BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【スペイン語らしさとは】話す言語によって性格は変わるのか。

「あー、これ英語には訳せないな」「この表現、日本語にしようものならかなりの意訳になってしまうな」と思う文章に出会う度、スペイン語の良さをしみじみ感じる。

例えば、

Hay muchos con quien estar pero pocos con quien ser.

この一文。

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【なぜ訳しにくいのか】
いずれも、A1-A2 (初級レベル) で習う単語で構成されている。スペイン語を不自由なく使っている人であれば、スッと理解は出来るだろう。

Hay muchos con quien estar pero pocos con quien ser.

しかし、パッと訳せる人は少なくない。

なぜか。

この文脈にぴったりの、estar と ser の訳が日本語にないから。

自分なら、どう訳すか。

ちょっと考えてみると面白い。

 

私は…

『日々の生活の中で一緒に過ごす人は多けれど、自分らしくいられる相手は数少ないものである。』もしくは『一緒に過ごす人はたくさんいるが、ありのままの自分 (素の自分) でいられる相手は僅かに過ぎない。』とする。けれど、どちらもしっくりこない。

意味は、

(estar) 普段一緒に遊んだり、飲みに行ったり、ランチを取ったり、楽しく過ごす仲間/友達はたくさんいるが、その中で、(ser)「自分らしく」いられる、自然体を見せられる相手というのは、少ない。と言うこと。

【話す言語と性格】
バイリンガル、トリリンガル、多言語話者の中には「話す言語によって性格が変わる気がする」「使う言語によって自分の人格が変わっているような」と感じる人が多いらしい。

 

2019年12月18日の私は「話す言語によって性格は変わらない」と考える。少し前までは「スペイン語だとハッキリ物事が言える」とか「イタリア語を話すと楽しい気分になる」とか「英語はどこかフォーマルな気分に」と、感じていた。が、最近『いや、違う』と思った。性格が変わっているのではなく、スペイン語の表現に浸ってしまっているだけ、だと。

スペイン語を話すと…

『ハッキリ物事が言えるようになる』と、錯覚していた主な原因は、語順の違い。そして、相手の質問に対して必ず Sí/No で答える習慣と、口数の多さ

・語順
・SÍ/NO
・口数

日本語は相手の質問に答える時、あまり文頭に「はい」や「いいえ」を持ってこない。

Q. バルセロナに興味ある?
A. 特集を見て以来、めちゃくちゃ行ってみたい!

Q. 年末、うちに来れる?
A. 休み取ってでも行くよ!

Q. スペイン語話せるようになりたい?
A. うん、難しそうだけど、日常会話くらいは話せるようになりたい!

一方で、スペイン語はクローズ質問に答える際、必ず「はい」か「いいえ」が文頭に来る。それから理由を付け足す。だから、スペイン語漬けの生活から急に日本語を話すと「良いですよ!じゃあ…」「そうしよう、その方が…」「いや、行かないです!だって…」「はい、おすすめです!その理由は…」と、語順に違和感が出てしまう。

最初に肯定か否定か断言することで、あたかも『ハッキリ』意見を述べているように感じる上、相手に「ダイレクト感」を与えてしまう。

スペイン語: Sí/No ➡︎ 理由や感想

日本語: 理由や感想 ➡︎ Sí/No

「〇〇だと思う」も、同じ。日本語の「前から欲しがってたんだから買えば良いと思うよ」は、スペイン語で「買えば良いと思うよ、だって前から欲しがってたんだから」となる。

『最初にドンッと文の核を、それから理由』

5ヶ国語 (日本語、スペイン語、英語、イタリア語、カタルーニャ語) を話す上で、唯一語順を意識しているのは、日本語。…母語なのに。あとの4ヶ国語の文構造は、ほぼ同じ。

【口数について】
私は、日本で友達と歩いている時「あのカフェテリア行ってみない?」と言われたら『良いよ、行こ!』と答える。基本的に、一言で。しかし、スペインでは『Qué bien! Pues tomamos café o algo para calentarnos. (良いね、じゃあコーヒーか何か温まるものを飲もっか。)』と、二言以上で返事をする癖がついている。

これは、性格が外向的になっているわけでも、明るくなっているわけでもなく『多弁』が、この土地ではフツウだから。

スペイン語 (言語) が原因で性格が変わるのであれば、日本でスペイン人と話した時にも同じことが起こるはず。

無論、個人差はあるが、私は日本に帰れば口数が元に戻る。スペイン人相手にスペイン語を話していても「日本仕様」になりがち。

だが、日本は日本でも、大勢のスペイン人が集まる空間でスペイン語を話すと、スペインにいる時と同じくらい多弁になる。

だから、言語ではなく、環境が性格を変えている

海外生活が長い人は、だいたいフレンドリー。しかしこれは、言語云々の性格の変化ではないと思う。バスの乗り場を携帯で調べるより周りに聞く方が早い&普通というお国柄、知らない人と話すことに抵抗を感じない環境が影響しているだけだと。

【表現に浸ってしまう】
「今日、大量にトラバッホ (trabajo: 仕事) がある。」や「コンプラ (compra: 買い物) 行かないと!」のように、日本語を話していてスペイン語が混ざることは絶対にない。が、スペイン語ならではの表現を、日本語でつい言いそうになってしまうことはある。特に "ver (見る)" 系…。

A ver.
➡︎ どれどれ。
  えーっと。

Nada que ver.
➡︎ 全く関係ない。

Vamos a ver.
➡︎ どうなるかな。
  様子を見てみよう。

Vamos hablando.
➡︎ 相談しながら行こう。

Ya me dirás.
➡︎ まあ近々教えて。

Te repito.
➡︎ もう一回言うね。

No hay problema.
➡︎ 問題ないよ。

Ahora te digo.
➡︎ 今すぐ言うよ。

「すみません、もう一度言っていただいて良いですか?」に対し、スペイン語なら "Claro, ningún problema, ahora te repito." と言うから、その癖で先日『もちろん、もう一度言いますね!』と言ってしまった。日本語なら嫌味っぽく聞こえてしまうことがあるから気をつけないと…。

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