「おすすめの勉強法を教えてください」
552本も記事を書いているのに『スペイン語のおすすめ勉強法』というタイトルがない理由は、万人に共通する良い勉強法はないから。
誰かのやり方を参考にするのではなく、自分で合うやり方を探していくのがベストだと思い、敢えて書いていなかった。しかし、これまでに二度「日本で使っていた本」については触れたことがある。⬇︎
今日のテーマは、4つ。
① 使っていた日本語の教材について。
② A1〜B2レベルに到達するまでどうやって勉強をしていたか。
③ B2〜C2までの期間。
④「動詞」に重きを置くべき理由。
【① 唯一持っていた日本語教材】
高校3年生から愛用していたスペイン語の参考書は、上にリンクを貼った【2019年7月-8月岡山会場】スペイン大学個別相談会で出た10の質問 の記事内で答えている三冊のみ。
・キクタン入門編
・キクタン初級編
・中級へのステップアップ
キクタンはしょっちゅう聞いていた。だから活用がイレギュラーな動詞につまずくことが無かった。中級へのステップアップという本は、持ち運びに便利なサイズの文法書で、視覚的に整理するのに役立った他、CDでネイティブの会話や長文の音読が聞けて発音 (アクセントの位置) の勉強にもなった。
日本語の本を聞かれたら、勧めるのはこの二種類。
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スペイン語レベルを話す時に用いるレベル (A1やA2など) についてまだ知らない人は下の記事を。
【② B2までの勉強法】
バルセロナの語学学校では、AULA (アウラ) という教科書を使っていた。有名かつ内容が良い教材。私が普段していた勉強は、宿題と、授業の復習 (動詞の活用の練習) のみ。文法書を買い足すこともなければ、Youtubeでプラスアルファの勉強をすることもなかった。その代わり、午後の自由参加アクティビティには必ず毎日行った。アクティビティは、校外授業のようなもので、歴史を聞きながら街を散策する。
カレンダーが貼ってあり…
5月3日 ゴシック地区
5月4日 サグラダファミリア外観
5月5日 バルセロナの海の地区
5月6日 ランブラス通り
みんなは興味があるものにだけ参加するが、私は既に行った場所だとしても毎回参加し、繰り返し歴史を聞いた。今なら一度で理解出来るが、当時は何回聞いても「聞きすぎ」ということが無かった。アクティビティがない日も、家にこもらず、外でとにかく生きたスペイン語を聞いていた。宿題をサッと済ませて、大聖堂の前や、カタルーニャ広場のベンチに座り…。授業と課題を疎かにせず、きちんとこなしていけば後の勉強は必要ない。
ノートにひたすら単語を書いて覚えたことは一度もない。分からない言葉はその場で電子辞書を引き、すぐ使ってみる。次回、意味を忘れていたら、改めて辞書を引く。そうすれば、2-3回目には覚えられる。メモを取ると、覚えたつもりになってしまうのか、頭に残った試しがない。『この場で覚えるしかない!』危機感的な焦りを感じると人は早く習得出来る。
ホストマザーと話す時には、いつも側に電子辞書を置いていて、分からない単語があれば直接打ち込んでもらっていた。筆記体が読めなかったから。
【③ B2からC2までの期間】
いつC2レベルになったのか、定かではない。(たぶん4年目。) B2.2に到達後は、レベルを気にしなくなっていた。自分の中でスペイン語が「外国語」では無くなっていたのだと思う。
語学学校時代と受験対策コース時代の大きな違いは、スペイン語の本を読む量が増えたこと。授業や試験範囲ではなく、自ら意欲的に「読んでみたいと思える本」に多く出会った。時間があれば本屋に行った。読めるものが一気に増えていたから楽しくて、あれこれ夢中で読んだ。(スペインは立ち読みや、ソファーで座り読み大歓迎。) カタルーニャ広場の横の FNAC に入っている本屋さんか、GUIUの近くにある二箇所の CASA DE LIBRO が今でもお気に入り。
もう一つの大きな変化は、アカデミアを修了後、大学に入学し、ネイティブしかいない環境になったこと。このあたりから「スペイン語」に深みが出始め、イントネーション・発音・言い回しもかなり自然になった。専門的な語彙も日本語くらい増えた。
C1レベルでやっと言葉に感情移入が出来るようになった。それまでは、いまいちスペイン語に感情が乗らず、一体感を感じていなかった。
学生というステータスでスペインにいるのであれば、その時々にやるべきことを一生懸命、手を抜かず、最後まで。そうすれば高い言語能力が身につく。
年齢やスペイン何年目というのは、気にしなくて良い。それぞれが合った勉強法、得意分野、興味を見つけ、自分のペースで楽しく学んでいくことが何より大切だから。
【④ 動詞に重きを置くべき理由】
とにかく「動詞」に力を入れていた。C2レベルに達した今でも、そのやり方で正しかったと思う。言語学的な視点から見ても、スペイン語の鍵は、動詞である。
活用
時制
活用がきちんと出来ていなければ、いつの/誰の話をしているのか分からない。正しい時制を用いることが出来ていなければ、話の時系列が分からない。
名詞を覚えるより、動詞。
極端な話、名詞は無くても会話は成り立つ。が、動詞は必須。無いとスペイン人に話が通じない。日本人は、全てを言わなくても文脈から「なんとなく言いたいこと」を察してくれるが…。「だいたい分かるでしょ」と思うような場面でも、スペイン人は「?」な反応をする。なぜならスペイン語において動詞は、唯一の文脈判断材料であるから。
* イントネーションは後からどうにでも矯正出来るから、とりあえず活用のルールを抑えておこう。
1つの動詞には情報がたくさん。
comiste
主語: 君 (二人称単数形)
時制: 現在と関係がない過去 (直説法点過去)
意味: 食べた (食べ終えている)
ven
主語: 君 (二人称単数形)
時制: 現在、命令形
意味: 来て、おいで
そして、
スペイン語は文頭に動詞がくる。だから出だしがとても大切。しょっぱなの活用が曖昧だと、その後に続く単語たちもあやふやになりがち。そうすると、スペイン人の「聞こうとする力」は欠けてしまい…
¿Qué quieres decir?
(つまり?)
Perdón no te he entendido bien.
(ごめん、上手く理解出来なかった。)
¿Cómo?
(え?)
¿Y eso...?
(…で?)
と、言われる。逆に、文脈にぴったりの動詞選びと活用が出来ていれば、名詞がパッと出て来なくても言葉のキャッチボールはスムーズに進む。
最悪、名詞はジェスチャーでどうにかなる。友達が持っている物を指さして、
・Compraste 〇〇.
・Te gusta 〇〇?
・Puedes darme 〇〇?
・Prefieres 〇〇?
・Rompiste 〇〇?
・Puedo usar 〇〇?
・Son 〇〇?
・Tenías 〇〇?
で、通じる。
次の文のように、主語が曖昧だと…後ろの文が長くなればなるほど「?」が積もる。
Yo compró un coche y mi padre está contento.
➡︎ 車を買ったのは僕?父が僕に車を買った?
Mi madre he dicho "gracias" por el regalo porque ese día era cumpleaños.
➡︎ 母に「ありがとう」と言ったのか、母が「ありがとう」と言ったのか。
人称代名詞 ("Me" や"Le") や、所有格 ("mi" や "su") が上手く使えていれば、混乱は少し防ぎやすくなるのだけれど。
B2までは動詞の活用を完璧に。
B2以上は時制を完璧に。(特に接続法。)
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