イタリアの大学の「現代言語・翻訳学部」について色々プレゼン。
⚠️ ここにある内容は南イタリアにあるカラブリア大学 (Università della Calabria) の現代言語と文化学部 (Lingue e culture moderne) バージョン。
【受ける科目】
・イスパノアメリカ文学
・アングロアメリカ文学
・言語学 (自分が選択した2言語+イタリア語)
・翻訳 (自分が選択した2言語+イタリア語)
・現代史
・アフリカ史
・現代文化
・言語哲学
・英語
・イタリア文学
・第二言語習得論
・言語過程説
・人類文化学
・現代外国語
・ロマンス文学
・ロマンス語学
・ルーマニア語学
・言語情報
・文献学 (ロマンスとラテンアメリカの)
・計算言語学
・情報言語学
【2つの言語を選択する】
入学してすぐ、スペイン語・英語・ドイツ語・フランス語の中から2つの言語を選択する必要がある。
Prima lingua (第一言語)
Seconda lingua (第二言語)
*カリキュラムはやはり第一言語に選んだ言語の方が「メイン」になってくる。
言語系に進むイタリア人学生は8-9割が、高校生ですでに文系を選択し、2つの外国語を学んでいるため、大学に入る前から『英語+もう一言語がペラペラ』。
英語はネイティブレベル、フランス語はB2レベル、スペイン語は好きだからなんとなく話せる (B1レベル)、次は中国語かアラビア語か日本語を習ってみたいな〜
という生徒も珍しくない。
【授業時間と男女比】
・授業は1コマ1時間半 (休憩なし) か2時間 (10分休憩あり)
・文学&文献学部は男女の割合が「男子3:女子7」
・言語&翻訳学部は「男子2:女子8」
・女子が多いほど授業中は静か。他の文系の学部の授業を受けに行くと決まってガヤガヤしてる生徒が数名いる。
・学生の年齢にあまり開きがないのがスペインの大学と違う点 (1年次は18歳-20歳がいる)
【教授】
・出席をとる教授の場合は紙が回ってくるので、名前と学生番号とサインを書く
・授業をパワーポイントで進める先生は2-3割ほどしかいない
・外国語は必ず、ネイティブの教授から受けるから、イタリア人の先生がスペイン語や英語を教えることはない
・自分の本を売る先生が多すぎる!その本をしかも試験範囲に入れてくる!
【文学史の授業】
教授は授業中にイタリア語で説明するが、本は全てオリジナル。だからテキストはイギリス英語だったり、古典英語だったり、フランス語だったり古典スペイン語だったり。試験はその言語で行う。(さすがに古典英語・スペイン語は現代英語・スペイン語で。)
【翻訳の授業】
私の第一言語はスペイン語で第二は英語。スペイン語翻訳の授業では、記事や文章をイタリア語に翻訳する。直訳して違和感がない箇所はそのまま機械的に訳し、イタリア語にない表現や動詞の活用は一番近いニュアンスのものを選ぶ。
正直、日本人の私にとってこの授業はナンセンス。将来、スペイン語の文章をイタリア語に訳す仕事をすることはまずないし、イタリア語への翻訳はやはり周りに負ける。いくらスペイン語のレベルがイタリア人より上でも、私のするイタリア語への翻訳は「不自然」寄りになってしまう。
でも、意味がないと思った時点で得るものがなくなってしまうので「イタリア語に精通しているスペイン人のプロの翻訳者が解説する、イタリア語にはないスペイン語の表現を聞いて納得したり、イタリア人が正しく訳せない・全く理解出来ない単語を発見したり…」している。時にそれが日本語をイタリア人に効率よく教える方法を考える上での助けになることも。
なぜなら、日本語とスペイン語はイタリア語より語彙・表現・小さなニュアンスが多い奥深い言語で、イタリア語にはないが、その二言語間には共通して存在することがあるから。
つまり、イタリア語を客観的にも主観的にも見れる科目で、そこからスペイン語の理解も深まる。
蛇足: スペイン語⇄イタリア語でも、グーグル翻訳が役に立たないことがよくわかった。「今日は晴れ」「3冊の本」「いつかドイツに行ってみたい」この程度ならグーグル翻訳も正しくできる。これ以上は、ムリ。
英語の翻訳は英語の文章をイタリア語にする。10分〜15分の時間が与えられるからそれぞれが自分で翻訳をして、順番に読み上げる。間違っている箇所や、もっとふさわしい訳があればその度に止まってみんなで学ぶ。
【3年制?4年制?】
イタリアの大学は3年制だが、3年で卒業できるという意味ではない。自分のクラスの中にも数人、友達の中には十数人、fuori corso (コース外) と呼ばれる年次にいる学生がいる。フオーリコルソとは、3年以上大学にいるいわば留年生。コース外1年生、コース外2年生…5年生の人まで知っている。
大学を卒業後は多くの生徒がマスターへ通う。Laurea (学士: 3年過程の基礎コース) ではちょっと不十分だという認識が社会にあるらしい。言語学部の生徒はマスターを国外か都会 (ミラノ、ローマ) でするという小さな夢を持っている。だから在学時にエラスムスという交換留学制度を使って数ヶ月下見をしに行くのが割と定番。
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