休み時間に友達と教室で話している途中、喉が乾いたので自販機に飲み物を買いに行くことにした。友達に「一緒に行く?」と聞いたらその子は「私はここで待ってるよ」と言った。
このシチュエーション、あなたなら…
¡Ahora me voy! と ¡Ahora vengo!
次のどちらの言葉を残して教室を出るだろう?
正しいのは…後者。
今いる場所に「また(すぐ戻って)来る」から ¡Ahora vengo! (すぐ戻るよ!)。
もし ¡Ahora me voy! と言うと、友達は "¿A dónde?" (どこへ?) と聞いてくるかもしれない。me voy は今、話している場所に「帰ってこない」「別の場所へ行ってしまう」感じがする。
ちなみに上の図は、
黒の点: 今友達と自分がいる位置 (教室)
棒人間: 自分
オレンジ (vengo): また今いる場所に戻る
黄色 (me voy): もう別の目的地に行ってしまう
【学校で習うirとvenirの違い】
学校や参考書で習う ir (行く) と venir (来る) の違いは、日本語の「行く」と「来る」と同じである。…これはみんな簡単に理解できるので割愛。とりあえず ir - venir と llevar - traer を使う時、慣れるまでは『話し手と聞き手の動きの矢印』をイメージしよう。
【会話で使うirとvenirの違い】
実は、スペイン人が会話でよく使う venir には話し手がまたその場所へ「戻って来る」「帰る」「近く」ニュアンスが含まれている。( ir には含まれない。)
"¡Ahora vengo!" = すぐ戻ってくるからね!
"¡Ahora voy!" = 今行くよ!
私が前一緒に住んでいたスペイン人の女の子は「これからちょっと買い物に行ってくるよ〜!Ahora vengo. (すぐ戻るよ!)」が口癖だった。
日本人が「すぐ戻って来るよ!」と聞くとイメージする時間は5分-15分。…しかし、スペインでは違う。1時間後に帰って来るとしても皆んな "¡Ahora vengo!" を使う。たまーーーーーに、10分くらいで帰って来ることもあるが…、大抵は30分以上5時間以下 (笑)
【2つの例】
(例1) 友達とパーティーの準備をしている時、ある子が「これからスーパーに買い出し行くけど…¿Quién me acompaña? (誰かついてきてくれる?)」と言った。そこで「俺行くよー!」と言うなら?
¡Voy yo! だろうか?
¡Vengo yo! だろうか?
正解: ¡Voy yo!
理由: 一緒に家を出て今いる場所から別の目的地へ行くから = 行動の目的が今いるのと別の場所だから。
(例2) 学校から家に帰ってる途中、一緒に住んでいる子と家の近くでばったり会った。その子はこれからちょっと買い物に行くらしい。その時、¡Hasta luego! じゃなく ¡Ahora vengo! と言われ、手を振った。なぜ家の建物内で会ったわけじゃないのに ¡Ahora vengo! と言ったのだろう?
理由: この ¡Ahora vengo! には「すぐ帰るから待っててね!」というニュアンスが含まれる。¡hasta luego! を使われたら自分から遠ざかってしまう感じがするが、vengo だと「自分の元に帰ってきてくれる」感じがする。「君がこれから行く場所 (家) に私も遅れて来る (帰る) からね!待っててね!」と言ってくれてるような優しさと安心感がそこにはある。
vengo:「話し手の元へ来る」「話し手の方へまた戻ってくる」
voy:「今の場所から別の場所へ行く」
【おまけ】カタルーニャのスペイン語
カタルーニャ州でスペイン語を勉強している、生活している人は普段 "¡Ya voy!" より "¡Ya vengo!" を聞く機会が多い。それにはカタルーニャ語の影響がある。カタルーニャ語では (イタリア語も)「もう行くよ!」「今行く!」と言う時、ir ではなく venir を使う。その感覚に慣れてしまっているとDELEなどのスペイン語の試験で減点される他、別の州やラテンアメリカの人と話す時「Ya voy」の方がしっくりくるよ〜と言われることも。
⚠️ 要するに「帰って来るよ」という意味を含まない場合には注意が必要!
(正しいスペイン語)
- Sandra, ¿puedes venir a mi despacho?
- Sí, ahora voy.
(間違ったスペイン語)
*カタルーニャではよく使われる
- Sandra, ¿puedes venir a mi despacho?
- Sí, ahora vengo.
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