BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活8年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。2019年6月より、バルセロナにある大学入試専門のアカデミアGUIUのアンバサダーに就任。スペインへの留学・大学進学に興味がある方は、お気軽にご相談ください 😊🇪🇸 barcelonandoo@gmail.com

【ラウレア日記前編】イタリアの大学の卒論のテーマを決めた日

卒論執筆の第一歩を踏み出した【2020年12月20日】から卒業までの過程や心情を記録する『ラウレア日記』は、全三編。

前編: 卒論のテーマを決めた日

中編:?

後編:?

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論文を書き始めるまでの『過程』は、想像以上に難しかった。前代未聞の流れに戸惑い、複数の未知な概念にぶつかった。

【困った5つのこと】
① 卒論に取り掛かるタイミングが不明
イタリアは、自分で卒業式の日を決定することができる。1年に4-5回、卒業時期がある。スペイン以上に自由である。そのため、卒論を書き始めるタイミングもかける時間もバラバラ。

去年、1度 (2時間弱) だけ講習を受けたものの…「何単位を取得した時点で書き始めれば良いのか」「いきなり好きなテーマについて書き始めて良いのか」等、具体的な説明があったわけではない。私が知りたい情報は何一つ分からない2時間だった。

・字体
・文字のサイズ
・卒論は引用が重要であること
・構成
・卒論の最終章

肝心な…始め方は?

周りの友達に聞くと「まだまだ単位が取れてないから卒論なんていつのことになるやら」と言われ、事務室へ行くと「来年また卒業間近になったら聞きに来て」と言われた。

「間近」とは?

② レラトーレの存在
卒論を書く際、教授とタッグを組み、複数回チェックを受けながら書いていくことを知らなかった。しかもその教授に「私のレラトーレになってもらえませんか?」と、ラブレターのようなメールを書かなければならないことも知らなかった。

『早くレラトーレを選んだ方が良いよ!』『まだ選んでないの?KAEDEはもう単位ほぼ取り終わってるじゃん、早くしなよ!』と、クラスメイトたちから言われ続けてきた。

なぜ急ぐのか分からなかった。少しとは言え、まだ単位が残っていたし、アイデアが固まりきっていなかった。

しかし、イタリアでは『レラトーレ (卒論の担当教授) からテーマのアイデアをもらえる』らしい。だからみんな何について書きたいか分からなくても、とりあえず早くコンタクトを取る。

デパルタメント (人類学部系部署) に在籍するどの教授でも良い ⬇︎

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私は長い間、3名で迷っていた。 

第一候補: ロ・フェウド総教授
専門: 言語哲学、心理学、記号論

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第二候補: ファッダ准教授
専門: 言語論、意味論、記号論、社会意味論

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第三候補: モッロ教授
専門: スペイン語、イベロアメリカ研究、多言語表現分析、言語哲学

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授業を受けた時には知らなかった、教授の正確な専門分野、経歴、過去の研究、出版している本や論文をHPで読み、自分のジャンルをぼんやりと考えた。

悩みに悩み、二択に絞った。

・言語哲学
・意味論/記号論

正直なところしっくり来ていなかった。数ヶ月間、仕事をしながら、勉強をしながら、頭のどこかでいつもテーマを考えていた。良いアイデアが浮かぶ日を待った。

決めた。

③ テーマが定まらない
私は人一倍こだわりを持っていたのだろう。時間がかかった。必ず含ませたかった要素は次の5点:

(a) カラブリアでの縁
(b) 自分にしか書けない内容
(c) 言語哲学的要素
(d) まだ誰も着目していない研究
(e) 自らが追求したいと思える内容

④ レラトーレのdisponibilità
「disponibilità」は、日本語に上手く訳せないが、強いて言うなら一緒に卒論を書く教授の「空き状況」。自分で「△△教授にしよう!」と決めても、それが叶わないケースがほとんどだと聞いた。

Q. なぜ?
A. 忙しいから。

同時期に何人までOKしているのかは分からないが、すでに50人の卒論を担当していたら…もう手一杯だからと断られるだろう。教授は日中、授業を行なっている。卒論は、空き時間に時間を割いてもらうのだ。それゆえ、まずは1-2回、面談をすることもあるそう。

私が選んだモッロ教授は、大人気。しかも4歳くらいのお子さんがいるため、卒論を彼女と書くのは難しいという噂が流れていた。実際に断られた話も聞いた。

Q. 断られた場合はどうなるのか?
A. 違う教授を当たってみなければならない。またダメなら、また別の教授を。それでもダメなら、空きが出るまで待つと言って予約をするか、さらに他を当たるか。

「一か八か書いてみなよ!」

こういう大事なイベントに対して『一か八か』は、嫌だった。OKがもらえる確信が詰まったメールを書いた。(モッロ教授は、アルゼンチン人=スペイン語でも話せる。)

