2020年5月21日(木)。今学期も終盤となり、来月行われる期末試験の話がだんだん飛び交うようになってきた。
私は、言語学と翻訳学にフォーカスを当てている学部に在籍しており、卒業前の総まとめとも言えるこの試験の第一審査は「翻訳 (筆記)」がメインとなる。(筆記を突破した生徒だけが、二次の口頭へ駒を進めることが出来る。そこで合格すれば晴れて単位取得…という流れ。)
翻訳が確定している科目
・イタリア語 ➡︎ 英語 (120分)
・英語 ➡︎ イタリア語 (30分)
・ルーマニア語 ➡︎ イタリア語 (120分)
・スペイン語 ➡︎ イタリア語 (120分)
・英語小論文 (60分)
・ナワトル語 ➡︎ スペイン語 (75分)
・ナワトル語分析 (30分)
・ルーマニア文学史 (120分)
・ロマンス語 (120分)
入学して間もない頃、『第一言語: スペイン語/第二言語: 英語』を選択した頃、ナワトル語やロマンス語やルーマニア語までやるとは思ってもみなかった。しかも結構、深く…。
この記事の本題は、コロナの影響で新たに導入されたハイテクな筆記試験。
私は「自宅から」と聞いた時、みんなで一斉にスタートして、終わったら解答用紙の写真を撮って教授に送るんだろうなーと思っていた。2時間に渡る試験が多いし、まさか1人ずつビデオ通話で監視しながら行うことはないだろう、と。…詳細が送られてきた。
携帯電話を背後に固定し、パソコンで受験。
【この方法のすごいところ】
① 3種類のアプリケーションを駆使する。
➡︎ Exam.net (試験をオンラインで提供するプラットフォーム) を介して行うが、指示を聞いたり、問題を見るのは、普段の授業で使い慣れている Microsoft Teams (マイクロソフトティームズ) または、Google Meet (グーグルミート)。背後から自分の様子を映すのは携帯電話で、これには Zoom (ズーム) というアプリを用いる。
よく考えられている。監視出来るだけでなく、インターネットを使った不正を防げる。
② 全員がパソコンを持っている前提。
➡︎ オンライン授業に切り替わった時にも驚いたが、生徒が全員パソコン (またはタブレット) を持っているのはすごいこと。Wi-Fiやインターネットの環境にも恵まれているし。(イタリアは、インターネットの料金が安い。100GBで10ユーロを切るくらい。)
③ Exam.net の機能。
➡︎ 試験中に他のWEBページを開くことが出来ないセキュリティーシステムが付いているらしい。
* 開始10分前に1人ずつビデオで個人認証を受けるみたい。身分証ではなく、学生証を使って。
【イメージ図】
角度や固定などの丁寧な説明を受けた。
【卒業まであと何単位?】
183単位中、あと33単位+卒論。成績表には、全ての試験が載っていない。⬇︎ を見ると残り4科目 (黄色マーク) だけど、実際には口頭も含めると軽く10試験を超える。だからまだ卒業にリーチがかかっている感じがない。
【卒論のテーマ】
まだ迷っている。タッグを組む教授を誰にするかも、まだ迷っている。ナワトル語特有のディフラシスモという修辞法 (文章を豊かにする表現) が、あまりにも哲学的で。日本語や中国語の漢字の概念とどこか似ていて。いっとき「これでいこう!」と思っていたが、…しっくりこず。
【おまけ】
ディフラシスモは、比喩表現みたいな、漢字の組み合わせみたいなテクニックで、
「体」を表すのに「手ー足」
Noma nocoxi (noma=mano/nocxi=pies)
「町」を表すのに「水ー丘」
In atl in tepetl (in atl=agua/in tepetl=colina)
「詩」を表すのに「花ー歌」
Xóchitl in cuicatl (xóchitl=flor/in cuicatl=canción)
と、2つの単語からひとつのモノや概念を表現する。興味深く、面白い。
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