BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【言語と心理】自分の言葉を100%理解出来ない人を前に笑顔で話せるか。

おとといのプロモーションビデオの撮影で、生まれて初めて『自分の言葉を理解出来ない人を前に、話し続けなければならない』という難しい経験をした。日本語が全く分からないスペイン人男性の目を見て、笑顔で、日本語で語りかけた。

f:id:kaedetaniyoshi:20191018033628j:plain

【NG連発】
本当は15分〜20分で終わる撮影だったが、私のせいで1時間近くかかってしまった。こんなにも、難しいなんて思ってもみなかった。壁に笑顔で話しかける方がよっぽど簡単だ。前に触れたことがあるが (下の記事の④)、人は自分の言語が相手に伝わっていないと感じると一気に閉鎖的になってしまう。

PV撮影は、私のこれまでのバルセロナ生活について、インタビュアーが5,6個の質問をし、半分日本語半分スペイン語で話すというものだった。最初の日本語の部分に40分ちょっとかかった。スペイン語はかなりスムーズでNGを出さなかった。その部屋にいたカメラマン2名、スタッフ2名、インタビュアー1名は全員スペイン人で、日本語はさっぱり分からない。だから私が変な喋り方になってしまっても、さっき言った内容を繰り返してしまっても、誰もその「おかしさ」に気づかない。それがやけにプレッシャーとなり、久しぶりに緊張した。映像は残るから尚更。

 

【心理状態】
相手がとりあえず頷いてくれていたとしても『私の言葉は伝わってない』という思いが頭の大部分を占めていた。

どれくらい難しいか。

今、留学している人は、イメージしやすいだろう。電車やバスに乗っている時、正面に座っている見ず知らずのスペイン人の目を見て、日本語で自分の生い立ち、あるいは留学生活を1,2分話し続ける感じ。しかも笑顔で。

ロボットみたいに、笑顔を意識したら日本語がカタコトになって、日本語に集中した真顔になるという…。我ながら困った。でも突破しないと終わらないので、何に対してかいまいち分からない気合を入れ直し、撮影に挑んだ。

【言語と心理】
言語と心理状態は深く関わっている。だからこそ、海外生活をする上で言語は非常に大切だ。自信を持って話せる言語があるのとないのでは経験の密度が大きく異なる。自信を持って話すことが出来れば「会話が好き」になるから、更に上達し、友達も増え、良い循環が出来始める。逆に、自信がない状態で生活をしていると人との関係も自分の経験も全て「上部」だけになる。なんとなく話してなんとなく生きてなんとなく終わる。

【乗り越える方法】
先ほどの撮影の話に戻るが、あの日、日本語が全く分からないスペイン人インタビュアーを前に、どうやって終わったのか。NGばかりが続いていた中、最後上手く出来た要因はなんだったのか。

 

とにかく相手に自分の言葉が分かっているものだと思い込んだ。自分の脳を騙した。そうでもしなきゃ、無理だった。だからスペイン語に自信がない人も、自信を持って「伝わってる」と思いながら話せば大丈夫。自信って大事。

【日本語字幕】
「日本語を話している部分の字幕はこっちで翻訳家に頼むから心配しなくて良いよ!撮れただけで感謝だよ!」と言われたが『自分でスペイン語字幕をつけたい』と申し出た。だって、言葉遣いは人柄とリンクする。使わない単語とか言い回しにされたら嫌だから。通訳や翻訳をする時は、話者の性格をまず知ることにしている。音楽の歌詞を訳す時もそう。スペイン語の Yo (私) をこの男性は「オレ」と言うのか「僕」というのか。この人がもし日本人なら語尾は何を使いそうかまで考える。これがとても楽しい。…閑話休題。ビデオの出来栄えは置いといて、とりあえず何かの経験値が上がった気がする。

つぶやき 記事一覧

バルセロナ生活 記事一覧

おすすめ記事: