もうすぐ10月31日。年々スペインにもハロウィンを祝う習慣が浸透してきて、様々な場所でジャック・オ・ランタンや小さなカボチャを見るようになってきた。が、バルセロナ (カタルーニャ州) ではこの時期、カボチャより「栗」があちこちで売られている。それもそのはず、10月31日はカタルーニャ人が1年で最も楽しみにしている『カスタニャーダ (La Castañada)』の日!18世紀から続く伝統的な焼き栗祭りの日で、街の広場で盛大に祝うこともある。ガリシア地方ではカスタニャーダを Magosto (マゴスト) と、バスク地方では Gaztanierra (ガスタニエーラ) と呼ばれている。
旧石器時代から人類は栗とドングリから栄養を摂っていた。(特に栗は長年に渡って重要な食べ物であった。) ローマ人により栗の栽培がヨーロッパで拡大されると、生で食べたり、乾燥させたり、粉砕したり、焚き火で焼いたりと、次第に様々な食べ方をされ始めるようになった。
冬場に「暖を取りながら栗を焼く」のは一石二鳥で、ガリシア地方の農民を中心に大流行した。これが焼き栗祭りの起源とされている。しかし、18世紀の終わりにアメリカからトウモロコシとじゃがいもが伝来し、栗が主食でなくなってしまった…。
↓ 昔のバルセロナの街角
【マゴストを祝う地域】
サラマンカ (Salamanca)、カセレス (Cáceres)、サモラ (Zamora) そして、ポルトガル。
【カタルーニャのカスタニャーダ】
甘〜いマスカットワイン (vino moscatel) や、焼き芋&焼き栗を楽しむのが定番。日本の「焼き芋」が好きな人は、スペインで売っているものを一度試しに買ってみると良い。日本のさつまいもほど外の皮の色が濃くないし、しかも中はオレンジっぽい色…。美味しいのかな?と初めての秋は躊躇して食べなかった。が、翌年食べてみると意外にも美味しかった。大学芋にしたり、味噌があれば豚肉を買ってきて「さつま汁」を作ったり!スペインのさつまいもはスーパーでも、boniatos (ボニアートス) と書かれて売られている。ちなみに焼き栗は、スペイン語で castañas asadads (カスターニャスアサーダス)。【なんのために祝うのか?】
現在では「秋の大収穫祭」「秋の到来祝い」というイメージが強くなりつつあるが、もともとは『翌日11月1日諸聖人の日に先祖の魂が戻ってくるからその前夜は一睡もすることなく、教会の鐘がなるたびにお祈りしなければならなかった』らしい。だから寝ないために栗を煎りながら人々は夜を明かしたとか。
日本と同様、スペイン人の若者もお祭りごとが大好きで、やたら何かと祝いたがる。ハロウィンもメキシコの死者の日も、アメリカとカナダの感謝祭 (サンクスギビングデイ) も全部祝う。
【現地の若者流: 楽しみ方】
10月31日
ハロウィンだから心置き無く一晩中夜遊び
↓
11月1日
諸聖人の日は家族や親戚と集まり
焼き栗を食べて1日リラックス
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