BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【バルセロナのリアルな治安】もしもの時は誰が助けてくれる?

2019年9月6日、外務省から次のような注意喚起が発表された。

スペイン: バルセロナ市における治安悪化

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しかし、これはバルセロナが「危険な街」になってしまったというわけではない。

【テロの注意喚起】
確かに、注意喚起が出るのには毎度理由がある。2015年にスペイン国内のテロ脅威度が5段階中の4 (高い脅威) に引き上げられた理由は、フランスのパリ市内で連続テロが発生したから。2016年には、ブリュッセルでテロが起こり、スペインも警戒レベル4を維持することを決定。同時にスペインの空港の脅威度も4段階中の1から2に引き上げた。空港のセキュリティがかなり強化され、少しホッとしたのを覚えている。その翌年、2017年8月17日、バルセロナで悲しい事件が起こってしまった。あの日から依然と警戒体制は続いているが、幸運なことに今日まで平和に過ごすことが出来ている。

テロは、今やどの国でも起こりうる悲劇。日本で無差別殺傷事件が起こってしまうのと同じで、誰も予想出来ない。多くの場合、防ぎようがない。それなのにテロが起こった街は『治安が悪い、危ない』とレッテルを貼られてしまう。仕方がないことだが、この記事では、バルセロナの「大丈夫」を伝えたい。

 

【スリの増加について】
中心部で生活をする私は、他の地区に住む友達よりもスリや置き引きを見かける頻度が高い。スペインに来た1年目以来、何も盗られてはいないものの、被害に遭った人・犯人を追いかける市民・盗もうと手を伸ばす人を度々目撃したことがある。先日、日本に帰国する前 (7月末) にもカテドラルの真っ正面でスリを見た。天気が良い日だったので、久々に大聖堂の前で写真を撮って祖父に送ろうとシャッターを切った。その瞬間、大きな声で体格の良い男性が「おい!!ふざけるな!!」と叫び、ものすごいスピードで右から左へ走った。黄色の服を来た別の男性も同じ方向へ走って行った。

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背もたれのない長い石のベンチに座っていた老夫婦 (観光客) のカバンを盗んで逃げた犯人を追いかけているんだ!とすぐに気づいた。どこにでもいそうな、スリには見えない、普通の男性がカバンを盗んでその場を立ち去ろうとしていた。老夫婦はその男の手元からカバンを取り返してくれた男性二人に感謝を述べ、お礼がしたいと手を掴んでいた。「日常茶飯事」とまでは言わないが、バルセロナでは「ありえる光景」だ。

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【もしもの時】
もしもの時は、周りの人たちが助けてくれる。逆に、私たちも誰かを助けなければならない。この街の市民は勇敢。誰かを救っては「いえいえ、当たり前ですよ」と謙虚な態度でその場を立ち去る。そんな光景を何度か見てきた。そんな彼らの勇気を真似て、メトロでスリを止めたこともある。バルセロナの「みんなで守っていこう」という雰囲気がとても好き。

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2017年8月18日、テロが起こった翌日もそうだった。バルセロナ民は『No tinc por! (私たちはテロなんて怖くない!)』と言いながら皆んなで恐れることなく事件現場となったランブラス通りを歩いた。

【事件に遭わないために】
次の五つを守ればほとんどの被害は防げる。

・人混みが多い場所、中心部を歩く時は必ずリュックやカバンを前抱えに。
・知らない人がいきなり何かを聞いてきたら警戒する。
・夜は極力出歩かない。慣れている道であれど人通りの少ない場所に1人は危険。
・大勢の人が集まるデモやイベントは避ける。
・高価な物をたくさん身につけて歩かない。

留学で来ている人、長く住んでいる人は本当に「慣れた頃」が危ない。留学生同士であれ、在住者同士であれ、スリは2人以上の日本人が一緒にいる姿を見ると旅行者だと認識してしまう。アジア人の友達と中心部を歩く時も後方の注意を忘れずに。

【バルセロナの街】
笑い声と明るさでいっぱいのカラフルな街だからなのか「治安が悪化した」と言われても実感がわかないのが正直なところ。でも、気を引き締めて過ごそうと思う。

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海外生活は華やかで楽しいことばかりではなく、日本にいる時以上に周りに敏感にならなければいけない。そのためには、キケンの可能性を知ることが大切だと思ったので、少し暗いテーマではあるが、こういった記事も1本書いておくことにした。

 

【読みたい人のみ】バルセロナでテロが起こったあの日
2017年8月17日16時50分頃。あれは、滅多にショックを受けたり「悲しい」という感情を持たない私が初めて、言葉に表せないほどの大きなショックを心に受けた日だった。事件が起こったのは、365日通る道。大学のキャンパスから目と鼻の先。同じ学部の友達と肩を並べてよく歩く空間。家からも徒歩2,3分のところだった。私はたまたま数日前から日本にバケーションで帰国していた。が、もし帰っていなかったら確実に歩いていた時間と場所だった。携帯を見るとフェイスブックの通知がたまりにたまっていた。みんなが悲痛な気持ちで安否の確認をし合っていた。いつもは他人事だった「安否の確認システム」が有り難く思えた。24時間が経過しても連絡がつかない哲学部の友人が数名。日本にいながらも全く落ち着かず、自分の大切にしていたモノを誰かに壊された気分になった。SNSでシェアされている動画も、日本のテレビにうつる映像も、全てホームビデオを見ているような感覚になるほど、当たり前の見慣れたいつもの街だった。それなのに、なぜか悲しみにくれる人ばかりがいた。

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