スペインの国公立大学の教育の質は年々高まっている。
"España, un destino educativo de alta calidad."
(スペイン: 質の高い教育の目的地。)
"El mejor momento de la Universidad española."
(スペインの大学が過去最高に。)
例年、国内TOP10に入っている大学のうち5-6校は、カタルーニャ州にあり、下の全項目において最高評価を得ている。
・研究
・学力
・グローバル化適応
・知識移転
…なぜ、カタルーニャ州はランキング上位を維持出来ているのか。今日は、他の州との3つの違いについて。
【① 研究分野が強い】
スペインの1位、2位を争う大学は両方ともバルセロナにある。
1450年創立 バルセロナ大学
1968年創立 バルセロナ自治大学
この2校は、全学部レベルが高い。
ヨーロッパに大学が出来た当初、学部は神学部と医学部の2つしかなかった。(重要だったのは神学部の方。)
それゆえ、歴史を誇るバルセロナ大学 (UB) の医学部と哲学部はそれぞれ世界学部別ランキングTOP50に入る。
UB 医学部 世界31位
UB 哲学部 世界48位
医学部ランキングTOP100に入るスペインの大学はUBのみ。国が研究施設にだいぶお金をかけてくれているため、かなり良い環境が整っており、グローバル規模の最先端な医療研究が行われている。
【② 〇〇と言えばバルセロナ】
他州に負けないカタルーニャのもう1つの強みは『建築』である。スペインで建築を学ぶなら絶対にカタルーニャ工科大学 (世界建築学部ランキング26位)。
ちなみに、スペインは国全体で見ても高い建築技術を有しているため、5位下 (31位) には、マドリッド工科大学がいる。両校、エンジニア、化学、航空工学、鉱山工学、テクノロジー分野においても同順でスペイン1位、2位をキープ。
なぜ、カタルーニャは建築に秀でているのか。
歴史的な話をすると、バルセロナは首都マドリッドよりも先に西洋の美術が入ってきて、発展を遂げた街である。カタルーニャの芸術と言語には、ローマの支配〜西ゴート王国の支配〜イスラム王国の支配〜中世の期間の様々な文化・文明の交わりが影響している。16世紀前後 (現代) は、フランスのルネサンスとイタリアのバロックを受け、更に発展。19世紀には、カタルーニャのアイデンティティを明確化すべく、経済と文化の活性化が起こり、モデルニスモに繋がった。モデルニスモ建築の代表は、サグラダファミリアで有名なガウディ。
実は、建築以外にも「〇〇と言えばバルセロナ」という分野がある。それは『経済・経営』。スペインの国公立大学経済学部ランキングTOP5のうち、4校がカタルーニャの大学である。(2位だけマドリッドの大学。)
【③ 生徒の学力が高い】
その主な理由は2つ。
(1) 現地の中学-高校に通う生徒の学力が既に他州より高い。
➡︎ 日本も調査に協力している PISA (Programme for International Student Assessment) と呼ばれる国際的な学習到達度を評価するプログラムで、カタルーニャ州の中学-高校生の学力は国内平均、そしてヨーロッパ平均を超えている。
* これは15歳を対象に義務教育で学んだ知識や技能を実生活で活用する力を見るテストで、出題は「読解力」「数学応用力」「科学的応用力」の3分野から。
読解力
日本平均は504点。OECD (経済協力開発機構) 加盟国平均496点。スペイン平均488点。ヨーロッパ平均489点。カタルーニャ州501点。
数学応用力
日本平均は527点 (世界トップレベル)。OECD加盟国平均489点。スペイン平均486点。ヨーロッパ平均490点。カタルーニャ州平均500点。
科学的応用力
日本平均529点 (またしてもトップレベル)。OECD加盟国平均は489点。スペイン平均は493点。カタルーニャ州は504点。
(2) 正規入学の外国人生徒の学力も他州より高い。
➡︎ 同州の国公立大学は『〇〇ヶ月うちの大学の付属語学学校に通ってくれたら難しい試験無しで学位コースに入学出来ますよ』という入学パターンを設けていない。2017-2018年度以降、外国人用全国共通入試を課している。
...
...
以上。
一言でまとめるなら『カタルーニャ州の国公立大学の教育の質の高さは保証されている』。
【あとは…】
私は「環境」もこの結果に関係していると思う。バルセロナの街の便利さと住みやすい気候、そして山と海は、学びに時間を費やす環境に最適である。カタルーニャの風土 ⬇︎
おすすめ記事: