スペイン人の友達と日本の映画について話していると、スペイン語のタイトルが日本語の原題と違い過ぎて、すぐに理解出来ないことが…。
ジブリの映画の題名なら想像力を少し膨らませると、
「動くお城 (El castillo ambulante) 」
→ 原題: ハウルの動く城
「チヒロの旅 (El viaje de Chihiro)」
→ 原題: 千と千尋の神隠し
「近所のトトロ (Mi vecino Totoro)」
→ 原題: となりのトトロ
「キキ〜配達〜 (Kiki: Entregas a domicilio)」
→ 原題: 魔女の宅急便
「風が立つ (El viento se levanta)」
→ 原題: 風立ちぬ
…まだ分かる。でも『神隠し』が「旅・旅行」となっているのは好きな映画だけにショックだった。「神のいたずら」を連想させるコトバが欲しかった。
最も原題とかけ離れていたのは、2015年末〜2016年にかけてバルセロナ (スペイン) でも大大大ヒットとなったあの作品だった。
樹木希林さんが主演だったこともあり、上映されると一気に話題作となった。しかし、私は全くその映画のことを知らず、友達が数人観に行った感想を教えてくれて初めて邦題も知った。
『楓!Una pestelería en Tokio (東京にあるお菓子屋さん) 観た!?あれやばいね、めちゃくちゃ良い映画だった!日本って本当に美しい!』
『今夜あそこの映画館で Una pestelería en Tokio (東京にあるお菓子屋さん) の上映があるみたいだけど一緒に行かない?』
『Una pestelería en Tokio (東京にあるお菓子屋さん) 観てきたよ〜!とっても美しい映画。感動した。ドラヤキが食べたくなった。あの〜モチの中に入ってる小豆のなんだっけ。日本語でなんだっけ!』
あんこ?東京のお菓子屋さん?
新しい映画かな?古い昔の映画かな?
検索してみると…
『あん』だった。
全然…
"東京のお菓子屋さん" って
『あ』の字も入ってない。(この映画を観た日本人ならタイトルに餡の要素は絶対欠かないで欲しいと思うはず…!)
『あん』はスペイン人にものすごくウケた。閑寂な趣というか、日本独特の美というか…日常にある飾らない美しさがよく表現出来ていたようだ。
当時一緒に住んでた女の子は2回も観に行ってた。
そういえば、福山雅治さん主演の『そして父になる』もいくつかの言語のタイトルだけちょっと変わってた。
英語: Father and Son (父と息子)
イタリア語: Father and Son (父と息子)
スペイン語: De tal padre, tal hijo (父のように、息子のように)
フランス語: Tel père, tel fils (父のように、息子のように)
ドイツ語: Like father, like son (父のように、息子のように)
直訳にすると「父のように、息子のように」だが、英語のことわざ「父が父なら子も子である=似た者親子」と被せてるのかな、と思ってみたり。
…。
最後に、2018年、
カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した『万引き家族』のスペイン語の題を。
"Un asunto de familia" (家族の出来事)
asunto (アスント) の意味は、出来事・事柄・件
意訳で「事件」とするのが精一杯。
"un asunto de familia" って言葉から、どんなに頑張っても『万引き』は連想されないだろう。せめて robar (ロバール: 盗む) から派生した言葉があればオリジナルに近づくのに。
日本語の造語っぽいコトバを簡潔に翻訳するのは難しいのかな。
スペイン語で書くと2行にも及ぶフレーズが、日本語だと数文字で書けてしまうことも度々あるし…。
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