自信があった3つの理由:
・彼女の母語、スペイン語で書ける
➡︎ みんなはイタリア人だからイタリア語だが、私は母語でコミュニケーションが取れるから有利だろう。

・彼女の専門分野を新しい角度から研究したい
➡︎ モッロ教授とコンタクトを取る生徒の多くは、だいたい「スペイン語」や「南米の歴史」に焦点を当てるが、私のテーマは、彼女の1番の専門〇〇〇〇。

・心を惹く研究を2つ提示した
➡︎ 何について書くか決まっていない状態で「あなたと一緒に書きたいと思っています。一度面談をしていただけますか?」という生徒が多い中で、自ら面白い案を2つも提示すれば、相当プラスに見てくれるに違いない。教授の時間やエネルギーも極力、使わない。

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2020年12月20日(日)の夜10時20分に送信した。このメールを以って、カラブリア大学卒業論文のテーマが決定した。

 

翌日の月曜日の朝、

親愛なるKAEDEさん、非常に興味をそそられる面白い研究を2つも提示してくださりありがとうございます。最初に挙げてくださっている〇〇〇〇、この比較を行なっている論文や発表は過去に読んだことがありません。最高に興味があります。私を選んでくれたことはもちろん、これから素晴らしい論文を残してくれることに心から感謝いたします。ぜひよろしくお願いいたします。私の携帯番号を載せておきます。

つい先日、〇〇〇〇に関する新たな本が出版されたところです。お送りいたしますので、ぜひ読んでみてください。

嬉しいお返事と、711ページにも及ぶ分厚い本が届いた。

論文の内容も、鍵となる〇〇〇〇も、まだ公には書かない。2021年夏に『ラウレア日記』後編の中で。

【困った5つのこと】の最後、

⑤ 申請書の存在
➡︎ 少なくとも卒業の6ヶ月前までに、大学へ『MODULO DI RICHIESTA ASSEGNAZIONE TESI (論文割り当て申請書)』を提出しなけばならなかった。

いちいち説明をしなくても分かるだろうレベルの「イタリアの大学の当たり前」だった。こういう常識に直面するたび、苦労をする。

「この申請書はどこでもらえるのか」からスタート。モッロ教授に『論文を書く前に何か行うべき事務的な手続きはありますか?』と聞いてみた。すると、

Querida Kaede,
Creo que te conviene escribir a la secretaría porque tienes que rellenar la solicitud y mandármela en pdf de manera que yo pueda firmarla.
Un saludo cordial y hasta pronto,
 (記入して提出すべき申請書があるから事務室に問い合わせると良いですよ。その紙に私もサインが出来るようにPDFで送ってください。よろしくお願いいたします。では、また後ほど。)

すぐに事務室へ質問をした。返信 ⬇︎

Gentile studentessa,
il modulo di richiesta assegnazione tesi deve scaricarlo dal sito del corso di laurea al link modulistica. Il modulo, compilato e firmato sia da lei che dalla sua relatrice, dovrà inviarlo a questo indirizzo mail.
Cordiali saluti

(ネットに申請用紙をダウンロードするページがありますのでそこから取得し、記入し、署名をし、教授へも署名を頼んでください。そして、完成したものをこちらのメールアドレスまでお送りいただければと思います。よろしくお願いいたします。)

カラブリア大学の公式HPには、たくさんの該当フォーマットがあり、どれがどれか分からない。これだろうと思われるWordをダウンロードし、PDFに変え、事務室に正しい形式のものか確認。

そちらではございません。こちらです。

レラトリーチェとなるモッロ教授にもサインをもらい、

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事務室へ送り、

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どうにか公式な手続き完了。

【お役立ち情報】
1. 180単位 (180CFU) のうち、150単位くらいを取得した時点で卒論準備を。

2. 自分から動き始めないと、いつまで経っても合図はない。

3. まずは書きたいジャンルと関連性のある教授 (男性: レラトーレ・女性:レラトリーチェ) を選び、コンタクトを取る。一人で書くものではない。随時チェックを受けながら書き進めてゆく。

4. OKがもらえたら、申請書に関する情報を集める。

5. 申請書は、卒業したい日の6ヶ月以上前に提出すべき書類。

6. 1教科分の単位がある『PROVA FINALE (最終試験)』は、卒業式の日に受ける試験。いつもは、教授とマンツーマンで口頭試験だが、この最終試験は、数名の教授を前に1人で臨む。自分の研究内容に関する質問を約20分される。この試験に合格した瞬間が卒業式。一瞬。ここで発表される点数 (1年次から最終試験までの総合的な点数) が、イタリアでは非常に重要で、就職の際、履歴書に明記する数字となる。

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