BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活10年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【Keith Haringの壁画】バルセロナで見るキース・へリング作品

落書きで世界を変えたアメリカのストリートアーティスト、キース・ヘリング (Keith Haring) は、80年代にビルやメトロの壁をキャンパスに見立ててペインティングを始めた。今やニューヨークのカルチャーとして完全に浸透しているポップアート。その先駆者はのちに「希望と夢を残してこの世を去った天才・伝説キースへリング」と呼ばれる。彼は1982年から1989年にかけて世界各国の街・病院・孤児院・広場などに多くの作品を寄付した。そしていくつかの都市 (ベルリン、パリ、ピサ、バルセロナなど) には壁画を残した。

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バルセロナに作品を残すきっかけとなったのはNYの個展で知り合ったカタルーニャの美食家モンセ・ギジェン (Montse Guillen) だった。彼女はNYでインターナショナルレストランを経営していた。 

 

ある日ナイトクラブで「私の故郷バルセロナの壁に、作品を残してみない?」と言われたキース・ヘリングは最高な提案だ!と思い、翌日バルセロナ市に許可を申請した。その日のうちに許可が降りたのですぐにバルセロナに向かった。そして1989年2月22日に下書きなしで高さ2m、横30mの作品を仕上げた。たった5時間で。このことから彼がとても行動力のある人だったことがよくわかる。友達の提案から24時間後には絵を完成させてしまうなんて。f:id:kaedetaniyoshi:20181018002148j:plain

市役所から「壁画を描く場所は好きな場所を選んでいいですよ」と言われた彼はラバル地区の中心地にある広場を選んだ。当時ラバル地区は「中国人のエリア」と呼ばれていたほど、中国人移民が多くてどこかみすぼらしかったのだが、その雰囲気がNYで彼が落書きを始めた頃を思い出させたらしい。

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この壁画を見たい人はランブラスから1本ラバルの方に入って、バルセロナ現代美術館 (MACBA) の前を通って行くか、

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少しまっすぐ行ったところにあるCCCBの入り口からアクセスするか。ちなみにこのCCCBの真っ正面にある建物はバルセロナ大学の哲学部のキャンパス!

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どちらから行っても無料で、年中みることができる。

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実際に壁画を描いている様子が見れるビデオも残っている。

「予想していた通り5時間で作品を仕上げることができたよ。壁には予想外の変な勾配があって書きにくかったんだけど、僕がこの仕事で最も気に入ってるのはその状況での『物理的な適応性』に対応するって心だからね。最初は苦労したけど、やってくうちに均質でバランスが取れた状態で塗れる体勢を見つけたんだ。」と彼は語った。壁画には大きな蛇に注射器が描かれている。その下には SIDA (エイズ) という文字が。絵は赤色一色で描かれている。この赤は血をイメージしているそう。完成間近、キース・ヘリングはスペイン語で "Todos juntos podemos parar el sida (みんなで一緒にエイズを止めることができる)" と書き残した。

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オリジナル壁画は街の区画整理のため、残念ながら1992年に壊されている。が、取り壊しは予期されていたため、複製は予め準備されていた。それを市が2014年に今の場所、MACBAの横の壁に復元させた。

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同年1989年に完成させたピサの壁画はこちら ↓  Sant'Antonio (サン アントニオ) という教会の側面に描かれている。180平方メートル (高さ10mで横18m) のこの壁はヨーロッパで1番大きい。

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キース・ヘリングは、なんと1990年にエイズの合併症が原因で若くして命を落としてしまった…。31年という短い人生をアートと共に全力で楽しんだ彼の作品を一度バルセロナで見てみるのはどうだろうか。

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