カタルーニャ(人) は、昔から商業の中心であったため (フランスとの国境+港町)、様々な国の人を「受け入れる」のに慣れている。世界中の観光客を魅了し続けている街、バルセロナの住民は特に、外国人に対してもオープンでフレンドリーである。しかし、他の州のスペイン人からは『冷たい』『気難しい』『内向的』という印象を持たれがちだ。
それは、独特な風土と文化が、自信・地元愛・オリジナリティを生み出しているからだろう。
・自分たちの言語
・独自の文化と料理
・建築と芸術の発展
・海も山も丘もある
・中世の街並み
・現代の建物と緑の共存
彼らの性格には、少し私たち日本人に似ている部分がある。
・働き者
・相手を尊重する
・シャイ
・信頼して心を開くまでに少し時間がかかる
ラテンの典型的な『明るく陽気なイメージ』を持ってバルセロナへ来ると、違和感を感じる場面があるかもしれない。友達との出会いを思い返しても、知り合ってすぐに打ち解けた記憶はない。何度か一緒に練習をしたり、クラスで会話を交わすうちに、自然と仲良くなっているタイプ。長い友情を築けられるタイプ。
カタルーニャで、
住む・働く・勉強する
のに、カタルーニャ語は必須ではない。全員、100%スペイン語も話すことが出来る。両親が別の州出身の子であっても、育ちが、カタルーニャなら学校ではカタルーニャ語の教育を受けているため、バイリンガル。
とは言え、私たち外国人も話せると、生活が楽しくなるのは確かだ。現地の文化や人をより好きになれる他、イタリア語やフランス語の習得が容易になる。特別な勉強をしなくてもその二言語が「聞けば分かる (イタリア語)・見れば分かる (フランス語)」状態になる。あとは、読める本、聞けるラジオ、見れる演劇の数も増える。
人を笑わせたり、楽しませたりすることが好きなカタルーニャ人のジョークは『イギリス人風』と言われる。ちょっと皮肉的で、ちょっと頭をひねったような感じ。
…
…
今日は、カタルーニャの文化的「当たり前」や、世間が抱いているイメージとの「違い」について。いくつかのジャンルごとに書いてみる。
【① スポーツ系】
・もちろんバルサ以外のファンもいる。
➡︎ Espanyol とか、ごく稀に Real Madrid も。
・サッカーに疎くてもバルサが負けると辛い。
➡︎ メッシ以外の選手は名前も顔も分からないというような人でも、バルサが勝つと…嬉しい。逆に負けたと聞くと、なぜか悲しい。(私)
・テニスよりパデルが流行ってる。
➡︎ テニスの競技人口が少なく、大学のスポーツ施設内で仲間を見つけるのに苦労する。パデルの方が人気。
【② 食べ物系】
・ビール=Estrella DammかMoritz
➡︎「ビールをください」ではなく、ダイレクトに「una Estrella」と注文する人も多い。それくらい、ビールと言えばエストレージャ。カタルーニャで Cruzcampo と Mahou は『?』なレベルにマイナー …らしい。私は飲まないからよく知らないが、確かにその2つのブランドのロゴに見覚えがない。Moritzは、毎年バルセロナオープン (テニス) の屋台でも見かける。
・おつまみは出てこない。
➡︎ バルセロナでビールを頼むと、ビールが出てくるのみ。ポテトチップスやオリーブやピーナッツは、自分で別に注文しなければならない。サービスに含まれていない。アルコール関連で言うと、スペインは、南より北の方がお酒に強い体質と言われているが、バルセロナの人たちはビルバオ民ほど強くない。
・ビキニ。
➡︎ カタルーニャ州以外のバルで「ビキニください」と言うと、100%変な目で見られる。"Bikinis" はハムとチーズを挟んで焼いた美味しいパンのこと。
・ボカディージョの基本はパンコントマテ。
➡︎ トマトとニンニクを塗っていない固いボカディージョはNG。
【③ 日常生活系】
・テレビと言えばTV3。
➡︎ 他の州では "Antena3 (アンテナトレス)" というチャンネルが人気。
・アニメはカタルーニャ語じゃなきゃ。
➡︎ カタルーニャの現代っ子は、テレビで日本のアニメ (ドラゴンボールやドラえもん) を見て育っている。言語はスペイン語ではなく、カタルーニャ語だった。そのため、他の州の子がスペイン語でドラゴンボールのことを "Bola de dragón"、亀仙人を "Duende tortuga"、ピッコロを "Picolo" と呼んでいるのを聞くとヘンな感じがする。
カタルーニャ語では "Bola de drac (ドラゴンボール)"、"Follet (亀仙人)"、"Corpetit (ピッコロ)"。ドラえもんも "Doraemon" ではなく "Doraimon (ドライモン)"。ジャイアンは "Gigante (スペイン語: ヒガンテ)" ではなく、"Gegant (カタルーニャ語: ジェガン)"。
これは、県や地域によって異なる日本語の「発音」に『えーそれはないでしょ(笑)』となるアレに似ている。坂、川、科目、今、行く、買う、聞く。← 標準語の人によく突っ込まれる単語たち。讃岐弁では1音目にアクセントを置くから…。
【④ 伝統系】
・サンジョルディの日が大好き。
➡︎ 4月23日はカタルーニャのバレンタインデー。旅行や一時帰国でこの日、バルセロナにいられないと、残念な悲しい気持ちになる。2020年は、コロナの影響で、異例の延期。7月にお祝いをする予定。
・サンフアンの夜は大人も子供気分。
➡︎ 爆竹、花火、お祭り…。6月23日から24日にかけての夜は、眠れない。
・夏と言えば海。海と言えば…
➡︎ Costa Brava!「これを上回るビーチは無い」と言われるほど素敵な場所。みんなの誇り。
【⑤ 地域性】
私たちが「関西人は〇〇だ」「東京の人は〇〇だ」というイメージを持っているように、スペイン人同士も ⬇︎
・アンダルシア民: ユーモアセンスが高い、大げさ
・マドリッド民: チュロスのイメージ、口が上手い
・カタルーニャ民: 冷たい、ケチ
・バスク民: 真面目、保守的
カタルーニャ人は、確かに『倹約家』で、お金をあまり使いたがらない。友達とカフェテリアへ行くと、たまに「今日はおごるよ!」と言われることがある。が、相手が同性の場合、このセリフは、私が『じゃあ次は逆におごるね!』と言う前提で、発せられている。(ことが多い。) 代わり番こに奢り合う。(奢りたがり屋さんのイタリア人は、見返りを求めることなく本当に奢ってくれる。)
【⑥ 言語系】
スペイン語にも「え、これ他の州の人に通じないの?」という表現が存在する。例えば…
「ドアをつつく」
➡︎ バルセロナ民は「家のドアをノックして」や「インターホンを鳴らして」と言う時、"Pica (a) la puerta. (扉をつついて/引っ掻いて)" と言う。私も友達や宅配便が家に来る時によく言うが、これ、他の州では通じないらしい。"Picar" ではなく "Llamar" か "Tocar" を使うのが一般的。ちなみに、ガリシアでは "Petar la puerta" と言う。
おすすめ記事: