スペインもイタリアも、挨拶は音を立てて2回「チュッ、チュッ」とする。今日は、自分の中で当たり前化してしまっているこの文化を、いくつかの視点から書いてみる。
【基本的には…】
頰と頰をつけるだけ。(触れるか触れないかのところで音を立てるのみの場合も。)
スペイン: 右頰 ➡︎ 左頰
イタリア: 左頰 ➡︎ 右頰
スペイン語とイタリア語が会話の中で混ざることはないのに、この挨拶だけは相当意識しないと逆になってしまう。左右を間違えると、口と口に…。だから、どちらかの国から帰ってきた時には毎回瞬時に「どっちだったっけ」と自問自答。
* スペインは必ず左、右と顔を動かすが、イタリアには絶対的なルールが無い。大半は右、左だが、イタリア人は『dipende. (人によるよ。)』と口を揃える。…本当に、彼らは "dipende" と返答をするのが大好きで…。いつも正確な答えを得にくい。スペイン人なら質問にスパッと答えてくれるのに。
【挨拶の違い】
イタリア人はスペイン人より「ハグ」する頻度が高い。しかも、長い。友達同士でも仲が良ければ、普通に15秒以上ハグをしたまま喋る。毎日大学で会うのに、久々の再会並みに毎朝、数人とハグしている。別れ際にも「チュッ、チュッ」と2回キスをするのがお決まり。イタリア人は、男同士、女同士、男女、問わず、距離が近い。
〜頰と頰の挨拶〜
スペイン人
・初対面の男子同士はしない。
・初対面の男女はする。
・友達同士でも別れ際にはしない。
イタリア人
・初対面は性別に関係なく、しない。
・別れ際にもする (した方が好印象)。
* 友達の友達であっても、2回目以降の挨拶は頰と頰。
【やり方: ビデオ解説】
23秒あたりから説明があるように、片方の手を相手の肩に添えて、目を見て、顔を近づける。
【頰に唇をつけてくる人】
たまに、大して親しくもないのに唇をつけてくる男性がいる。
親友 (男)
親友 (女)
年配の方
なら分かるが、初対面に等しいのに唇をつける人は、完全に下心がある。やられた瞬間「終わった。…最悪。」と、テンションだだ下がり。電車の中や道で、ちょっと喋っただけなのに別れ際に頰と頰の挨拶をしてこようとする男性に対しては、嫌ならば『NO』と、振り切って良い。日本人女性、アジア人女性は「何でもしてくれる」と思われているから、注意しなければならない。スペイン人女性もイタリア人女性も、そんな男性にはドン引きしている。
【夏の暑い日】
お辞儀や会釈は、日本人にとって当たり前の挨拶で、知り合いや目上の人を見ると自然と頭が下がる。家族や友達には手を振る。暑い日も寒い日も関係なく、私たちは挨拶をする。これと同じで、どんなに暑い日でもスペイン人・イタリア人にとって頰と頰の挨拶は「普通」。誰に聞いても『嫌だと思うことはないよ』と言う。しかし、私は日本人。まだ100%この挨拶を好きになれていない。本音を言えば、汗ばむ夏にはしたくない。(絶対にするけど。)
【日本人小学生の前でやってみた】
今年の9月に日本でワークショップを行った際、日本人の小学生を前にいつもの挨拶をやって見せた。すると、ちびっこたちは「ギャーーーー」っと、この日一番の大盛り上がりで…。あどけない反応がとにかく可愛かった。そして『ダヴィデと挨拶やってみたい人〜!』と聞くと、13人中2人が手を挙げた。好奇心旺盛で、素晴らしいチャレンジ精神を持った2人、とても上手に出来た。
【頰をつけている時の心情】
2,3回しか会ったことがない子とする時は「ヒゲが…」とか「香水めっちゃ良い匂い」とか「会うの3回目なのに頰と頰かー」とか、あれこれ内心思う。が、相手が友達なら、特に何も浮かばない。ごく普通の挨拶で、どこか安心感がある。
…とは言え、ふと我に返れば「…近いな」と思う。「もはや口と口でする距離」「大差ないじゃん」と。しかし、もうかれこれ5年8ヶ月、毎日10回以上しているわけで…。流石に会釈とほぼ同じレベルになった。
言葉だけの挨拶や、「チュッ」が1回しかない時には『少ない (何か物足りない)』気がする。この『もはや1回だけは不快!』という気持ちを上手く表現した面白いビデオを見つけた ⬇︎
日本人の友達との再会には、少し違和感を覚えるようになった。距離が遠すぎる。プラス、人と人との温もりが感じられず、ちょっと寂しい。久しぶりに会ったのに!と思うが、そこは「日本人」としての理性的な感覚が、スペイン&イタリア風挨拶を制御してくれる。
自己評価
たぶん今、この辺にいる。
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