スペインとイタリアの大学では、期末試験の形態が違う。
ということは無論、点数を取るための勉強法もノートの取り方も違う。
⚠️ あくまでも私のノートの取り方。
【スペインver.】
スペインの大学は「筆記」タイプである。真っ白のコピー用紙を数枚渡され、そこに自分の知識と論理を展開していく。だから頭の中できっちり内容を分類・整理しておく必要がある。ひとつの概念を曖昧なまま放っておくと、何も書けない。それっぽく書いたとしても、一貫性と説得力の無さで点数は取れない。
だから視覚的な勉強法を用いている。文章で教授の言葉を書き連ねるより『図解』の方が概念と概念を関連付けやすい。
A4の白紙に小さな字で裏表びっちり2-3枚書くために必要な力は、1を10にする力である。テストのお題が、
カントの『純粋理性批判』という作品について。
だったら、どう内容を広げていくか。
➡︎ 核となる主張と意味について述べた後にその主張を批判する、例を用いながら各概念を解説、簡潔に作品全体の要約、彼の考え方がよく分かる文をいくつかピックアップ、問題点、同時代の哲学者、影響を受けた&与えた哲学者、真反対の立場にいる哲学者、ドイツ観念論や認識論などの思想をリンクさせる。
この「書く」難しさについては別記事を ⬇︎
【イタリアver.】
イタリアの大学は、教授とマンツーマンの「口頭」試験。基本的には何十人もの生徒に見られながら喋り続ける。ほとんどの試験は、次のように始まる。
〇〇について話してもらおうか。
先週受験したテストで実際に言われたいくつかの質問を、口調もそのまま書いておく。
「ナワトル語の音声学について。どうぞ。」「ナワトル語の文法における "Saltillo" とは?」「ディフラシスモの意味と例をいくつかお願い。」「スペイン語の "hecho" という単語がどうやって派生したか、全プロセスを教えてちょうだい」「イタロ・ケルト語派の歴史と特徴について。」「じゃあ...初期の機械翻訳の問題点と計算言語学について。」「OmegaTで翻訳をする時のパソコンの画面について説明してくれるかな?」「Javaのデメリットを挙げるなら?」
このスタイルの試験において最も難しい点は、一問一答で回答可能なところ。『〇〇のデメリットは?』と聞かれると「〇〇です 」と答えれてしまうところ。...シンプルなひとつの質問に対して3分以上、話し続けるのが非常に難しい。
スペインと同じノートの取り方をしていると、...1分も持たない。だから私は授業中に教授のセリフの中から要点と思われる箇所を文で残す。そして、テスト前に『展開』を一度以上音読する。話す練習をする。
テスト週間の図書館は、異様。みんな小さな声でブツブツ言っている。イメージトレーニングをしている。下の写真のように、予想問題を作ってみることもある。黒字が問題で、赤字が核となるアイデア (ヒントのようなもの)。
単位を取り続けるうちに公の場で話すのが得意になった。ワンツーマンは、余裕。1対3であっても堂々と話せる。この会話力+コミュニケーション能力がイタリア進学で得られる最大のスキルかもしれない。
【あとがき】
今日はノートの取り方にフォーカスを当てて書いたが、今まで違いを意識したことはなかった。1本前の記事のコメント欄にリクエストをいただき、初めて自分のノートを客観的に見てみた。すると、次のような特徴があった。
スペイン: 視覚的かつ奥深い勉強法
イタリア: 文章的かつ横に広い勉強法
勉強をする国と共に変化する「まとめ方」は、その土地の試験スタイルに影響を受けている。2校の同じ学部に在籍しているわけではないので、授業形態の比較は、しかねるが、各大学の『教授』のイメージは以下の通り。
バルセロナ大学哲学部
➡︎ 本1冊を片手に来てひたすら前を向いて頭にある内容を口頭で説明する。
カラブリア大学言語学部
➡︎ パワーポイントや教科書を見ながら説明する。
おすすめ記事: