スペイン語は唯一、逆びっくりマーク (感嘆符) と逆はてなマーク (疑問符) を文の始めと終わりにつける言語である。"¿" と "¡" は他の言語のキーボードで打つことができない。
【歴史】
疑問符の歴史はとても古く、中世のラテンの手書き (カロリング朝時代) の書物に使われていたデータが残っている。(カロリング朝とはピピン3世がメロヴィング朝を倒して開いたフランク王国2番目の王朝 (751年〜987年) = フランスの歴史) しかし、この頃は文の終わりに1つだけ記号がつけられていただけだった。ここクエスチョンマークはラテン語で「質問」を表す "quaestio" が元になったと言われている。一方で、感嘆符は1400年頃の印刷物に出現したのが最初という以外に起源などは分かっていない。一説には、ラテン語で喜び・感銘を表す間投詞 lo を縦に重ねた合字とある。
【逆はてなマークの歴史】
長年に渡って「疑問符は文末に1つでいい!」「いや、それでは足りない!」と学者・アカデミアの間で熱い討論が繰り広げられた。特に長い文章では文頭と文末に必要だ!と昔から言われ続けているのだが、その理由は…
スペイン語は語尾をあげて読めば疑問文になるため、出だしの声のトーンがとても大切になってくる。1単語目を読む時から「疑問文」と分かっていれば読み出しの気持ちもトーンも変わってくる。
というもの。確かにこれには納得。
(イタリア語もスペイン語と同様、語尾を上げれば疑問文を作れるが、¿? が存在しないから、本を読みながら文の途中あるいは終わりで「ああ、これ疑問だった?」と気づき、頭からその文を読み返すこともある。その度、スペイン語は楽だな〜わかりやすいな〜と。個人的にはこの決まりをすごく便利だと思っている。)
1753年10月17日にスペイン語学を研究するいくつものアカデミアが大きな歴史的決断を下した。『眺めの疑問文では文をハテナマークの逆さま (un signo de interrogación de apertura) で始めること』
→ 翌年1754年の正書法から上記のルールが適用された。(短文では今まで通り・他の言語と同様、文末に1つのマーク。)
逆びっくりマーク (¡) がスペイン語の正書法に加わったのはそれから少しあとのこと。
【でも、短文って…?】
長文と言われても...。短文って何文字以下なの?と、当時の人たちは曖昧さを感じていた。そのあたりの詳しい説明もルールもなかったので各々が自分の基準で ¿? を用いていたのだが...、やはりはっきりとしたルール (文法規則) は必要なもので。1870年に RAE (アカデミア) は、現在も使われている基準を定めた。それは、
文の長さに関係なく、全ての疑問文には頭にも疑問符を!
2014年、正式にびっくりマークの名前が signo de admiración から signo de exclamación に変更された。(RAEのスペイン語辞書の23版から)
これまでに何人もの作家は「はてなマークは読者に感情を伝えることのできる唯一の方法である。だから文末にあるのとないのでは大違い。我々にとってはこの上ないありがたさ。」と語っている。
【最初にもつけないと正しくない?】
1869年までの、RAE (レアル・アカデミア・エスパニョーラ) の辞書には、"caramba" (驚きを表す単語: カランバ) は Caramba! (うわ!びっくり!) と書かれてあったが、翌年の版からは ¡Caramba! と表記され、二重感嘆符が義務付けられるようになった。
→ だから「今何時?」は "Qué hora es?" と書くと不正解。ちゃんと反対向きのはてなマークをつけて"¿Qué hora es?" と書かないとテストではバツされてしまう。スペイン人とのチャットでは全く問題ないし、彼らも終わりにしかつけない!でも、先生や教授とのメールはフォーマルに書くから ¿ ? とするのが礼儀正しい。
スペイン語で逆さまのハテナは、
un signo de apertura (¿)
文末のは un signo de cierre (?)
反対のマークは、
los signos de apertura ( ¿ ¡ )
スペイン語独特のものだからしっかり覚えておこう!
【スペイン語で「!?」は?】
"¿¡Quién te ha dicho esto!?" こうなる。文章を真ん中に左右が反転する感じ。文末が「!?」なら「 ¿ ¡ 」で始まる。
【びっくりマークが3つ4つの時は?】
¡¡¡Traidor!!!
(裏切り者!!!)
¡¡¿¿De verdad piensas eso??!!
(本当にそれ思ってるの??!!)
というように、強調させたい時には他の言語と同じく、3つも4つもつく。
おすすめ記事: