BARCELONANDO :)

1995年香川生まれ岡山育ち。現在ヨーロッパ生活11年目。スペインとイタリアの大学生活・旅行・言語学 (5ヶ国語)・哲学・バルセロナおすすめ情報など、幅広いジャンルの記事を執筆中。

【好きな言葉】書道から見えるイタリア人の家族愛

今日、ミラノから来たイタリア人のフランチェスコに書道を教える機会があった。

私がこれまでに関わった書道に興味があるヨーロッパ人たちはたいてい日本文化と日本語の知識を持っていた。それ故か、レッスン開始前の会話で割とすんなり『書きたい言葉 (漢字)』が決まった。

「僕は【花】を書きたい」

「【LOVE】はカンジでどう書くの?」

「僕は【人生】にしようかな」

お決まりのごとく、フランチェスコに聞いてみた。

「書きたい文字はある?」

フランチェスコは全く日本語が話せない。

知っている単語は二単語。

『こんにちは』と『ありがとう』のみ。

日本語に平仮名とカタカナと漢字があることも知らなかった。

ここ11年ほど、スペイン人とイタリア人に囲まれる生活をしてきているが、「日本ラブ」とまでいかない人たちもみんな私が平仮名や漢字を書くと、かなり好反応を見せる。

しかし、フランチェスコの反応はなんだか微妙で、漢字に芸術的な魅力を感じていないようだった。

「漢字じゃなくても良いよ」と言うと、彼は『そうだな〜。だったらエルが書きたいな。アルファベットのエル。』と言った。

アルファベットは想定外だったが、縦と横の線の練習になるか!と思い、エル (L) からスタートした。

書きながら「なぜエルなのか」を聞くと、柔らかい表情で『両親の名前がどちらも「L」から始まるからだよ!筆で「L」を書いてプレゼントしたいと思って!』と口にした。

「だったら頭文字ではなく、カタカナで名前を書いてみない?」と提案した。実際に見るカタカナの雰囲気を気に入ったらしく、黙々と練習が始まった。

レオナルド

ルチィア

(蛇足) イタリアの人名「Lucia」はよくカタカナで「ルチア」と表記されるが、「ルチア」だとアクセントの位置がおかしいので、「ルチーア」または「ルチィア」の方が良いと個人的に感じる。強いて言えば「ルチィア」と書くと日本人は完璧に近い発音でその名を呼べる。

上手く書けるようになったら次は清書用紙にチャレンジし、とても素敵なプレゼントが出来上がった。

「せっかくなので漢字も書いてみない?」と提案したが、やはり彼は家族ラブなようで、次は甥っ子の名前、そして姉、姉の旦那さん、彼女の名前…。

「自分の名前書いてないじゃん!」

『ほんとだ!忘れてた!』

というやり取りがあったほど、イタリア人は家族を大切にする。本当に理想的。

前にも記事に書いたことがあるが、日本人にとっての「家族」よりも家族の範囲が広い点も良いなと思う。

一緒に住んでいなくても、甥っ子や、自分の兄弟の旦那さんも当たり前に「家族」に含めて家族の話をする。携帯に入った何千枚の写真の中からすぐに甥っ子の写真が出せる、今何歳何ヶ月なのかもサラッと我が子のように言える。

フランチェスコの身体に入っているオリーブの木のタトゥーは、幼少期から家族との思い出が詰まっている自宅の庭に生えている1本の大きなオリーブの木らしい。

久しぶりにイタリア人の家族愛を肌で感じた、そんな1日だった。

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