有効なNIEのカードが手元にない状態でスペインを出国し、再度入国するためには、再入国許可証 (Autorización de Regreso) を取得しなければならない。
この許可証を持たずにスペインを出国すると、再度スペインへ入国出来なくなってしまう。…入国以前に出発国の空港のチェックインカウンターあるいは乗り換え地で行う入国審査で通してもらえない可能性が非常に高い。
では、NIEの更新手続き中、どうしても日本へ一時帰国する必要がある場合、どこにどのような書類を集めて持って行けば良いのだろう…?
今日は再入国許可証を取得するために必要な書類の一覧、申請書の書き方、TASAの支払い証明書の記入方法、再入国許可書の有効期限等をシェアする。
【対象】
再入国許可証を申請出来る人は…
(1) NIEのカードを初めて申請し、書類審査に合格 (FAVORABLE)したものの、まだカードを受け取れていない人
(2) 期限が切れたNIEのカードを更新するために書類提出をし、現在のステータスが『EN TRAMITE (審査中)』になっている人
(3) NIEのカードが盗まれた人、紛失してしまった人、折れてしまった人
いずれかに当てはまれば、申請可能である。
NIEのカードの更新期間は、期限が切れる60日前から期限が切れた90日後だが、この期間中に更新手続きが開始出来ていない場合 (期限が切れて90日以内に書類提出が行えていない場合) は、再入国許可証の申請が出来ないと明記されている。
今回、フォーカスを当てるのは、最も該当者が多いであろう (2) のパターン。
【必要書類リスト】
- 申請書 (EX-13)
→ 3枚からなるPDFだが、印刷するのは1ページ目と2ページ目のみで良い。
- TASAの支払い書 (790-012)
→ オンラインで事前に個人情報等の入力をした上で印刷しなければならない。ATMで支払いを行う場合は、支払い後に出てくるレシートを無くさないように注意!
- CITAの紙 (予約確認書)
→ オンラインで予約が完了した際、確認書をダウンロード出来る。
- パスポートの原本
→ 有効期限内であれば、残存期間が6ヶ月未満でも大丈夫だった。
- パスポートのコピー
→ 顔写真のページを白黒印刷。
- 期限が切れたNIEのカード原本
→ 何らかの理由でNIEのカードの原本を受け取れていない人はその旨を当日説明するしかない。盗難に遭った人は、盗難届を持って行こう。
- 期限が切れたNIEのカードのコピー
→ 表面と裏面を白黒印刷する。
-「EN TRAMITE」の紙
→ 警察署の公式HPから現在の書類提出状況が確認出来るので、そのページのコピー。詳細は後ほど。
- NIEの更新手続きで提出した書類一式
→ 全て一式持って行く。
- 旅行の必要性が確認出来る書類
→『旅行の必要性を証明する書類』も警察署のHPに記載されている書類リストの一覧に入っている。日本に一時帰国するのであれば、なぜ日本に帰る必要があるのかが分かる書類を提出しなければならない。口頭で軽く理由を答えればOKな担当者もいれば、印刷した証拠書類を求めてくる担当者もいるので、可能な限り準備して行きたいもの。クリスマスシーズンであれば、「家族に会うため」というヨーロッパでは絶対的な理由を言えばすんなり通ることが多い。人道的な理由は通年配慮される。もちろんその場合は証拠書類は不要。事前に用意出来る書類は、医師の診断書、試験の受験票など。
これらの書類を集めて管轄の警察署へ持って行く。事前に予約ページから『AUTORIZACIÓN DE REGRESO』の予約を取っておこう。
【申請書の書き方例】
1ページ目:
2ページ目:
【TASAの支払い書】
記入例は以下の通り。
項目ごとに支払う手数料の額が変わる。今回は再入国許可証の申請なので「Autorización de regreso」を選択。
2023年12月19日現在、TASAの支払い金額は『10.72ユーロ』である。金額が表示されている右の「En efectivo (現金払い)」にチェックを入れて、終了。PDFをダウンロードし、印刷。それを銀行の窓口またはATMへ持って行き、支払い。現金でもカードでもOK。
【再入国許可書の有効期限】
インターネットで「スペイン再入国許可証の日数」「スペイン再入国許可証の有効期限」と調べると、『この証明書を取得することにより、スペインを出国後、90日以内に本国の領土に戻ることが出来る』『NIEのカードの有効期限が切れてから90日有効な証明書が発給される』という情報がヒットするが、正確な日数は不明だった。
申請日から90日なのか、NIEのカードが切れて90日なのか。
実際、2022年8月23日(火)に再入国許可証を得た弟のケースを見ると、
