2023年現在、バルセロナの人口はおよそ166万人。増加傾向にある。そのうちスペイン以外の国籍を持つ居住者は36万3576人。
市のデータ局が公表している最新データによるとバルセロナには、177国籍の移民が住んでいる。スペイン人に次いで2番目に多い国籍は、イタリア人。その数なんと6万6000人。ちなみに在日イタリア人は5000人ほど。
3番目: 中国人 (5万4000人)
4番目: パキスタン人 (4万8000人)
ホンジュラス人、フランス人、フィリピン人、モロッコ人、コロンビア人、ベネズエラ人、日本人、バングラディシュ人、ペルー人、ロシア人、アルゼンチン人が「多い国籍」の代表と言える。非常に国際的な都市である。
移民の大部分はバルセロナの街の中心部に集中しており、その数は現地の住民の人口を上回っている。
今日は『バルセロナの移民』について。
【イタリア人が多いの?】
この記事の冒頭で「イタリア人」の数が多いと述べたが、その多くはアルゼンチン、ペルー、コロンビアから来ている。イタリア人の親戚 (家族) がいることを証明してイタリア国籍を取得している南米人たちの数は、バルセロナに住むイタリア国籍保有者の3分の1を占める。エシャンプラや、サンマルティ、サリア、グラシアに多く住んでいる。
イタリア国籍は取りやすいらしく、私のモロッコ人、エジプト人の友人もイタリア国籍を有している「イタリア人」である。純イタリア人の数はどれくらいなのだろう。
蛇足だが、「イタリア」という国に対しては、国籍だけでなく、血が混じっているイメージがある。スペインとイタリアの両方に数年住んだが、ミックスの友達の数が多いのはダントツでイタリア。
【パキスタン人と言えば…】
私はバルセロナに来てからずっとカタルーニャ広場付近に住んでいるからか、パキスタン人と言えば「商業」のイメージがある。
中国人・パキスタン人
これらは代名詞となっている。「スペインの国旗ってどこで買えるかな?」『中国人のとこ (中国人のお店) に行けばあるんじゃない?』「この辺にパキ (パキスタン人のお店) ない?」
バルセロナの中心部の道を歩いていると、古い地元の店が外国人経営の食料品店になっている光景をよく見るだろう。パキスタン製品の多様性とパキスタン人の長時間労働がスペイン人の間で好評だった過去の栄光である。
パキスタン人の起業家精神はものすごく、バルセロナで自分でビジネスを展開しているパキスタン人の数は外国人の中でトップ。
バルセロナ自治大学で移民を研究している社会学者によると、バルセロナは伝統的に移民を受け入れやすい都市であり、起業家精神の育成において多くの機会に恵まれているようだ。
【中国人は…?】
バルセロナで中国人と言えば、「中華レストラン経営」ではなく「日本食レストランを経営している」イメージがある。あとは日本の100均のような「何でも屋さんを経営」しているイメージがある。パキスタン人に続き、国際的な人種かつ、働き者の印象をあちこちで受ける。中国人は、マリーナや、ベソスあたりに多く住んでいる。
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「〇〇人が多く住んでいるエリア」というくくりは興味深い。
コミュニティがしっかりしているからなのか、その国出身の人たちが住みやすい生活環境なのか。例えば、安いスーパーがあるとか、中古の服屋さんが近くに複数あるとか、はたまた高級な雰囲気が漂うエリアとか。
【日本人も多い?】
2022年のデータによると、バルセロナには2130人の日本人が住んでいる。女性が1271人、男性が859人。バルセロナの人口で見ると、日本国籍の人口は全体の0.1%にも満たない。観光客を除いて、住んでいるように見える日本人とはそうそうすれ違わない。ゴシック地区ではなく、もっと北のエリアに住んでいるのだろうと思っている。
【外国生まれの人口】
スペイン国外で生まれた人口の主な出身国TOP10は、
アルゼンチン (4万1097人)
コロンビア (3万6055人)
ペルー (3万4377人)
ベネズエラ (2万9763人)
パキスタン (2万5804人)
エクアドル (2万3878人)
イタリア (2万1976人)
モロッコ (2万745人)
ホンジュラス (1万9052人)
中国 (1万8097人)
【お祭りやイベント】
バルセロナには国際的なお祭りやイベントがたくさんある。日本のお祭りもある。
私は日本の「他国に染まらない和」の雰囲気や伝統がとても好きだが、当たり前に、身近に、各国の行事やレストランがあるバルセロナのグローバルな雰囲気も良いと思えるようになってきた。
【177の国籍のメリット】
177の国籍が交わる街に住むメリットとして思い浮かぶのは、
① 本場の〇〇料理が食べられる点
→ 中国人が作る中華、スペイン人が作るスペイン料理、インド人が作るカレー、イタリア人が作るパスタとピザ、日本人が握る寿司、韓国人が作る韓国料理などなど、挙げ始めるとキリがないほどの『多国籍料理』を安価で存分に味わえる。
② 〇〇県出身の友達が出来る感覚で世界中に友達が出来る点
→ バルセロナに住んでいる外国人の国籍の割合に関するデータを見ていた時、ズラーっと並んでいたTOP20の国名。それら20の国出身の友達の顔が浮かんだ。
③ 多様性や異文化の理解が深まる点
→ 活字で理解するのではなく、自分の生活の一部として、知らない間に理解出来るようになっている。
④「外国人」が全く珍しくない点
→ 外国人がたくさん住んでいる街では、「外国人だから」という対応をされない。甘く評価されることもなければ、特別に融通を利かせてくれることもない。スペイン人と同じように、人としてイコールな扱いを受けているように感じる。この同等な扱いは、バルセロナに住み始めて間もない頃、「厳しさ」や「難しさ」だった。今となっては『国際的に活躍する人材が育つには良い環境だ』と思う。日本や南イタリアのように「外国人」が珍しい地域にはどこか「外国人に対する特別視」が残っている気がする。良くも悪くも。
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