BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【コロナ禍に関空着】海外からの帰国者が空港の外に出れるまでの全過程

今日は、イタリアからアムステルダム経由で関空に帰ってきた時の体験談をシェアする。14日間の隔離生活を無事に終えた今だからこそ話せる帰国日の一部始終をここに。

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⚠︎ この記事は、2020年8月9日に書かれたものです。2021年4月1日の最新バージョンは下の記事をご覧ください。

【関空に到着するまでの旅路】
私は2020年7月末、ミラノのマルペンサ空港 (MXP) から、アムステルダム (AMS) のスキポール空港経由で大阪関西国際空港 (KlX) へ戻った。結論から言うと、アムステルダムから大阪へ向かう長距離飛行機に乗り込むまでは、何もかも『いつも通り』だった。若干、利用客の数は減っているが、それでも多くの人がヨーロッパ国内を行き来しているし、電光ボードにキャンセルになったフライトはひとつも見当たらなかった。

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オランダで行ったEU出国審査。感じの良いお兄さんに滞在許可書とパスポートを見せると「家族に会いに帰るの?」と聞かれた。『そう』と返すと、笑顔でスタンプを押してくれ、その足でゲートへ向かった。スーツケースを預けるチェックインカウンターでもコロナ関連の質問はされなかった。

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短距離の機内 (ミラノからアムステルダム) では、いつもの軽食 (サンドイッチ) とドリンクのサービスを受けた。スキポール空港のお土産物屋さんは、値引き商品で溢れていた。美味しいバタークッキーもオランダ名物ストロープワッフルも半額以下の値段で購入出来たのだが、...2ヶ月半後に迫る賞味期限を目にした瞬間、経済が心配になった。

 

関空への長距離便に乗っていたお客さんは、400席以上あるのに、たった40-50人。離陸後、すぐに500mlのお水が配られ、それから少しして温かい食事が出された。普段は、到着までにもう2回 (夜+朝) 出るが、今回はこれのみだった。朝ごはんは、寝ている間にパウチの袋にあれこれ詰まっていた。

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・みかん2つ
・ワッフルクッキー2枚
・コーラ1缶
・お水500ml
・フルーツ入りシリアルバー
・チョコチップマフィン
・チーズ
・クラッカー
・その他、お菓子

飛行中、CAさんと乗客の接触は、必要最小限。誰かがボタンを押した時くらいだった。飲み物は、自分で後ろに取りに行くのみ。

【初めて書く2枚の紙】
「携帯品・別送品申告書」以外に、2枚の紙を書いた。

① 健康カード (左下)
➡︎ 帰国後、14日間の滞在期間と滞在場所を記入 (PDFはこちら)

② 質問表 (右下)
➡︎ 過去14日間に、感染拡大が懸念されている地域へ立ち寄ったかどうか、個人データ、関空に到着する便名、座席番号、日本での連絡先 (必ずコンタクトが取れる電話番号)、簡単な健康アンケート、空港から滞在先までの移動手段についてなど。(PDFはこちら)

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最近は、LINEで、保健所からの健康確認を受けられるらしい。その方が自宅に電話をもらうより楽だと思い、《LINEを希望する》にチェックを入れていた。しかし...。後から『日本の電話番号で登録してあるLINE』以外は不可だと指摘され...「では自宅の固定電話にお願いします」と言った。この時期に帰国する大半の人は、海外の番号でLINEのアカウントを持っているだろうに...。

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12時間のフライト。体感は3時間。

【海外からの帰国者】
ほぼ定刻の午前10時50分、関空に到着。飛行機が止まるまでの間、聴き慣れないアナウンスが流れた。

「これから検疫官が機内へ参り、日本語のみで皆様へ一連の説明をいたします」

検疫官の男性にマイクが渡った。

「コロナの感染拡大を受け、PCR検査を全員に行います」「確実に連絡が取れる電話番号を記入してください」「PCR検査や入国審査のあたりでビデオカメラやスマホで撮影は禁止です」...想定内の内容が続いた。しかし、飛行機を降りる順番が細かく定められていたとは...。

順番を簡潔に ⬇︎

① 小さなお子様連れまたは妊婦さんで、公共交通機関を使わずに『自宅』へ戻る方

② 小さなお子様連れまたは妊婦さんで、公共交通機関を使わずに『ホテル』へ向かう方

③ ビジネスクラスで、公共交通機関を使わずに『自宅』へ戻る方

④ エコノミーで、公共交通機関を使わずに『自宅』へ戻る方

⑤ 自宅ではなく『ホテル』に滞在予定の方

私は、④だった。本来であれば、南と北のターミナルを繋ぐウイングシャトルと呼ばれる無人運行の電車に乗るのだが、現在は工事中なのか、コロナの影響なのか分からないが、使えなかったので、...ターミナルの端から端まで10分強歩いた。

