スペイン語は話すスピードが速い言語というテーマについて今日は書いてみる。記事の後半にはそれが証明された研究を少し紹介。
私はスペインで4年過ごし、イタリアへ来た。イタリア語生活を始めてまず違和感を覚えたのは、イタリア人があまりにもゆっくり話すこと。実際にはゆっくり話しているわけではない。イタリア語がわからない日本人からするとペラペラすごいスピードで話しているように聞こえるのだが、スペイン語の速さと会話の情報量に慣れている人からすれば遅すぎる。スペインは大学の授業もとにかく1クラスで得る情報量がすごい。3回のクラス (2時間×3回) で教授が説明した内容の要点だけをメモってこれだけの量 ↓ ルーズリーフ約15枚。基本大文字で書くけど、特に速く話す時は追いつかないから小文字に。この科目に限らずどのクラスもこれくらい書く。
最初、バルセロナに行って語学学校の先生から注意というかスペイン人と違うと指摘された点は会話の情報量 (詳しさ) だった。
「週末何した?」とか「いつも放課後なにしてるの?」っていう質問にも私は1フレーズで答えていた。
日本語でもそう。
週末何した?って聞かれたら『テニスしてたよ』とか『祖父母とご飯行った』と返事をする。いちいち「今週末は香川県に住んでいるおじいちゃんとおばあちゃんが1ヶ月ぶりに岡山に来てくれたからどこかにご飯食べに行こう!ってなって、近くにできた新しいレストランに行って〇〇を食べたんだよ!」とか言わない。
しかし『スペイン語では後者が普通』と、最初のうちは口うるさく言われ、とりあえず喋る練習をした。
もともと私はおしゃべりが大好きな性格ではなく、どちらかと言えば喋るのはめんどくさいと思っていた。だから基本的に友達と電話はせず、チャットのみ。
スペイン1年目はスペイン語を早く上達させるために、日本の家族ともずーっと活字のやりとりだった。ボイスメッセージを送ったり電話をしたりもしなかった。日本の音楽も遮断してとりあえずスペイン語に集中した。(3年目までこれを貫いた。)
2014年3月末に渡西し、10月末に1週間だけ日本に一時帰国した。久々に母と喋った。「よー喋るなあ、しかもなんか語順おかしいし早口になっとるんやけど (笑)」と言われるほど変わった。周りにいつも楽しい友達がいたおかげもあり、7ヶ月でA1.1からB1.3になった。
…でも言葉に感情が入り始めたのはもっともっとあとの話。
よく喋るスペイン人に追いつこうと頑張った成果なのか、こっちで過ごす月日からなのか、今では口数がとても増えた。良くも悪くも (笑)
5年も経てばさすがにもうスペイン語を話す前に頭で文法を考えたり、活用を確認したり、単語を忘れたりすることはなくなって、言いたいことが言いたいスピードで言えるようになる。
でも、そういう語力が高い低いじゃなくて、スペイン語を話してる時の脳は、他の言語を話してる時に比べて疲れる。脳が動いてるなって感じがする。
特に哲学関連のプレゼンをしたり友達と何かについて熱く述べる時。
客観的に考えてもベラベラベラベラ〜と、すごいスピードで言われて、それに相当する文量で返事をして…そこからかなり速い言葉のキャッチボールが永遠に続くわけなんだから、脳が日本語と同じ動きをしてるはずがないなー。。。という今日のつぶやき。
最後に、これに関連する研究について…
1998年にフランスの言語学者のピーターさん (Peter Roach) が行った研究によると、スペイン語と日本語は世界で1番速い言語だという。59人(7言語)の人に20の文章を用意し、声に出して音読してもらった。1秒ごとに発する音節の数を調べると、日本語とスペイン語は「最速」の言語という結果に。意外なことに「遅い」言語とされたのは中国語とドイツ語だった。研究者たちは各言語の音節数を調べるだけでなく、伝達されている情報の密度も計算した。その際、ベトナム語との比較が行われた。すると、スペイン語が1音節あたりに含まれる情報量が他の言語より極めて少ないということが判明。反対に、中国語はスペイン語に比べ1音節に含まれる情報量が多い。
参考記事 (スペイン語):
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