BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活11年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【学費-人脈-就職率】スペインの国公立大学と私立大学の違い

日本の大学なら何となく公立と私立の違いがイメージ出来るけど、スペインの大学はどうなんだろう?と悩んでいる人にぴったりの記事。

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① 入試の合格点
公立大学は私立大学よりも入試 (PAUやEBAUやPCE) で高い合格点が必要となってくる。私立大学はだいたい書類と面接で合否を判定する。たまに独自の試験を行うところもあるが、難易度は公立の共通入試に比べるとかなり低め。合格できなくても違う方法で入れたりもする。例えば、入学後に強制的に何十時間の基礎知識履修コースを受けなければならない、など。入試の合格点が低い=成績が低い生徒が多く行く=そのレベルに合わせたクラスが行われる。

② コンタクト (contactos)
私立大学は人脈 (大学生と企業) を広げやすいカリキュラムが組まれている。企業や組織、様々なコンクールやイベントなど、卒業後に人と人との繋がりが大事になってくる人にとっては私立大学の方が良いかもしれない。独立して会社を作りたい、自分で起業したいという時に役立つと言われている。でも、これはスペインで仕事をするならの話。スペイン国外での就職を考えるなら公立に限る。これに関しては後ほど、⑥の項目で。

③ 卒業後の就職率 (salidas de la carrera)
一般的にスペインでは私立大学の方が独自の求人市場 (bolsa de trabajo) を持っているから就職しやすいと言われている。直接どこかを紹介してくれたり、インターンからそのまま就職というパターン。しかし、公立大学だから就職しにくいと言うことは100%ない。失業率が高い学部でなければ、問題なく就職活動を行うことができる。『卒業から1年以内に90%以上の就職率』を公立学部をよく見かける。

④ 教育の質 (calidad de la enseñanza)
これは一概に「公立が高い、私立が低い」と言えない。本当に大学による。私立大学の先生は良く言えば「親身」「ゆっくりリラックスした雰囲気」で教えてくれる、と言う人もいれば「私立大学の方が先生はきっちりしてるし質が高いよ、だってそうじゃないと生徒は公立より何倍も高い学費を払っている点を抗議しだすだろう」と言う人もいる。ただ1つ確実に言えることは、有名公立大学の教授は、研究、実験、執筆、論文を重ねた経験を持っていること。学生の立場からすればこの「教授の経験値」の差は大きい。なぜなら博士論文を書く時に手厚いサポートをしてもらえるから。毎日の授業で習う専門内容が本当に為になるから。

 

 

私はバルセロナ大学に通い、日頃の授業の質の高さを存分に感じた。

⑤ お金 (factor económico)
公立は授業料が日本より安い (年間25万円前後)。私立大学は高く、マドリッドやバルセロナであれば年間平均1万ユーロ (約170万円)。公立大学の授業料は州によって異なる。一部、同州内でも学部によって異なるケースもある。参考までに ↓

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私立大学は「高い」と言えど、日本より数倍安いのではないか。

⑥ 学歴 (tútulos oficiales)
スペイン以外の国の大学に留学、編入する時、もしくは卒業後に就職する時、私立大学の学歴だと困ることもあると聞く。日本の高校の成績や卒業証明をスペインで認めてもらうために行った手続き (学位認定) と同じことをしなければいけない、と。公立であればヨーロッパは共通単位を用いているため、スムーズに書類の提出が出来る。有名公立大学であればヨーロッパの多くの企業が認知している。…日本の企業に就職するのなら、公立でも私立でも関係ないイメージがある。

⑦ クラスの人数の違い
公立大学の授業は基本的に大人数、私立は少人数。私立大学を好む人は「少人数のクラス=質が良い」と思っていることが多い。私は公立大学哲学部の授業を数えきれないほど受講したが最高70人、基本25人だった。しかし、この人数の差は全く気にならなかった。多いから教授がちゃんと生徒をサポートできてないということもなければ、声が行き届いてない、パワーポイントが見にくいということも一切なかった。

⑧ 響き
正直、バルセロナで「公立大学に通ってる」と聞くと『勉強を頑張っていそう』と感じる。「私立」と聞くと『学費が高い&勉強はきっと楽なんだろうな』と勝手にイメージしてしまう。…これはどこの国のどの街にもある。

⑨ 学生の国籍
公立大学はスペイン人の学生が多く、8割を占めている。一方で、私立は入試の条件がゆるいことから海外からの生徒が多く、スペイン人は全体の6割程度な印象。ホテル・観光学・写真・映画系は特に。

⑩ 研究の環境
研究を極めたい学生は「公立の方が施設環境が整っていて良い」と言われる。しかし、消耗品や何か材料を多く用いる実験を行う学部であれば私立の方が優れてる、だとか。

【その他】
・奨学金に関してはどちらも同じで、利用しようと思えば可能。ただ、政府が一定額を定めているため、私立でお金がかかる場合の差額は自己負担になる。
・私立大学は卒業後の労働力に重きを置いているため prácticas (実践系の授業) の時間が長い。

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