ずらーっと等間隔で並べられたパイプ椅子が見える通路に差し掛かったあたりで、担当者が向こうの方から近づくことなく「前から順番にお座りください」と声を張った。

順に機内で書いた紙を軽く見せ、咳や熱はないですか?体調は大丈夫ですか?どこの国からお帰りですか?の三問に二言で答えた。次の場所で記入内容をじっくりと見られるらしい。

そして、入国審査を行うエリアへ向かった。海外からの帰国者仕様になっており、小さなテーブルの前に受付係のような2名の女性スタッフが座っている。1人1人そこへ行く。

・どの国から来たか
・空港からどうやってどこへ行くか
・PCR検査の結果を聞かずに自宅へ帰るか

『PCR検査の結果を聞いてから空港を出れる』という選択肢があることを知っていたため、今日もそれが可能であるか質問をした。「大丈夫ですよ、では本日は結果を聞いてからご自宅へ戻られるということでよろしいですか?」『今日中に結果は出ますよね?』「はい」『では、それでお願いします』

いよいよ、PCR検査へ。

病院のような一室に案内され、待合室で検温後、試薬が入ったプラスチック製の入れ物をもらった。待合室には、自分ともう1人 (家族なら1組)。

検査の部屋に入ると、防護服を着たおじちゃんが、ユーモアたっぷりの説明をしてくれた。肩の力を抜く必要があったからだろう。インフルエンザの検査と似ているらしいが、私は受けたことがない。

「プールで泳いでいる時に鼻に水が入ったことはある?あの感じに似てるよ。ちょっとツンとする程度よ。」

壁に貼ってある写真通りに、鼻をマスクから出し、やや上に向き...。

鼻咽頭の奥に長い綿棒を差し込まれた。めちゃくちゃ痛かった。鼻血の手術の麻酔よりも痛かった。私の前に、5歳くらいの男の子がいて、全然泣いてなかったから...油断をしていた。…涙目で部屋を後にし、これから入国審査を受ける人たちが集まる場所へ移動した。

約10人が、1m以上ずつ離れたパイプ椅子に座っていた。Wi-Fiを使いながらメールを返したり、家族に連絡をする時間があった。

1グループ14人だったようで、14人になると「では、入国審査を受けていただきます」と、観光ツアーのようにお兄さんに案内された。

入国審査は、全員機械で受けた。入国印が必要な人はスタッフに話しかけるという、自動化ゲートと同じシステム。私は顔写真のページを開いたパスポートとバッグ1つ+オランダで買ったお土産を左手に、もう1つ重いバッグを右手に持っていた。前の人と間隔を取りながら歩き進むと、その入国審査の機械の手前に、消毒液を持った女性が数名見えた。

手の消毒か。パスポートを一旦、バッグに入れて、右手の荷物を全て左で持とう。

と、思い、急いで持ち替えをし、右手を差し出した。下に何滴も落ちるほど、しっかりとしたワンプッシュ…。

しかし、左手が荷物でふさがっており、どうにも両手をこすれる状態ではないことに気づいた。一瞬荷物を靴の上に置いて、とりあえず消毒を手に馴染ませようとした。すると、1人の女性スタッフが「早くしてください」と真顔で冷たい一言を口にした。大して混んでもいないし、その人の前で数秒立ち止まっていたわけでもないのに。足を動かしたまま一瞬で通過して欲しかったらしい。思いやりが1mmもない対応に呆れた。

そこから先、最後の検査結果を聞くまでは、先ほどの14人+スタッフ2名と一緒に行動をした。

全員が入国審査を受けたのを確認後、やっとスーツケースとご対面。ベルトコンベアは1箇所も動いておらず、既に全便の荷物はスタッフによって綺麗に並べられていた。

自分の荷物を取り、申告書を出口で渡し、到着ゲートを出た。誰もいない。立っている迎え客はゼロ人で、シーンとした雰囲気。電光ボードに目をやるとそこには「欠航」の文字が並んでいた。

14人が揃うと、エレベーターで2階に上がり、コンビニへ行った。お昼ご飯を買う時間。

ホテル代と同様、全て自腹で、おにぎり3つと、アイスコーヒーと、烏龍茶を2L買った。

それからまたエレベーターで1階に下り、検査結果が出るまで過ごす「待機室」へ。自分を含め、大荷物で帰国している人が多く、数名は手荷物カートを押していた。

2名のスタッフは、片方が先頭を、もう片方は最後尾を歩いていた。彼らの仕事はあくまでも「案内」なのだろう。走り回りたい時期 (2歳くらい) の、小さな子を1人で連れている且つ、大荷物でカートを押している女性に誰も手を差し伸べないのが気の毒だった。大変ですね、大丈夫ですか、とも言わず、突っ立って見ているだけ。何のためにそこにいるのか分からなかった。

