どの言語を学ぶ上でもそうだが「動詞」を理解する・覚えるというのは上達への大きな鍵である。
スペイン語をただ「話せるように」という目標を持って日本を離れ、バルセロナに移住し、勉学に励んでいた。いつからか「話せるように」という概念が消え、スペイン語は空気のような存在になっていた。
そんな感覚になりはじめた時、気づいたのは日常会話や大学の授業やテレビ、ラジオで聞くスペイン語の言葉 (動詞) の数が「範囲内」であること。
日本語でもそうだと思うが、だいたい50種類のよく使う動詞が存在する。私が好きだったスペイン語の動詞の活用を覚えるキクタンは、入門編、初級編、初中級…とあって、それぞれにCDがついている。入門編の動詞は DESAYUNAR (朝食をとる) から始まり、INVITAR (招待する)、CORTAR (切る)、CALENTAR (温める) など、活用がイレギュラーではないという意味で「簡単な」動詞が載っている。
スペイン語の勉強本の中でオススメ度NO.1 は、キクタン。これをしておくだけで動詞の活用がスッと覚えられる。すごく好きな本だし、かなり良い勉強法だと思う。
しかし、あまり会話で使わない動詞もたくさん入っている。語学学校で最初の方に習う動詞もそう。Despertarse (目覚める) や Acostarse (横になる) は、そんなに日常会話で使わないし聞くこともない。
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「DELEなどのスペイン語試験に合格するという目標を持ってる人なら前者、これからスペインで生活していくんだという人には絶対、後者。」活用 (主語によって動詞の形を変化させること) の規則性を覚えるのと、よく使われている動詞から始めるのと、どちらが効率が良いかと聞かれた時、私は次のように答える。
なぜスペインで生活、仕事をしていく人にとって後者が最も良い勉強法だと言えるか。その大きな理由は、次の例文を見ると分かるだろう。どれも町でよく聞こえてきそうなフレーズだ。
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- ¿Puedes venir a mi casa a las 17h?
(17時に私の家に来れる?)
- Tengo que ir a la copistería antes de empezar la clase.
(クラスが始まる前にコピー屋へ行かないとだめなんだ。)
- La gente debería decir cómo se siente de verdad.
(人々は本心を言うべきだよ。)
- ¿Desde cuándo vas a estar de vacaciones?
(いつから休暇になるの?)
- Acabo de hacer un examen de inglés.
(英語のテストをしたとこだよ。)
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↑ 実はスペイン語のよく使われてる動詞 (黒の太字) は活用せず、そのまま原形で使われることが多い。
なぜ、活用しなくて良いのか。
それはその単語の前にもう1つ動詞 (赤字) があるから。活用した動詞のあとに動詞の原形をもってくるこの組み合わせは、いつも必ず会話に出てくる。特に頻出度の高い動詞 (ser, estar, decir, hacer, venir, poner) は活用がイレギュラーで、最初覚えるのにめちゃくちゃ苦労する。もちろん全てを完璧に覚えるのに越したことはない。でも、覚えられなくても正しい文法で会話をすることが出来る。下の7つの動詞 (表現) さえ使いこなせていれば。
<〜しなければならない>
Tener que + 動詞の原形 (義務や必要性)
Deber + 動詞の原形 (義務や必要性)
Hay que + 動詞の原形 (義務や必要性)
<〜出来る/出来ない>
Poder + 動詞の原形 (可能性)
No poder + 動詞の原形 (禁止)
<〜するつもり>
Ir + a + 動詞の原形 (近未来)
<〜したい>
Querer + 動詞の原形 (希望、欲)
<〜したところだ>
Acabar + de + 動詞の原形
↑ 赤の部分は必ず活用 (主語によって形を変化) させなければならない。だから必然的に、下の動詞の活用は完璧に覚えるべき。これらを今まで使ったことがなかった人は、すぐにでも使ってみてほしい。驚くほど会話に広がりが出てくる。
Tener: 持つ
Deber: 〜するべき
Haber: ある
Poder: (出来る
