スペイン語で都合の良い時間を聞かれた時、
① ¿A qué hora te va bien?
② ¿A qué hora te iría bien?
どちらの方がより相手の『心遣い』を感じるだろう?
【私の使い分け】
もし、弟にスペイン語で「明日何時が良い?」と聞く時は、
¿Mañana a qué hora te va bien?
(明日何時が良い?)
と、動詞 "ir (行く)" の現在形 "va" を使うが、あとは基本的にコンディシオナルの "iría" で都合を尋ねる。
¿Mañana a qué hora te iría bien?
(明日何時だったら大丈夫?)
話者の性格や年齢によると思うが、私は親しい間柄でも後者を使う。親しいからこそ丁寧な言葉を選ぶことが多い。
【ニュアンスの違い】
Q1. ¿Te va bien? は、失礼?
A1. 決して失礼な印象を相手に与えることはないが、初めて話す相手、目上の方、何十歳も年上の方に聞く時は、¿Te iría bien? もしくは、¿Le iría bien? の方が良い。
Q2. ¿Te iría bien? は、フォーマル?
A2. この2文の違いは、フォーマルかインフォーマルかではない。相手と自分の距離が近いか遠いかでもない。¿Te iría bien? の方が、"más educado (より教養がある)" な印象を与える。
Q3. ¿Te iría bien? は、敬意を感じる?
A3. もし、友達から ¿A qué hora te iría bien? と聞かれたら…そこに「敬意」は感じないが、時間を選ぶ優先権をもらえている気がする。
【ふさわしい日本語訳】
私が日本人の生徒さんにスペイン語を教える時は次のように訳を出す。
¿Mañana a qué hora te va bien?
明日何時が良い?何時か言って。
¿Mañana a qué hora te iría bien?
明日何時だったら良い?大丈夫そうな時間を教えて。合わせれるよ。
【〇〇な時は…】
一度、自分の都合で予定変更をしてもらっている時。友達に車を出してもらう時。家まで迎えに来てもらう時。などは、大親友だとしても、彼氏彼女だとしても ¿A qué hora te iría bien? の方が良い。
【好きな子に聞くなら?】
あくまで個人的な見解にはなるが、好きな男の子、女の子とデートの約束をする時、お互い10代後半〜20代前半なら、私は ¿Mañana a qué hora te va bien? をおすすめする。お互い20代後半以上であれば、"iría" を。
¿Te iría bien?
『誠実かつ紳士的な男性』な印象
『控えめな気が利く女性』な印象
これは非常に小さなニュアンスの違いであるし、スペイン人の多くは (特に若者は)「どちらでもそんなに変わりないよ」とか「Te va bienで良いんじゃない?俺ら友達だし」と言って気にしないかもしれないが、私が "educado (この人、賢い人なんだな)" と感じるスペインの友人や知人は、親しい間柄になっても文脈によってこの動詞の活用を使い分けている。そういうのを見ると、やはり万国共通の「心遣い」は存在するんだなぁと感じるし、私たち、非スペイン語ネイティブも自分の性格に合わせて言葉を選べたら素敵だなぁと思う。
【つぶやき】
それゆえ、スペイン語を教える時は、まず生徒さんの性格をよく知りたい。その方にあった言葉遣いを教えられる人こそが本物だと思うし、そういう「教える準備が整っている人」が、教育の場にもっと増えてほしい。
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