教育の質が高いことと、生徒の勉強意欲が高いことに関してはもう記事にしているので、今日はそれ以外の「スペインの大学進学を選んで良かったな」と、思う要素を。
【① クラスメイトの論理力が高い】
授業中、質問や発言をする場面が度々ある。どの子も、落ち着いて穏やかに物事を述べる。が、その言葉には説得力がある。筋道を立てて、論理的に意見が言えているからだ。文の構造が上手い。そして「ありきたりな回答」がない。イントネーションや語彙だけでなく、発想や着目点も外国人の私にとっては、刺激的。良い勉強になる。言語学習においては「聞く力」より「話す力」が大切。口ではなく、耳から始まる。友情も信頼も。相手を納得させるより、相手を理解しようとする心。
【② 楽に勉強出来る】
これは、学ぶ心地良さと雰囲気の違い。
日本人ばかりの空間
スペイン人ばかりの空間
日本だと変な気を遣うことが多い。みんなで同じ行動をしないといけないような、規律から1mmもズレることがないような、ちょっと秀でいる分野がある人は崇められるような、気遣いが本心を阻むような。
スペインの大学は、周りを気にせず、自分のペースで色々なことが出来る。髪型も服装もみんな違う。同じ空間で同じ内容を学んでいるのに、学びにも『個性』が出る。良くも悪くも、日本は時間が一方向にしか流れていない。
【③ 1の内容で10学べる】
日本の大学の授業風景は一度も見たことがないため、スペインと同じなのかは分からない。だからこの項目では、高校の授業とバルセロナ大学哲学部の授業を比較する。
大学には、教科書が存在しない。参考書も使わない。じゃあ、どうやって授業をしているのか。➡︎ 偉人や現代の学者さんたちの作品や本から学んでいる。
教授 (先生) は、パワーポイントを書いてあるまま読み上げない。何かを読むのではなく、アドリブ。臨機応変。パワーポイントを使って授業を進める教授は、10人中2,3人。(学部による。) 哲学部は、毎回『手ぶらで授業をしにくる教授』と『偉人の書き残した本を1冊だけ持ってくる教授』が多い。自らの言葉で説明をするため、解説は非常に分かりやすい。その表情と言葉から、知識が豊富であることが十分伝わってくる。
1冊の本に対して、10人の哲学者を関連づけてあらゆる視点から分析する。1つの概念を、10の視点から浮き彫りにする。1つの説から、新しい10の可能性を生み出す。
【④ 時間の使い方が上手くなる】
とにかく忙しい。常に新しいことを学び続ける。朝9時から夜9時まで大学で勉強するのはフツウ。家は寝るためだけの場所。
1日は24時間
この決まった時間をどう使うか。スポーツ、勉強、仕事、料理、掃除、友達との時間、したいことを全部するには「配分」と「集中力」がとても大切。
忙しい大学生活は、充実感で満ちている。そして、自然と上手く時間を使えるようになる。バルセロナ大学に限らず、世界大学ランキングで上位にきているスペインの大学の生徒は「切り替え力」がすごい。
【⑤ 普段から多くの力が身につく】
毎日の授業や定期テストを通して学力以外のスキルも身につく。
・筆記力
・説明力
・論理力
・公で話す力
・チームワークを高める力
・レトリック (言葉を巧みに操る力)
・好奇心を高く持つ力
・語力 (カタルーニャ語/英語/仏語/ラテン語等)
・集中力
・アイデンティティを重んじる力
文系の学部の単位を得るための試験 (中間テストと期末テスト) は、筆記力がほとんど。たまに、プレゼンやレポート提出も点数の一部になる科目もあるが、基本はA4の白紙の紙にひたすら導き出せる答えを書き連ねていくスタイル。だから書く力がとにかく伸びる。それに併せて、論理的かつ簡潔に自分の考えを文字に表す力。
理系の学部でも、プレゼンをする。小さい規模の授業では、自分で作成したパワーポイントを用いながら、クラスメイト20人〜30人の前で発表。大人数であれば、3人グループを組み、50人を超える生徒の前で話す。イタリアの大学の比べ、スペインの大学は「個人」で学ぶ雰囲気を有している。友達を数人誘って、みんなで図書館で勉強をすることは稀。しかし、授業中は「団体」を感じる。クラスメイトと協力して答えを求めたり、教授が挙げた定義に対してパッと賛成派意見・反対派意見を考え、隣に座っている人とシェアしたり。プレゼンもグループでするとなれば、事前に何度も意見を交わし、練習をして臨む。バルセロナのスペイン人は特に、アイデンティティを重んじる力を持っている。相手の思想・その人らしさを寛大に受け入れる。国籍・支持する政党・宗教・学歴・職種・価値観。
【つぶやき】
スペインの大学へ進学して良かった。今思えば、入試はウォーミングアップ、大学合格はスタート地点の見定め、大学生活は、エネルギーチャージ。走り出すスタートは、もう一歩先。
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kaedetaniyoshi
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