BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【第二言語習得における】真のギブアンドテイクとは。

私が思う言語の醍醐味は、ギブアンドテイク

外国語を習得すると「自己」の世界だけでなく「他者」の世界も広がる。

自分はこの世界に1人、他者は無数
➡︎ 自らが得る利益や幸せより、誰かに与える利益や喜びの方が何倍も多い。

第二言語学習者の多くは「ネイティブレベルに到達するメリット」として…

・良い条件の仕事に就ける
・資格を取得し、給料が上がる
・海外生活や旅行がしやすくなる
・友達が増える
・膨大な情報にアクセス出来るようになる

などを思い浮かべる。が、これらはいずれも自分の「利」であるため、ギブではなく、テイクと言えるだろう。

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【言語のギブとは】
インテルカンビオの決まり文句『日本語を教えるから、スペイン語を教えて』のような「言語交換」だけが言語におけるギブアンドテイクではない。

ギブ: 話せる言語が多ければ多いほど、たくさんの人に影響、新しい知識、情報を与えられる。社会貢献や、感謝される行い、仕事をすることも可能。要するに、ギブとは、〇〇語が話せるという大前提の元、誰かの役に立つこと。

テイク: 日本語には翻訳されていない有意義な講義や講演、本、論文から豊富な知識をリアルタイムで学ぶことが出来る。学問的視野が広がるだけでなく、ネイティブの友達や知り合いが増え、その土地へ「歓迎」してもらえるようになる。そうすると、身を以て文化や習慣を感じられる。自分が生まれ育った国の外でも通用する人間になれる。

 

最近、私が日常生活で使用する言語の割合は、スペイン語5.5割、イタリア語4.5割。(半年前は、7:3くらいの割合だった。) イタリア語しか話せない人と関わる時間が増えた。

【ちょっとした使命感】
1ヶ国語しか話せない人と会話をすると「日本人と話をしてみたかったんだ」と、嬉しそうにあれこれ話や質問をしてくれる。

彼らは、日本人と話したくても、

・共通の言語がない
・出会いがない

学生や、国際企業に務める人であれば、二言語以上話せたり、外国人と関わる機会があったりするが、そうでなければなかなか。

・年配の方
・地方在住の方
・外国人がいない学校や職場

そんな中、出会えた。

・共通言語 ➡︎ ある!
・出会いのチャンス ➡︎ あった!

「せっかくだからいっぱい話そうよ」

これまでにこう思えた相手のほとんどが、

ご近所さん。

バルセロナのピソでは、1階に住むおじいさんと週に2,3回、玄関近くの階段で立ち話をしていた。2階に住む60代のご夫婦とは、晴れの日に屋上の洗濯干し場で。

1階のおじいさんは、ペトリチョル通りでギャラリーを営んでいる。美術や文学にとても興味がある方で、立ち話にしては濃い内容 (日本の義務教育期間で習う美術や、文学作品、哲学、神道と水墨画の関連性など)。とても楽しかった。ご夫婦の方は、娘さんの旦那さんのご兄弟が東京で仕事をされているらしく、日本とスペインの治安・文化・習慣・仕事スタイルの違い、が主なテーマであった。

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カラブリアのピソでも、立ち話をする頻度が増えてきた。隣に住む50代後半の猫好きなおじさんとは、動物、写真、旅行の話を10分ほど。今日は、私が外で空の動画を撮っていると車で帰ってきた。空の色、対流圏の厚さについて話した。昼過ぎ、買い物から戻ると、裏に住む80代半ばのおじいさんが「久しぶりだねえ」と話しかけてくれた。彼も「若い頃から日本人と話してみたいと思いつつ、チャンスがこれまでに一度も無かったんじゃ」と語る一人。あっという間に30分。先日、ローマの教皇 (パパ) が、日本を訪問し、新天皇陛下と会った話から始まり、日本人がスペインやイタリアで働く難しさ、カラブリア生活の感想、1940年代のヤマモトと言う軍人。

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「言語が壁で...これまで出来なかった」こう聞くと、少し使命感を感じる。「これまで」が「数ヶ月」なのか「数十年」なのかは分からないけど、その時間と思いを「今」にギュッと凝縮出来るように、全てに応える。

【言語と知識と教養】
日本を離れて以来、幾度となく感じてきたこと、それは…

『対等に話をする』ため、

『相手に何かを教える』ために、

必要なのは言語だけではない。

知識・教養も、不可欠。

だということ。

上に挙げた会話以外にも、高校生の頃の自分では上手く答えられなかったであろうテーマについて、毎日話す機会がある。

相手に喜んでもらえたら、自分も楽しめたら、『これまでの学び』の価値がグッと上がる。そして、これからもいっぱい勉強しようと思える。

英語で『感謝』を意味する appreciate (アプリシェイト) には「価値を上げる」と言う意味もあるが、まさに。

 

【技術や文化も】
不自由なく現地の人とコミュニケーションが取れると、日本で得た技術を正しく伝えることも出来る。スポーツ技術、IT技術、医療技術、そして日本食、建築、書道、金継ぎなどの文化的なテクニックも。

【もうひとつのギブ】
まだ日本にない技術を海外で学び、自国に持ち帰ったり、日本語に翻訳されていない情報をスペイン語から日本語に訳して、シェアする行為は、言語のギブアンドテイク (例: 自分⇄スペイン人) の、もうひとつ上な気がする。反対方向にもGIVEが現れるような。

日本人⇄自分⇄スペイン人

あるいは、

Y人⇄自分(X人)⇄Z人 も可能。
(例: イタリア人⇄自分⇄スペイン人)

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海外生活中、幅広い年代の人と、たくさん話をした方が良い。せっかく「共通言語」と「出会えた縁」があるのだから、一対一で、時間を気にせず、ゆっくりと楽しい対話を。

【動画の和訳】
これからたまに、好きな講演のダイジェスト動画を和訳し、シェアしていく。主にスペインの著名人・教育者たちが、自らの「哲学的思想」を語る1時間が、5分前後にまとめられたもの。面白くて、つい見入ってしまうチャンネル ⬇︎

「聴く」を学ぶことが大切な理由 ⬇︎

「今を生きる」を学ぶ ⬇︎

偉人になるのに「天才」である必要はない ⬇︎

「幸せ」は存在しないが、毎日を幸せに過ごすことは可 ⬇︎

人生とは生きるのではなく、いかに記憶し、語り伝えていくか ⬇︎

「謝罪」は痛みを癒せるか ⬇︎

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