NIEのカードの有効期限: 2022年7月31日
更新手続きを開始した日: 2022年6月7日
再入国許可証の申請日: 2022年8月23日
再入国許可書の交付日: 2022年8月23日
再入国許可証の有効期限: 2022年11月21日
交付日からちょうど90日間有効になっていた。翌日に再入国許可証を得た人は、2022年11月22日までの有効期限だったから、再入国許可証の有効期限は『交付日から90日間』ということになる。
【発給までにかかる時間】
発給までにかかる時間は、オフィスによって異なる。
私はここ9年の間に何度か、バルセロナ市内の最寄りの大きな警察署 (CNP RAMBLA GUIPUSCOA 74) で再入国許可証の申請と取得を行なったが、いずれの日も即日発行された。予約なしで行った日は、少し (2-3時間) 待った記憶がある…。
弟は今回バルセロナの中心部から電車を乗り継ぎ30-40分かかる、郊外のオフィス (COMISARIA IGUALADA) で申請をした。書類提出から発行まで一瞬だったよう。羨ましい。
【ステータスを確認するページ】
自分が提出した書類はOKだったのか、不備があったのか、まだ審査中なのか…。ステータスが見れるページへ飛び、確認してみよう。Información sobre el estado del expediente de extranjería へ行き、「ENTRAR FORMULARIO」をクリックし、
自分のNIEの番号、申請へ行った日 (例: 10/07/2022)、生まれた年 (例: 1995) の3つの情報を入力する。
すると、現在のステータスが表示される。「EN TRAMITE」であれば、帰国直前でなくても申請が可能。早いうちにこのページを印刷し、警察署へ持って行く方が良い。
再入国許可証を申請する際に提出する「EN TRAMITEの紙」は、これ。
【問題が起きにくい経由国】
「再入国許可証を持っていてもヨーロッパのある国で乗り継ぎをする際に問題になる」というケースを耳にしたことがあるが、『ドイツだから引っかかる』『オランダの入国審査は厳しい』というのはあくまで噂だから信じない方が良い。国や空港ではなく、入国審査官によって対応は全然違う。こればかりは運。
バルセロナ発パリ乗り継ぎで大阪へ戻る際、いつも経由地パリで出国審査を行うが、パスポートの提示だけでは不十分でNIEのカードを確認する出入国審査官もいれば、パスポートを軽くチェックするだけでサラッと通してくれる審査官もいる。
家族であっても1人ずつチェックを受けなければならなかった日 (2022年4月半ば)、旦那さんの窓口の審査官はパスポートを見た後、すぐに出国印を押して通してくれたのに、私の窓口の審査官は、NIEのカードも提示するよう求めてきた。そしてパスポートに押されてあるハンコたちをジーッと見て、NIEのカードの情報もよーく見て、しばらくして「どうぞ」と返却してもらえた。5分はかかった。
過去に2度、再入国許可証を用いて大阪からオランダ経由でバルセロナに戻ったことがある。本当に再入国許可証が無ければ入国できないのか確かめるためにあえてこちらからは出さずに、いつも通りパスポートとNIEのカードのみ差し出した。すると、1回目は再入国許可証を求められた。NIEのカードが切れている点を入国審査官がよく見ていた。2回目 (別の年) は、再入国許可証だけでなく、NIEのカードも提示不要で (提示したがこれは大丈夫だよと言われ返された)、パスポートだけが必要だった。
だから再入国許可証を持って日本へ一時帰国する際、「安心な乗り継ぎ国」というのは存在しない。個人的な意見としては、他の人の体験談など気にせず、いつも使っている航空会社で帰れば良いと思う。仮に「ドイツの空港で引っかかりました。ドイツは厳しいです。」という人がいたとしてもその人は1回運悪く引っかかってしまっただけだろう。全員が全員引っかかったのであればドイツ以外の経由地でスペインへ戻ろうと考えるだろうが…それはあくまでもその人のケースに過ぎない。
出来るだけの備えをして、きちんと再入国許可証を持って堂々と一時帰国をすれば良い。それ以上の準備のしようがない状態で引っかかってしまったらそれはその時。仕方がない。持っている書類を上手く使い、スペインのビザ事情を乗り換え地の入国審査官に説明し、説得するしかない。そういった力も海外生活を続ける上では重要である。
【急ぎのケース】
取っている飛行機が出発するまで24時間または48時間を切っている場合は、急ぎのケースとして、予約なしで対応してもらえる。これに関しては以前に下の記事で詳細と体験談を書いたことがある。
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