イタリア語は『言語の深さ』と『話者の表現方法』が比例していない。スペイン語の方が語彙も時制も豊富なのに、イタリア人の方がコトバの操り方 (表現) が上手い。他言語話者と比べてもそう。
それが顕著に現れているのが、自己紹介文。
【自己紹介文を送って】
仕事の打ち合わせをしている最中のこと。私が今年タッグを組むイタリア人男子に「生徒さんたちに配るチラシに掲載する自己紹介をチャットで明日までに送ってね!2,3行でお願い!」と言うと、彼は後回しにせず、すぐに送ってくれた。非常にありがたい。
例年、オリジナルの文章 (講師の母語) の下に私が和訳をつけることになっているのだが、イタリア人の自己紹介は日本語に翻訳すると違和感をとても感じる、THEイタリア人っぽいフレーズなことが多い。それを読むたび「こういうところが素敵だな」と、ほっこりする。
普通、2-3行で自己紹介をするなら、
こんにちは、私の名前は〇〇、日本人です。趣味は〇〇です。楽しく一緒に〇〇を学びましょう!
くらいだろう。
他国の同年代の男の子たちは、
ベーシックに近い文だった。
オーストラリア人:
僕の名前は〇〇で、オーストラリア出身です。現在は■■で英語の先生をしています。一緒に英語を学びましょう!
アメリカ人:
こんにちは!僕はアメリカから来た〇〇です。テキサスで生まれて、オクラホマ州の大学へ進学しました。この6月に■■で英語の講師を始めました。一緒に楽しく学ぼう!
そして気になるイタリア人は…
こんにちは、僕はイタリア人の〇〇、イタリアで特に建築に秀でている〇〇という小さな県に生まれました。どんな時も礼儀正しく、相手を尊重できる人でいっぱいの日本という国がとっても大好きです。現在のメインの職は、カメラマンですが大学では教育学を選考していました。人と接すること、動物と触れ合うこと、自然に溶け込むことが大好きです、一緒に人生のマジックを楽しもう!(p.s. 自然て僕たち人類の母のような存在だよね!)
👏
「3行」に近づけるために頑張って読点で繋いでるところと、ありきたりじゃないフレーズが魅力的。人生のマジック (magia della vita) とか自然が人類の母ってあたりは日本語にすると違和感があるけど。
もう1人のイタリア人男子は…
こんにちは、僕は〇〇!南イタリアから■■へイタリア語を教えるために来ました!大学では人類学を学び、人とのコミュニケーションを取るのが大好きです。待ってるよ、君のために僕はここにいるんだ。すぐに会えるといいな :)
👏
前半は他の国の子でも書きそうなフレーズだけど、後半はやっぱりイタリア人らしさを感じる。
相手に情をわかせるのも上手いし、相手を褒めるのも上手い。
ちょっと次元が違うような、
違う角度から世界を見ているような、
人の心の掴み方を知っているような、
どこか壮大な、
表現の仕方を彼らは知っている。
でも、意識的に発言しているようには思えない。…だとしたらどこからこの魅力はやってくるのだろう。
芸術の影響か、
風土か、
そういうお国柄なのか。
おすすめ記事: