ヨーロッパでは自分の言語レベルを聞かれた時、次のような答え方をする。
「ドイツ語はB1を持っています」
「スペイン語はC1.4で、英語はB2.5です」
「英語はC1だけど、フランス語はまだA2」
このアルファベットと数字は、CEFR (Common European Framework of Reference for Languages)、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と訳される。
簡単に言えば、
ヨーロッパ言語に共通する「言語能力のレベル」基準で、日本の「〇級」とか「準〇級」みたいな感じ。
A1(入門)→A2(初級)→…→C2(最上級)
CEFRが用いられる場面は、
・語学学校
・言語試験の合格証明書
・言語系の採用/求人サイト
・大学の受験条件
【ヨーロッパ言語共通参照枠】
基本的に会話や試験では A1, A2, B1, B2, C1, C2 の計6レベルに分かれている。が、語学学校のクラス分けや、証明書に記載されるものはもっと細かく…なんと27種類!
【DELEとスペイン語検定】
多くのスペイン語学習者が受ける試験は2つ;
① DELE (外国語としてのスペイン語検定試験)
② スペイン語検定 (西検)
DELEはスペイン政府教育文化スポーツ省が発行していて、世界各国で受験可能な、いわば国際的試験。スペイン語検定は日本スペイン語協会が行なっている日本国内の試験。
下を見てもらうと分かる通り、スペイン語検定の最高レベルはDELEのC1に値する。そしてC2は判定不能。
DELE A1=スペイン語検定5級
DELE A2=スペイン語検定4級
DELE B1=スペイン語検定3級
DELE B2=スペイン語検定2級
DELE C1=スペイン語検定1級
DELE C2=スペイン語検定判定不能
スペインの大学で学びたい人は、最低でもDELE B2=スペイン語検定2級レベルに達していることが望ましい。
スペイン語検定の問題を本屋で一度パラパラっと立ち読みした際、雰囲気が全国通訳案内士のスペイン語試験 (日本に存在する唯一のスペイン語国家試験) と似ている印象を受けた。
問題文が日本語だったり、
和訳の問題があったり、
西訳の問題があったり、
問題数がDELEに比べて少なかったり。
前に『スペイン語の試験を受けるならDELEとスペイン語検定どっちが良いと思いますか?』と言う質問をもらった。
「その人の目標による」と答えた。
・翻訳/通訳者になりたいのならスペイン語検定
・スペイン語の能力を集中的に高めたいならDELE
「スペイン語圏へ留学したい!スペインの大学に正規入学したい!」と思っている人には、DELE (に沿ったスペイン語の勉強)を勧める。「翻訳者になりたいならスペイン語検定がいる」と言うより、それを目指して勉強すると、翻訳者に必要なスペイン語と日本語運用能力が身につく。
検定を受ける時、
DELEの方がスペインでも通用する!
スペイン語検定は日本を出たら無名の試験だ。
と、判断するのも1つの方法だが、実際、重きをおくべきなのはそこではない。
〜結果より過程〜
「〇〇級持っている」という肩書きを目指すのではなく、その中にある試験を通してどんな能力を伸ばしたいか。「なりたい自分」を目指すべき。
スペイン語検定に向けて勉強すれば、DELEにはない「和訳(スペイン語を日本語へ訳す)と西訳(日本語をスペイン語へ訳す)」能力が、DELEに向けて特訓すればスペイン語検定にはやや欠けている「生きたスペイン語」を運用する能力が習得できる。
だからこの2つの試験に優劣はつけられない。
【どちらかを取っておくべき?】
スペイン語優遇がある企業や会社に就職したい人、交換留学の条件にDELEがある人は取っておく方が良い。将来、海外の企業に勤めたい人も。でも、スペインの大学に正規入学をする時にはアピールポイントにならない。イタリアの大学でスペイン語翻訳を専攻する時も、DELEがあれば「ある科目が免除」なんてことはなかった。だから就職では有利かもしれないが、学業では『資格として』持っていても持っていなくても変わらない。日本の大学に関しては分からない。
DELEが優遇される職種: 貿易関係・外資系・アパレル系・電話オペレーター・語学学校の先生・領事館や大使館で働く・スペインやラテンアメリカの企業など。
スペイン語検定: 言語としての日本語にも精通している必要がある翻訳者や通訳者など。
*もちろん資格を持ってなくても「スペイン語に携われる仕事」に就けるチャンスはたくさんある。大切なのは、高い語力と行動力と人間性。これは万国共通。
【蛇足】
2016年に出来た新しいスペイン語試験「SIELE (シエレ)」はまだまだ知名度が低く、実生活で全く聞いたことも見たこともない。なぜこれが出来た当初、ネットで注目を浴びてたかと言うと、スペイン・メキシコ・アルゼンチンのスペイン語代表機関が一緒に作ったものだったから。
スペイン代表: インスティトゥート・セルバンテスとサラマンカ大学
メキシコ代表: メキシコ国立自治州大学
アルゼンチン代表: ブエノスアイレス大学
SIELEは"Servicio Internacional de Evaluación de la Lengua Española"の略。Servicio...
【辞書は必須アイテム】
電子辞書ほど勉強がはかどるアイテムはない。私は現地の大学進学を考えている生徒さん全員に必ず購入しておいた方が良いと伝えている。
2021年2月3日現在、スペイン語専用の本体は、売り切れ状態が続いているが、持っている電子辞書に入れるとスペイン語の辞書が入るカードは、買える。
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