パッセージダグラシア (Passeig de Gràcia) は、ガウディの建築作品、カサバトリョ (Casa Batlló) と、カサミラ (Casa MIlà) があることでも有名な大通りで、美しい並木とモデルニスモの要素が詰まったベンチと地面のタイルが特徴的。
この道には街灯と一体化しているベンチが合計32あり、これをよく「ガウディの作品!」と勘違いする人がいる。実際には、Pere Falqués i Urpí という同年代の建築家の作品で、ガウディは全く関わってない。
観光客の人もバルセロナ市民もお店や美しい街並みについつい目を奪われ、ベンチの1番高い位置にいる、ある生き物に気がつかない。
…そう、コウモリ。
コウモリは Jaime I (ハイメ1世) の幸運のシンボルであった。ハイメ1世はアラゴン王・バルセロナ伯、そしてバレンシア王国を築いた歴史上重要人物で、カタルーニャ語ではジャウマ1世。コウモリの下にはアラゴン王国を表す王冠、その下にはバルセロナの旗のマークが。
このベンチはスペイン語で Farolas (ファロラス) と呼ばれ、1906年に設置されたもの。座る部分にはタイルがセメントで固められている。このタイルの敷き詰め方と曲線が多い建築様式からガウディを連想する人が多い。
それもそのはず。Pere Falqués (ペレ ファルケス) も同じようにタイル工場から不要になった、捨てられる寸前のタイルたちをもらってきてこのベンチに使った。そのおかげでコストはだいぶ削減されたらしい。
このモザイクタイル技法は trencadís (カタルーニャ語で「切り刻まれた」という意味) と呼ばれ、カタルーニャモデルニスモの代名詞。もちろん trencadís の生みの親はガウディである。
Pere Falqués (1850-1916) もバルセロナの街のあちこちに、偉大な作品を数多く残している。リセウ大劇場のリフォーム工事やシウダデラ公園の拡大工事に携わった他、ガウディ通りとランブラスにある街灯を作った。凱旋門の広場のベンチと街灯も彼の作品。
パッセージデグラシアで写真を撮る時にはこのベンチを忘れずに!そしてまだコウモリを見たことがない人は上を向いて歩いてみよう!
まだアスファルトが敷かれていない時 (1951年)
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