Ir: 行く
Querer: 〜したい
Acabar: 終わる、終える
とりあえず現在形の6パターンをそれぞれ覚えておけば問題ない。現在形 (Presente) が言えるようになったら点過去 (Pretérito) を。さらに余裕があれば 線過去 (Imperfecto) の活用を。
…これを頭のどこかにおいたまま、次はスペイン語の何百とある動詞の中で使われている頻度が高いものを約50個見ていこう。
Ser: 〜である
Hablar: 話す
Comer: 食べる
Vivir: 住む、生きる
Estar: ある、いる
Tomar: 乗る、取る、飲む、食べる
Tener: 持つ
Poner: 置く
Dar: あげる、渡す
Ir: 行く
Decir: 言う
Hacer: する
Poder: 出来る
Necesitar: 必要とする
Querer: ほしい、〜たい
Abrir: 開ける、開く
Caminar: 歩く
Beber: 飲む
Seguir: ついて行く、続ける
Buscar: 探す、見つける
Caer(se): 誰かと仲がいい、落ちる、倒れる
Cerrar: 閉める、閉まる
Comenzar (empezar): 始める、始まる
Comprar: 買う
Conducir (manejar): 運転する、操る
Dormir: 寝る
Pedir: 頼む
Conocer: 知る
Encontrar: 出会う、見つける
Comprender (entender): 理解する
Escribir: 書く
Escuchar: 聴く
Pensar: 考える
Mirar: 見る
Leer: 読む
Llegar: 着く
Saber: 知る、〜する能力がある
Perder: 失う、落とす
Cuidar: 気をつける、お世話する
Salir: 出る、出発する
Jugar: 遊ぶ、(スポーツをする)
Tocar: 触る、弾く、順番が来る
Ver: 見る
Trabajar: 仕事をする、働く
Sentarse: 座る
Quedarse: 待ち合わせをする
Traer: 持って来る
Sentirse: 感じる
Probar: 試す
Pagar: 払う
Preguntar: 尋ねる、質問する
Ayudar: 助ける
Sacar: 取り出す、点数を出す
早くスペイン人とコミュニケーションが取れるようになりたい!日常生活や旅行で使えるスペイン語が学びたい!という人は上の7つの動詞を覚えたあと、この50の動詞を覚えよう。あっという間にスペイン語でコミュニケーションが取れるようになる。しかも、スペイン語は語尾を上げるだけで疑問形になるから簡単。正しい場面で使えば2単語であったとしても言いたいことがちゃんと伝わる。
<何か質問やお願いをしたい時>
¿Quieres ir? (行きたい?)
¿Quieres comer? (食べたい?)
¿Quieres probar? (やってみたい?)
¿Puedes decir? (言える?)
¿Puedes leer? (読める?)
¿Puedes comprar? (買える?)
¿Puedes hacer? (することが出来る?)
¿Puedes ayudar? (助けてくれない?)
<相手に許可を取る時>
¿Puedo pagar? (お金払えますか?)
¿Puedo pedir? (注文/お願い出来ますか?)
¿Puedo probar? (試着/試飲出来ますか?)
¿Puedo preguntar? (質問してもいいですか?)
¿Puedo abrir? (開けていい?): 窓やドアや贈り物
<相手に何かを許可する時>
Puedes tocar. (楽器を弾いてもいいよ)
Puedes probar. (試飲/試食/試着してみていいよ)
Puedes comer. (食べていいよ)
Puedes dormir. (寝てもいいよ)
Puedes abrir. (開けてもいいよ)
その他にも「よく使われる」動詞はあるけど…
Practicar: 練習する
Recoger: 受け取る、とってくる
Pasear: 散歩する
Pasar: 通り過ぎる、渡る
Reír: 笑う
Meter: 入れる
Oír: 聞く
Llmar: 呼ぶ
Limpiar: 掃除する
Compartir: シェアする
Obtener: 手に入れる、獲得する
Recordar: 覚える
Saltar: ジャンプする
やはり重要なのは上の太い黒の字の動詞たち!次の記事では「どのようにスペイン語で文章を作っていくか」を ⬇︎
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