2021年12月20日(月)
熊本県立第二高等学校理数科1年生を対象にした約2時間の講演会をオンラインでさせていただきました。
高校卒業後から現在に至るまで私が歩んで来た道、スペインと日本の文化や考え方の違い、国によって異なる試験の採点基準、留学、きっかけと行動、哲学の面白さなど。
これから将来の進路を考えて行く大切な時期と心にふさわしい言葉が残せていれば幸いです。
【熊本県立第二高等学校】
SSH (スーパーサイエンスハイスクール) 指定校である第二高校は、
幅広い進路選択を可能にする
普通科、理数研究を先導する理数科、
県内唯一の美術家の3学科を擁し、
3学科全てが科学と融合する3年間を通して、
文武両道を実現しながら、
県内屈指の進学実績を誇っています。
『第二高校について』HPより
この BARCELONANDO :) ブログを読んでくださった田尻美千子先生からお話をいただきました。私にとっても素敵な機会をありがとうございます。
【講演会テーマ】
主なテーマは、以下の5つでした。
・私の経歴と現在
・スペインと日本の違い
・マルチリンガルの良さ
・哲学
・文系≠数学不要
嬉しいことに生徒の皆様から予めいただいていた質問の数は50個を超えており、当初のイメージよりも動的な質疑応答形式で会を進めることが出来ました。
普段から多彩なカリキュラムの下で科学知識を養われていることが窺える、高校1年生とは思えない『質問の幅』に感心させられました。
・どうしてそんなに頑張れるんですか?どうやったらそんなに努力できるようになるのか?どうしたら、他の人の2,3倍必死で勉強できるようになりますか?
・スペイン語と英語が似ているという話を聞いたことがあるが、相違点や共通点を教えてほしいです。スペイン語を学ぶ上で苦労したこと、日本語や英語といった他の言語との違いが知りたいです。
・最初にスペインへ行こうと思ったきっかけはなんですか?初めて哲学に興味を抱いたのはいつころからですか?
・途中で諦めそうになったときはありますか、あったときはどうやって立ち直りますか?大きな決断を迫られた時、迷って決められなくなったら、どのように解決すれば良いのでしょうか?辛い時、モチベーションをどうやって上げましたか?
・哲学はどんなことを勉強していますか?哲学の学習はどんな感じでやりますか?
・やはり他言語を学びたいと思ったときには、現地に行って学ぶのが一番ですか?日本とは違ったルールや文化の場所へ足を踏み入れることに不安はありましたか?
・日本の教育方針で改善するべきところがあると思いますか?
・スペインと日本の大きな違いは?スペインの大学生と日本の大学生の違いは?
【哲学に触れる】
この日、少し『哲学』を知ってもらうために提示した思考実験は、
『ラッセルの時計』
→ 止まっている時計がたまたま本当の時刻だったら…?それを見た人の知識は正しいと言えるのか?
『逆転クオリア』
→ 私が赤だと思っている色は、他人の青かもしれない。
『メアリーの部屋』
→ 色を見たことがないメアリーが外の世界に出たら…?色を見たことがない人に色を教えることは可能か?
小難しいイメージを抱かれがちな『哲学』ですが、考えるきっかけとなる身近な例やシチュエーションを用いることで「哲学って面白い!」「身近にあったんだ!」と感じてくださる方が多かったです。
以前から興味を抱かれていた方にとっては、新しい視点の発見に繋がったり、自分と同じことを考えている他者がいるという認知が安心感に変わったり、もっと哲学に触れたいという気持ちが湧いてきたり…。知識と知識が結びつく、哲学ならではの魅力をもっと伝えていけたらと思います。
【参加者の感想】
講演を終え、生徒の皆様からいただいた感想の一部をご紹介させていただきます。
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一番の学びは、大学の選択肢は日本だけでなく世界にもあるということです。この講話は私の将来の道を増やすことができる可能性をおしえてくれた人生でも大きな経験になったと思います。
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僕は特に先生の過去についての話が印象に残っています。事前にもらった情報にも書いてありましたが、自分の興味がある分野だからと言って海外にいって他人よりずっと勉強して追いつく、追い越すというのは簡単なことではないと思います。また、そこまでいくのにやった勉強法や普段の生活についてもとてもためになるものでした。
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自分は、留学や知らない場所に行くことに消極的でした。失敗するのが怖かったり、自分の力が及ばないかなど、心配なことが多かったからです。 でも今回話を聞いて、自分がやりたいことのためならそんなことにかまってられないなと思いました。これからは思い切りを大切にします。
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今日は内容の濃いお話をしていただきありがとうございました。僕も大学は海外の大学にしようか迷っていましたが、今回の講話で決断が出来ました。
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今日学べたことはたくさんあります。 1つ目は、「哲学は色々な教科とリンクしている」ということです。今まで哲 学は文系の色が染み付いた教科だと思っていました。しかし、理系の教科にもリンクしていると聞いて驚きました。 2つ目は、楓先生のようになるには半ば無謀とも言えるくらいの挑戦だとしても絶対にやり通すだけの情熱を持てるようになればいいのかなと考えたことです。3つ目は、常に自分のレベルに満足すること無く、上に上にを目指していくことが頑張り続けることのできることだということです。これに関しては自分も心がけていたことでしたが、大事なことなのだと再認識させられました。
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今回の講話を聞いて、私も英語と日本語の他に、何か別の言語を習得したいと考えるようになりました。一番の学びは「好きなことをするのは、どんなに難しくても苦しくないということ」です。
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もしクラスの上位層に入れたとしてもそこで満足することなく更に上を目指していこうと思いました。 また哲学の話について、そもそも結構哲学に関しては興味があってこの話のなかの哲学の話題をめちゃくちゃ楽しみにしてました。期待通りどの話も聞いていて楽しかったし、「こんな考え方もあるんだ!」とハッとさせられるものもたくさんでした。
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その他の感想もいくつか学校のHPに掲載されています。ぜひご覧ください。
熱心に話を聞き、丁寧なお礼のメッセージを寄せてくださった生徒の皆様、足を運んでくださった先生方、そして事前アンケートの実施から始まり、下準備、当日のサポート、HPの記事作成などをしてくださった美千子先生、ありがとうございました。
第2回講演会は、哲学のみにフォーカスを当て、一歩踏み込んだ内容となります。何世紀にも渡り、議論が繰り返されている哲学問題を前に生徒の皆様方と一緒に考え、討論をしながら新しい時間と空間を共有していく予定です。
【講演依頼】
オンライン講演依頼や企画、開催時期や費用のご相談など、講演会にまつわるお問い合わせは以下の項目をご記入の上、メール (barcelonandoo@gmail.com) をお願いします。
・お問い合わせ内容
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・担当者名 (ふりがな)
・ご希望の実施日時または時期
・講演会のテーマ
・参加者の概要
・ご予算
・その他ご質問など
自身の大学のスケジュールや、メインの仕事を第一に考えておりますため、時期によってはご依頼をお受けしかねます。予めご了承ください。コロナの状況が落ち着き、スペイン⇆日本間を自由に行き来可能な生活に戻りましたらオンラインではない対面型の講演会も検討していきます。
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