バルセロナ中心部にあるカテドラル。そのすぐ横にある Plaça de Sant Felip Neri (プラサ・デ・サン・フェリップ・ネーリ) という小さな教会。ゴシック地区の賑やかな通りから1本奥に入っただけで静けさが漂うこの場所。近くには喫茶店やカフェテリアが多くてゆっくりするにはもってこ場所。この教会を見て違和感を感じるのは壁にあるたくさんの穴。銃弾の跡?なんで修復されてないの?と疑問に思う観光客も多いだろう。今日はその意味について説明。
遡ること約80年前、1936年から1939年に渡ってスペインでは、スペイン内戦 (Guerra Civil Española) が起こった。共和国派と、独裁政権フランコを中心とした右派の反乱軍 (ナショナリスト派) の争い。
事件は戦争が終わりかけた1938年1月30日に起こる。
フランコ軍による激しい銃撃と砲撃がバルセロナを襲ったのだが、その際に共和国派が最後に自滅覚悟で立てこもっていた広場が攻撃の的となった。そして Sant Felip Neri広場 が爆撃され、42人もの命が奪われた。その当時、この場所は中世の墓でいっぱいだったが近くには保育園があり、教会の地下室で避難する場所をたくさんの子供達が探していた。亡くなった42人のうち、その多くが保育園に通っていた子供だったという悲しい事実。
「サン フェリペ ネーリの爆撃の犠牲者を忘れない。1938年1月30日、この地でフランソワ航空隊の行動によって42人が亡くなってしまった。」と刻まれた碑がこの広場にはある。この砲弾のあとは、バルセロナの中に残る内戦の跡の1つであったのだ。
観光スポットとしてはあまり有名ではなく、たまに年配の方が参加しているツアー団体がここに足を運んでその歴史を耳にしているのを見かける。カテドラルから歩いて1,2分と、本当に近い。
悲しい歴史だが、目をそらさずに無数にある砲弾の跡を実際に見て当時の悲惨さを感じるのも現代を生きる上で大切なのかもしれない。
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