残念なことに、どのスタッフもそうだった。2,3人だけではない。全員。コロナ対策で私たちが触った荷物やカートを触りたくないのか知らないが。困っている人、お年寄り、小さな子供連れの方に、自然と手を差し伸べられない人は、人間性を疑う。代わりにカートを押してあげ、後から手を消毒すれば良いものを…。

閑話休題。

関空の横の別棟に行き、エレベーターで上まで上がり、会議室のような広い部屋へたどり着いた。思っていたよりも快適で、何時間でも待てそうな空間だった。

・アルコール消毒
・アルコールジェル
・リセッシュ
・ティッシュ
・ゴミ箱
・たこ足配線 (充電OK)
・コンセント (充電OK)
・Wi-Fi (4本も)
・トイレ
・時計
・大きな机と椅子 (1人ずつ)
・荷物置き場
・クーラー

ここまでの道のりが、非常に長かった。午前10時50分に関空へ到着し、席についてお昼ご飯を食べ始めた時刻は、午後1時。どれくらい待つのか、混んでいるのか、状況は何も伝えられなかったが『4-5時間』を想定していた。

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午後3時54分。

結果が出た。

「〇〇便でご到着の皆様、全員陰性でした。これから陰性証明書をお配りいたします。」

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レンタカー、タクシー、ハイヤー、家族の迎え車、いずれのケースも「その車のドアまでスタッフがついてくる (本当に公共交通機関を使わずに帰ったかどうかをチェックするため)」というブログを読んでいたが、関空のこの日は、陰性証明書をもらったあとは完全に自由だった。

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以上。海外からの帰国者が空港の外に出れるまでの全過程でした。

 

【地方の人の帰宅方法】
成田、羽田、関空付近に住んでいる人であれば、家族に迎えを頼んだり、ハイヤーを利用して自宅あるいはホテルへ容易に移動できる。

しかし、地方の人は『移動手段』と『滞在先』にかなり悩むはず。

岡山に実家がある私もその1人...。帰国が決定した当初は、関空付近のホテルで2週間の滞在を考えていたのだが、...この選択肢にはメリットが1つしかなかった。

『家族に移す心配がない』

デメリットは、次から次へと頭に浮かんできた。3点のみここに記すことにする。

① 14日間のホテル代
➡︎ 高額

② 14日が経過した後の帰り方
➡︎ 15日後、どうせ公共交通機関を使うことになる。14日の隔離生活をきちんと守って、症状が出ていないことを他の利用客は知らない。国内旅行用ではない大きなサイズのスーツケースを右手に持ち、20キロのボストンバッグを左肩にかけ、12キロのパンパンのリュックサックを見た人は間違いなく『海外帰りのコロナ』を連想するだろう。新幹線を使ってもバスを使っても。

③ ホテルでの食事
➡︎ 自宅であれば、家族に買い物を頼めるが、ホテルなら自分で最寄りのコンビニや薬局へ行く必要がある。➡︎ これ...隔離生活の意味ある?と思った。

だから私の中で「ホテル生活」は消えた。そうなると、残るは3択。

(a) 家族に車で迎えに来てもらう
➡︎ 復路は運転を交代すれば、片道3時間半でも負担にならないかな?燃費の悪いハイオクの車で往復7時間強は、ガソリン代も結構かかるし...この選択肢は無いかな?

陰性が出たとしても《100%陰性》ではないので、そのリスクも考慮すると、余計に呼ぶ意味がなくなった。

(b) ハイヤー
➡︎ 結構調べた。関空から岡山の相場は、4万円以上。そもそも、神戸より遠い距離を受け入れてくれる会社が少なかった。大阪市内や、兵庫県、京都府くらいであれば、ハイヤーも有り。岡山は...なかった。

(c) レンタカー
➡︎ 免許証は自宅にある+ゴールド免許と言えど、全く乗っていない+計16時間以上のフライト直後の運転+住んでいる国とハンドルの場所も走る道路の左右も違う+国産車は自動車学校以来乗っていないレベル=最も選ぶ可能性の低い案。と、考えられていたが、帰国2-3日前に「これしかない」と気づいた。日本レンタカー、トヨタレンタカー、タイムズカー、の3社のHPで見積もりを取り、予約可能な車種の確認をし、急いでレンタカーを予約した。関空で乗り、岡山で返却が出来る『乗り捨てプラン』で、24時間借りて、2万円弱だった。

免許証は、トヨタレンタカー関空店まで母が郵便で送ってくれていた。トラブルなく、その日のうちに自宅まで戻れたが、流石に『3時間半高速を運転』は、疲れた。でも1年ぶりの帰宅で…嬉しさが疲れに余裕勝ちした。

【追記: 2021年3月12日】
海外から日本へ帰国する際に準備しておく必要がある書類一覧は下の記事の冒頭に。

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