今日は、モカ絡みのテーマ。
・エスプレッソとの違いは?
・イタリア人がモカを使う時のこだわり
・間違った使い方をするとどうなるか
・モカの部品交換について
【そもそもモカとは?】
イタリアのどの家庭にもある小さな直火式エスプレッソマシンのこと。ビアレッティという会社 (上の写真のブランド) のものが一番有名。これらの器具は、イタリア語でマキネッタと呼ばれ、たくさんの種類がある。その中でも特に、モカエキスプレスという商品の知名度が高いため、マキネッタ=モカになった。つまり、上の写真のコーヒー機はモカ。
【モカとエスプレッソとの違いは?】
モカコーヒー: 家で小型エスプレッソマシンを使って作るコーヒー。繊細で香り高く、強い味がするが、濃度はエスプレッソより低く、クリーム感もない。作り方も器具の手入れも簡単。
エスプレッソ: バルやカフェテリアにある大きな機械で作る濃縮コーヒー。何より、クレマ (濃密な茶色のクリームみたいな泡) が特徴。砂糖を入れた時にゆーっくりと沈んでいくのは良い泡。
*一番大きな違いは、抽出時の圧力。
モカ: 約2気圧
エスプレッソ: 9気圧
(il potente vapore della moka provoca una pressione di circa 2 atmosfere, mentre per la macchina espresso sono9)
【イタリア人がモカを使う時のこだわり】
① コーヒーを作る時は、絶対に水を入れる。お湯はダメ。
② 絶対に洗剤で洗ってはいけない。水のみ。スポンジやたわしも使わない。手でこするだけ。
③ 粉は溢れるくらいもりもりに入れる。
④ 時間が経ったコーヒー (余ったもの) は惜しみなく捨てる。
➡︎ これは唯一理解し難いポイント。勿体ない。なんでモカの中に残ってるコーヒーを捨てちゃうんだろう。飲みきれなかったものを綺麗なカップに移して冷蔵庫に入れておいても味に変化はない。数時間〜半日後に飲んでも美味しい。
⑤ 超弱火でじっくり待つ。
➡︎ 強火で急圧するのではなく、高圧で作った方が美味しく抽出出来る。
⑥ 中に入れる水は絶対にネジまで。
➡︎ 溢れるの防止。
⑦ 機械の過熱を避けるために、蓋は最初から最後まで開けたままの方が良い。
➡︎ …らしいけど、私はいつも音が聞こえたら開けてる。
【間違った使い方をするとどうなるか】
これには苦い思い出がある…。
私は1年ちょっとの間、大事に大事に汚すことなく、傷つけることなく、モカを使っていた。教えてもらった通りに弱火で。コーヒーを作り終わったらすぐに器具を水洗いし、乾かした。小さくて可愛いモカをとっても気に入っていた。1人暮らしから、スペイン人女性が住むシェアハウスに引っ越してからも変わらず1日2-3回は使っていた。
ある日の朝、その女性がいつも使っているコーヒーマシーンのフィルターを切らせてしまい「KAEDE!ちょっと機械貸して〜!」と言ってきた。使い方を知っていると思っていたから『いいよ!はい!粉はあそこね。』とモカを手渡した。すると…ひどい色で帰ってきた。
・超強火で作った
・水をネジより上に入れていた=溢れた
・火にかけたまま別の部屋で音楽を聞いててすぐに火を止めなかったから溢れたコーヒーは焦げた
・高熱になり過ぎたあまり、中のゴムが溶けた
・持ち手の部分も少し溶けた
もう大ショックを受け、かなり凹んだ。今でもその時の茶色は残ってる。(記事の最後に現在の写真有り)
【IHのコンロの場合】
これは普通のコンロで使うべき器具であるが、IHコンロでも使えることは使える。私が持っている1番小さいサイズ (1杯用) は軽いため、IHによっては反応してもらえず、途中電源が切れてしまう。1人暮らしの時のIHは、問題なく使えていたが引っ越し先では使えなかった。そんな時は、何も入っていない手鍋やフライパンの中にモカを入れるしかない。手鍋に水を張るのは、カルキ汚れ?に繋がるのでNG。水の跡がたくさんついて外側が白っぽくなる。これがなかなか取れない。ゴシゴシとアルミたわしでこするのもNG。表面に傷がつき、痛む。
【部品交換】
イタリアなら大きなスーパーに必ず部品の替えがある。バルセロナはデパートに。ゴムの部分を買いにコルテイングレスへ行った時、1カップ用のサイズが無かったので取り寄せが可能か、質問をしたら「出来ますよ」と言われた。サイズは右下か左下に書かれているので、間違えないように!
アマゾンで買うなら、
イタリア語: moka guarnizioni
スペイン語: moka filtro de café
で、検索すればヒットする。
【私のモカ】
今、大切に使っているモカは、2014年の冬にプレゼントしてもらったもの。さすがに5年も経てば「使ってる感」が結構出てくるもので。ビアレッティのあのマークも消えてしまった。⬇︎ 初めて自分のをGETして嬉しくてすぐに撮った写真と、時の流れを感じながら今朝撮った写真。
アルミ製だから使えば使うほど、味わいが良くなる。コクが出る。寒い時期は、お湯で割って飲むのが好き。冬以外は水で割る。いずれも水とコーヒーが6:4。酸味より苦味が好きな人にはこの飲み方が合う。日本に帰国時は、モカコーヒー用の粉を4,5パック買って帰る。もちろんこの小さな機械も、もれなく毎回連れて帰る。母は、ミルクと6:4くらいで割って飲む。イタリア人はこれを水で割らず、昼食後に砂糖をたっぷり入れて濃くて甘〜いのを飲む。水をちょっと入れた時点で「それはもうイタリアンコーヒーじゃない。アメリカン。」と厳しい。
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