BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【カタルーニャの現状2018秋】現地の若者の生の声

9月11日カタルーニャの日 (Diada Nacional de Catalunya)。私にとってはまだ5回目のこの祝日。だが、初めてバルセロナに来た時から毎年違った「カタルーニャ」印象、そして9月11日の雰囲気を感じている。今日は現地のいわゆるカタルーニャ人の若者の声と、風潮についてまとめてみる。

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2018年の現状は、ヒドイ。本当にカタルーニャ州の半分の人が独立賛成、もう半分の人たちが反対という真っ二つに分かれている状態であるがゆえに、親子・恋人・友人・夫婦の関係も悪化するようになってきた。『父は独立を賛成しているが息子は独立大反対』というように家族間でも独立を賛成する派と反対する派で分かれていることもある。政治的意見の食い違いから親子の絆が壊れ、絶縁関係にまで至ってしまったケースも。親子だけでなく、夫婦間でも離婚の原因になってきているらしい。これほど熱い両派の思いから『市民戦争がいつ起こってもおかしくないと誰もが思っている。』と先日、大学の友達数人が悲しそうにつぶやいていた。『カタルーニャはもちろん育った自分の州だから他の場所より愛着はすごいけど、でもスペインも自分の国だから。独立まで持っていくのは何か間違えてる。』という現地の若者の声も多い。

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2,3年前まで私はこういった運動やニュースを目にするたび「カタルーニャ人はカタルーニャに対する愛がすごいな〜」と、どちらかと言うとプラスに捉えていた。少し怖いなと思い始めたのは去年2017年。バルセロナでテロが起こってしまった8月17日から独立住民投票が行われた10月1日にかけては特に「カタルーニャ独立」が激しさを増していた。カタルーニャが独立するとなれば、カタルーニャにある外国企業は困る。通貨も独自のものになるから生活面でも何らかの影響が出る。外国人の間ではビザ関係の混乱が起こる。シェンゲン協定から外れると入国・出国のコントロールも変わる。…このような現実を考えると他人事ではない気がしてきた。40代〜年配の方たちだけでなく、若者もしっかり自分は賛成か反対か意見を持っているあたりがお国柄というか日本と違うな〜と感じる。

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私が初めて「カタルーニャ独立大賛成」を強く支持する友達に出会ったのは2015年。26歳の生まれも育ちもカタルーニャという男子大学生。その子の両親はどちらもカタルーニャ州出身ではない。彼の両親が仕事を始める年齢の時、バルセロナは今と同様、スペインの中でもお金がよく動く街だった。観光も芸術も盛んで、いわば「お金持ちの州」であったため当時、多くの若者はカタルーニャ州へ出稼ぎに来ていた。そのままその地で結婚し、子供をもうけ、その子供達が今20代という…。だから親もカタルーニャで生まれ育っているから、自分の州に対する愛がすごい!というわけではない。その友達が独立を賛成する理由は「お金」である。現在もこの事情が問題でカタルーニャとスペインは対立を続けている。『スペインのGDPの20%はカタルーニャのおかげなのに国からの交付金が少なすぎる!だったら独立してカタルーニャで得た利益はスペインに渡さず、自分たちのために使って豊かになろう!独立してもやっていけるだけの経済力がある!』と…。こう思っているのは若者だけでない。

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今年のカタルーニャの日のTシャツはこの色でこのデザイン。老若男女問わず多くの人が着ていた。9月11日にバルセロナ市内の雰囲気を見た観光客は「こりゃあカタルーニャも独立できるね。バルセロナに住む人のほとんどが独立賛成なんだなあ。すごい人の数じゃないか!」と思うかもしれない。それくらい多くの人が州旗を羽織り、揃いのTシャツを着て町中を歩いていた。でもあのデモをしていたのは全員が市内在住の人ではない。周辺の町村から来た人がほとんどなのではないだろうか。

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その証拠に、カタルーニャの日には異様な数の大型バスがずらーーーーっと市内中心部道路の左右に停車されている。100台なんて優に超える。

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この日のバルセロナの雰囲気だけを見ていたらカタルーニャ色に圧倒されてしまうけど、最初にも述べたように独立反対派と賛成派は人口の半々な状態だ。反対派の人もこのデモ集団の数と同じくらいいる。

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最後に2015年と2017年のデータを比較して終わる。下の棒グラフは「カタルーニャ自治州議会選挙が行われる前に、選挙に必ず行くと答えた人の数」を年齢グループ別にしてある世論調査の結果である。2015年が白っぽい色の方で2017が濃い色の方。左にある項目は下から総有権者数、18-24歳、25-34歳…そして65歳以上だ。

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続いてのデータは「選挙に行くと答えたが、まだどちらに投票しようか定まっていない人の割合」である。ここで顕著なのは18-24歳の若者のまだ独立反対なのか賛成なのか意志が定まっていないところだ。

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この結果から、「(カタルーニャの)若者は自己決定力や社会に共存する力が不足している」と新聞に書かれた。それに続いて「自分をスペイン人と思うがカタルーニャ人だとも思う若者の割合: 35.7%、いやスペイン人よりカタルーニャ人だと思う割合: 30.4%である。そしてカタルーニャ人だとしか思ったことがない: 28%…という数字から若者は果たして国家主義者と言えようか?」と疑問が投げかけられた。(2017年12月データ)

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