分かりやすく言い換えると、Hoy te ayudo yo y mañana me ayudarás tú, ¿vale? (今日は私が助けるから、明日は助けてね?おっけー?)。「明日」というのは本当に「明日」じゃない。いつか。
⑥ La amistad es esto.
「友達だろ」「友達じゃん」
⑦ No no, gracias a ti.
「いやいや、君のおかげだよ」
⑧ Por nada.
「どうってことないよ」
⑨ No es nada.
真面目なイメージ。本当に心から「何も大したことしてないよ。だからお礼なんて言わなくて良いんだよ。」と思っている気持ちが伝わる。
⑩ Nada nada.
「ええのええの」「かまんかまん」と、軽い感じ。
⑪ No te preocupes.
これを男子が言うとかっこいい。「どういたしまして」より「心配しないで」の方が包容力がある。ただ、どんな場面でも使えるわけではない。
❌プレゼントのお礼
❌楽しませてくれたお礼
❌レディーファーストのお礼
⭕️助けてあげたお礼
⭕️予定を女の子に合わせてあげたお礼
⭕️何かを奢ったお礼
⭕️レストランを予約したお礼
【仕事場なら…】
お客様や上司に対しての「どういたしまして」
① Con mucho gusto.
「喜んでさせていただきます」
② Estoy feliz de poder ayudarlo.
「お手伝い出来て嬉しいです」
③ Es un placer.
「お役に立てて光栄です」
④ Gracias a usted.
「こちらこそありがとうございます」
【ニュアンスの違い】
「ありがとう!」と言われた時の、
・Ha sido un placer!
・Siempre (es) un placer!
・Fue un placer!
それぞれの小さな違いは?
…
…
…
・Ha sido un placer!
➡︎ 行為が「今」、お礼を言われている「瞬間」まで続いている場合は、この "Ha sido" が一番自然に聞こえる。「今日は会ってくれてありがとう」「これすごく美味しい!作ってくれてありがとう!」「こんな素敵な場所に連れてきてくれてありがとう」の返しに最適。北スペインの一部や、南米では、過去の出来事に対して『現在完了』を使わない。だからそのエリアでは、"Fue un placer!" か "Es un placer!"。バルセロナでは上の3つのお礼のシュチュエーション、"Ha sido un placer!" と返す人がほとんど。
・Siempre (es) un placer!
➡︎ "Es un placer!" と、現在形を用いる時には『いつも』というニュアンスが必ず含まれる。「会いに来てくれてありがとう」の返事は、"Siempre es un placer (venir a verte)." と。これは、仲良しの友達と久しぶりに会った時のお決まりのフレーズでもある。"Siempre es un placer (verte)."。
・Fue un placer!
➡︎ 行為が「過去」のものであれば "fue" を。例えば「昨日の夜は招待してくれてどうもありがとう!」の返事。
【結局のところ】
"De nada." は、無難。スペインで一番使いやすいのは、"A ti."。現地での生活に慣れてくると、使う相手、場面によって上の表現が自然と使い分けれるようになる。
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