BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【生き甲斐〜IKIGAI〜】なぜこの言葉が世界で注目されるのか。

スペインの本屋さんや、バルセロナ大学哲学部の図書館で何度か「IKIGAI」という本を読んだことがある。どれも著者はスペイン人だった。

スペイン語生き甲斐は、

"la razón de vivir" = 生きる理由
"la razón de ser" = 〜である理由

と、訳される。つまりは

生きるのに値する価値

この一言を読んだだけで感動する外国人も多い。 

そして本の書き出しには、もれなく次の図が載っている。(日本語はさっき付け足したもの。)

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日本語の IKIGAI を理解するのに役立つとされているこの図。

これを見てどう思っただろう?

私は初めて見た時「肝心なアレがないじゃん」と直感的に思った。

『他者の幸せ』は?

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【〇〇甲斐の意味】
・努力に値する何かが得られる
・〜する上での心の支え
・〜する意味、理由、根拠
・時間をかけてしたことに意味を見いだせる

【〇〇甲斐があると感じる場面】
頑張って料理を作った甲斐がある。
 → 食べた人が喜んでくれた

これまで勉強してきた甲斐がある。
 → 自分はもちろん成果を喜んでくれている誰かがいる

ブログは書き甲斐がある。
 → 役に立てる、誰かの楽しみになっている、読んでくれている人がいる

暑い夏も練習してきた甲斐がある。
 → 努力が報われた

努力の甲斐あって社長になった。
 → 自分の頑張りには意味があった

働き甲斐がある仕事に就きたい。
 → 誰かに喜んでもらえて自分も楽しい

言語はとても教え甲斐がある。
 → 興味を持ってくれている人がいる

スペイン語は勉強し甲斐がある。
 → 役に立つ

掃除した甲斐がある。
 → 褒められた、綺麗さに自分が満足

言ってみた甲斐があった。
 → 何かが望み通りになった

節約した甲斐がある。
 → 努力のおかげで何かが手に入った

私は、現代の日本人が使う『〇〇甲斐がある』という言葉には、多くの場合『他者の幸せ』が関係していると考える。

その『他者の幸せ』は、

自分の趣味でも、社会のニーズでも、お金が稼げることでもない。

それなら、IKIGAI図のどこにいれるのがふさわしいだろう?「愛」と置き換えれるのか?

 

あれが示すように、

自分に利益があるから生き甲斐を感じるのか、
世界のニーズに生き甲斐を感じるのか、

…いやなんか違う。

そもそも図に表せれるわけがない。

自分の限られた命、時間を削ってでも、見たい笑顔

喜ばせたい人のために惜しむことのない努力

幸せと共に大きくなる守るべき存在

自分の経験が誰かの役に立てば…思う願い

目標を達成できた時の喜び

生きていて良かったと思える心

ありがとう、の一言で吹き飛んだ疲れ

無くなって初めて気付かされた生きる意味

このように日本語のIKIGAIは、

毎日の些細な小さな喜びや、

幸せから感じられる生きる意味であって、

「自分」の幸せと直接的には繋がっていないことも。

あの「IKIGAI図」は、二通りの見方ができる。

中心から外へ行くのか
取り囲む環境から核へせまるのか

…本来の概念に、色々な要素がつけたされて、その国ごとの解釈が生まれ、それに感動している気もするが、

 

正解はない。

「朝目覚める理由こそが生き甲斐」と言う人もいる。

「生きてて良かったと思う瞬間だ」と思う人もいる。

「ちょっと嬉しいことがあった時」と笑う人もいる。

無意識と意識の間に存在するこの「理由」のために、今日も私たちは何かを頑張ったのだろう。そして、明日からも頑張っていくのだろう。それは何かに対する愛なのだろう。

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脳科学者である茂木健一郎氏が2018年5月に英語で論考した『IKIGAI』という本が30ヶ国以上で出版されてから、最近また IKIGAI ブームが到来している。

翻訳された文字に収まらない、

文字から溢れ出る、

魅力いっぱいの生きた日本哲学

生き甲斐はこれまで生きてきた意味なのか、

これから生きる意味なのか、

はたまた過去と未来を繋ぐ「現在」なのか。

〜今日のつぶやき〜

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