BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【なぜイタリアが?】コロナの感染がここまで拡大したリアルな理由

2020年3月10日(火) 現在、大学を含むイタリアの全ての学校は閉鎖されている。そして、北だけでなく全土に「移動制限」がかかり、今日から私は身動きが取れなくなってしまった。予め発表があれば、バルセロナに戻っていたのに。

…まあ、今更そんなことを言っても仕方がないので、今ここで出来ることを最大限にしながら、解除される日を待つ。

今日はつい最近、大学で「ああ、これがコロナが広がった理由ね…」と思った出来事について書こうと思う。これまでなら「やっぱりイタリア人だな」と笑えていたお国柄なのに。完全に裏目に出てしまっている、という話。

挨拶のキスやハグが第一の理由ではない。

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2020年2月23日(日)
コロナウイルスの影響で、急遽、2月最後の週に予定されていた期末試験と卒業式が1週間延期に。

2020年3月4日(水)
試験があった。私はイタリアの大学の3年前期の単位を全て取り終えたため、後期が始まる日まで学校へ行く用は無くなった。待ち時間に、カラブリア州の1人目の感染者は、カタンザーロ (州都) の大学の教授だと聞いた。そこから通っている友達がたくさんいるのだが、うち1人が「その教授の授業、この前まで弟が受けてたのよ!」と。…急に他人事ではないように思えてきた。

この日の夜…。

「イタリア全土の学校を休校にする。」

という政府の政策がニュースで流れた。Yahoo! JAPANのトップにもなっていた。しかし、当初、この「学校」に「大学」は含まれていなかった。だからその報道を見た大学生たちはすぐさまSNSで盛り上がった。

「アリエナイ」

「受け入れられない」

「最高じゃん」

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普通に翌日も試験は行われた。いつも通りにぎやかな食堂でお昼を食べた。後期の授業は、3月9日(月)から始まると言いながら。

2020年3月5日(木)
夜「感染拡大防止のため、食堂は3月15日(日)まで閉鎖。後期の授業開始および登校再開は3月16日(月)から。」と、大学から連絡が入った。

食堂は、週末も、お正月も、クリスマスも、どんな祝日でも、365日開いている。それなのに「閉鎖」は驚いた。これを受けて初めて生徒は「事の深刻さ」を実感し始めた。

イタリアの大学には卒業式が年に10回以上あるのだが、2月末に予定されていた式は延期で、3月6日(金)に行われることになった。いくつかの条件付きで。

① 式の間、生徒と生徒の間隔を広く取る。
② 会場に立ち入ることが出来るのは生徒のみ。
③ 保護者および親族は入場不可。感染拡大を防止するため、来場も控えるように。

しかし、この国の卒業式は、理解し難いレベルに盛り上がる。…とにかく超特別な、一大イベントで、両親だけでなく、親族が全員大集合する。近所の人が来ることもある。

両親、兄弟、祖父母、従兄弟、叔父と叔母、彼氏彼女、彼氏彼女の家族、幼馴染、友達、先輩、後輩、小さい頃からお世話になっている人など…

毎度かなりの大人数。

➡︎ 特別措置として、リアルタイムでライブ中継が行われることになった。フェイスブック、インスタグラム、学校のHPで、式の一部始終が流れた。

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「こんな時期だから…残念だけど式に (直接的な) 参加は出来ない」と理解し、惜しくも、その様子を携帯やパソコンからあたたかく見守った。

それなのにこの街で初となる陽性反応が出てしまった。しかも3人。…一体どこに問題点があったのか?

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2日後には、6人に。

なぜ?

 

会場のドアの外でぎゅうぎゅうの団子状態で手元の中継を見ていたから。下の写真は、ほんの一部。全学部でこの状態だった。『コロナがあろうが関係ない。卒業式の方が大事だ!行くぞ!』そう思った親族が、押し寄せた。もちろんマスクは無しで。

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ニュースになった。

【感染が拡大した理由】
確かに、イタリアの挨拶はキスとハグ。みんなでワイワイ盛り上がるのが大好きな上、基本的に人と話す時の距離が近く、アジアに比べて「濃厚接触」の場面が多い。だが、限りなく似た文化を持っているスペインではここまでひどい『拡大』になっていない。だから私はその習慣が第一の理由ではないと考える。

この例からも分かるように、イタリア人は、卒業式や誕生日など、一生に一度しかないイベントをかなり大切にする。

「卒業式は、大学院へ行けばまたあるし、誕生日は、来年も再来年も祝える。だから今は、コロナ予防のために外部との接触や行動を自粛しようよ。」

そう言っても、

「いや、学位の卒業式はもう二度とない。」「22歳の誕生日はもう二度とない。」と思う人が多い。この場面、スペイン人なら大半が家で中継を見ると思う。親戚が家に来ることはあっても、ここまで大人数が学校へ押し寄せることはしないだろう。それが危険だと分かっているから。

【2月14日】
私のイタリア人の女友達は、バレンタインデーに彼氏と一緒に過ごせなくなったらふてる傾向にある(笑)

「急用で家に帰らないといけなくなった。」

「仕事が入った。」

こう言われた時、スペイン人の女の子なら「えー…辛いけど…どうってことないよ。明日お祝いすれば良いね!」と受け入れられる印象。イタリア人の女の子は「え?2月14日に一緒に居なければ意味がないんだけど?」と、日付にこだわりがち。

【卒業式は一晩中続く】
卒論を認めてもらい、卒業証書を受け取る式。日本もスペインも「卒業式」は、これで終わる。が、イタリアは、その日の夜、親族+大人数の友達を集めて、レストランを貸し切って、盛大なパーティーを開く。2月末〜3月初めにかけて、他の州の大学に通う子たちのSNSも、この『パーティー』の楽しそうな様子で溢れていた。コロナを忘れるくらいの人数と盛り上がりだった(笑)

【その他の濃厚接触】
イタリアの大学は、1月末から2月末まで「試験期間」である。筆記ではなく、口頭。 一問一答ならぬ、一問十分くらい、ひたすら喋り続けなければ点数が取れない。ブラボー!ブラバー!と言われるレベルに、点が出せたら教授と握手をする(笑) そして、席に戻って友達とハイタッチやハグをする(笑) 100名くらいのクラスメイトを前に、行われる公開試験やプレゼンもある。

【教授と生徒の家】
毎日、別の州から電車で大学まで来ている教授が多い。生徒は、週末になると遠方にある実家へ戻る。カタンザーロ、ナポリ、シチリア、クロトーネ、レッジョカラーブリアなど。だから大学は特に感染しやすい場所と言われている。

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【北イタリアの友達は?】
厳しく隔離されているヴェネト州の友達は、州の外には出ていないものの、相変わらずワイワイ楽しそうな写真を送ってきてくれる(笑) 出歩くことは減ったとしても、友達や同僚との交流は「大切に」続けている様子。

報道と日常にやや違いを感じながらも、…さすがに今日からはみんな『自宅待機』。隣町にも行けなくなってしまったから。ZONA ROSSA…。本当に全土、完全隔離状態。全員が自宅から出なければ15日で収束するらしい。

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