言葉も文化も違う遠く離れた異国の地で、笑いのツボが同じ人に出会えるものなのか。
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今日までの6年半の海外生活の中で、私は2人。100点満点と言えるほどユーモアセンスがぴったりな人と出会うことが出来た。一緒にいると常に笑いが絶えない。
日本にいる面白い親友たちと同じ感覚。
ただ、話す言語が日本語ではないだけ。でも、よくよく考えると不思議な気分になる。20年以上、異なる国で生きてきた者同士が、涙が出るほど、息が苦しくなるほど笑い合えるだなんて。
【確率は低いのか】
育った環境や国が異なったとしても、同じものに対して『面白い』と思える人は、やはり存在する。そのような相手と過ごす時間は、とにかく楽しい。話題がどんどん広がり、話が尽きることはない。
バルセロナに来て以降と、それ以前の同じ期間「6年半」を比較した時、
2014年3月から2020年10月 (6年半)
➡︎ 18歳〜25歳
2008年9月から2014年3月 (6年半)
➡︎ 13歳〜18歳
私は…『日本でも海外でも、笑いのツボが同じ人に出会う確率は同じ』で、縁だと思う。
中学から高校にかけては、クラスがあって、学年があって、部活があって、遠征や練習試合で仲良くなった他校・他県の子がいて、先輩や後輩の友達とも仲良くさせてもらって、…様々な出会いがあった。
バルセロナに来てからも、語学学校で何度もクラスが変わって、課外授業で仲良くなった子もいて、別の学校にも通い始め、大学生になり、活動の幅を広げ、イタリアにも住み始め、…1回目の人生とは思えないほど多くの人と関われた。
18歳以降は、学校行事 (文化祭や体育祭など) がないため「用意された仲良くなる機会」が極端に減ったものの、1人1人と過ごす時間 (回数) が増えたから、親しくなった人の数に大差がないのだろう。
【高い語力は必要か】
異国の地で、笑いをシェアできるレベルの関係性を築くのには、かなり高い言語力が必要な気がする。しかし実際は、そうとも限らない。
・一言で笑わせられる。
・視線だけで笑い合えることもある。
・言語以上にセンスが合うかどうか。
・話すテンポとタイミング。
日本語でも、普段の生活の中で友達や家族と笑い合うのに「巧みな話術」や「語彙力」は、あまり重要な要素にならない。何語でもそれは同じ。
【私の好きな2人】
記事の最初に書いた『笑いのツボが合う2人』は、どちらもイタリア人。このブログ内で何度か名前や写真を出したことがある。
【LETIZIA】
イタリア人の女の子。出会ったのは、カラブリア生活開始から数日後の2017年11月。
私が一人暮らしをしているイタリアの家に水道屋さんが来てくれた日、レティツィアに「お風呂場の水道がまた壊れてさ、今来てくれたからまたね!」と返信メッセージを送った。
それから2週間も経たない間にまたしても水道の調子が悪くなり、再度、修理に。3度目の日、ちょうどレティツィアから電話がかかってきていて、会話の途中でインターフォンが鳴った。いつものおじさんが『修理に参りました!』と。それを電話越しに聞いたレティツィアはイタリア語で…
レ『え?また壊れたの?』
私「そう、チューブを替えた方が良いらしい」
レ『いや、水道屋さんを変えるべきでしょ』
私「(笑) 言えとるかも」
「イタリアの生パスタは、茹で時間が書いてある場所を探すのが毎回大変」と呟くと、『パスタは心で茹でるもの』と返してくれるタイプの子。
【DAVIDE】
イタリア人の男の子。出会ったのは、バルセロナ生活開始から数日後の2014年4月。
カメラマンだから高価かつ高質なカメラを何十台も持っている。シャッターを切る瞬間と編集時間を除いて、ずっとジョークを言っている陽気な性格。旅行の時には、大きなカメラ用のリュックに、3-4台、機材もレンズも綺麗に詰めて持ってくる。マミヤのフィルムカメラ、チェキ、キャノンの一眼レフ、光学式と電子式が切り替えられる富士フィルムのデジカメ、ライカ…。
ある日、首や肩からカメラ数台を下げ、隣を歩いている時、ダビデの足が止まった。被写体を見つけたのだと思い、顔を見た。私は笑った。そしてスペイン語で、
「…だび!(笑) それだけ良いカメラがいっぱいあるのにさ、さっきからiPhoneでしか撮ってないじゃん(笑)」
と言った。これが通じる相手。確かにと言わんばかりに自分でも笑いが止まらない。
話す言語は、スペイン語かイタリア語だけど、私の中では、素の状態で (日本の方言で) 話している気分。「めっちゃええカメラ持っとんのんさ、iPhoneでしか撮んじょらへんやん(笑)」って突っ込んだつもり。(この記事を読んでくださっている人の中で、讃岐弁に聞き覚えがある人はどれくらいいるだろう…。)
『ベジタリアンになったよ!』と言われた日、お昼に行った韓国料理店で私の真似をしてビビンバに生卵を割り落としていた。
私「…卵は、セーフなん?(笑)」
ダ『(笑)』
生き物の命の尊さを熱く語っている最中に、家の中に入り込んだ一匹の厄介な蚊を真剣な眼差しで追いかけ始めた時も面白かった。両手でパンっとで叩いた直後、
私「(笑) 蚊の命は…?」
ダビデ『(笑)』
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こういうエピソードがたくさんある。
(左から母、弟、Tくん、祖父母)
私の家族との相性も最高に良いこの2人。ダビデと母はやっと去年、念願の対面を果たした。共通言語がないから私が随時、通訳をする形だったが、それでもリビングで2人して床に倒れこんで笑うこともあったほど、楽しい時間を共有していた。レティツィアの話も、よく家族とシェアしているが、その度に、弟も母も爆笑する。いつかみんなが直接顔を合わせる日が楽しみ。
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