スペインにもイタリアにも自分の "santo" または "santa" (聖人) を祝う習慣がある。分かりやすい例で言うと…
2月14日: バレンタインデー (世界的に祝日)
→ バレンティーナちゃんがお祝いされる日
9月24日: メルセーの日 (カタルーニャの祝日)
→ メルセーちゃんがお祝いされる日
1月19日: 聖マリオ (イタリアのノーマル日)
→ マリオくんがお祝いされる日
と、言うように…
私たちには馴染みがないが、キリスト教徒が多い国では自分の名前に聖人がついている。ほぼ毎日何らかの聖人の日だから、誕生日でもないのに「おめでとう!」と言われている人をよく見かける。直接言うだけでなく、SNSで相手のページに祝福メッセージを入れたり、チャットを送ったり、誕生日と同じ感じで祝い合う。
この習慣はそもそもカトリック教会・キリスト教・聖書が関係しており、自分のサント (聖人) を祝う理由は、『誕生日は日付を、名前は祝われる内容を』を重視という概念があるから。昔は、宗教的な理由だけでなく『新生児と家族全体 (先祖も含む) を繋げる、家族の一員として歓迎して迎える』という意味もあった。
それが現在では「キリスト教」と深く関係したお祝い儀式のようになった。誕生日と一致していなくても、自分の名前の聖人の日は祝う。誕生日よりもサントの日の方が自分にとっては特別!大事!という人もいる。
しかし、
全ての聖人 (名前) が聖人カレンダーに載っているわけではない。
じゃあ…
「全員に聖人の日はないのね!」と思いきや、
11月1日があった。
la fiesta de todos los santos (諸聖人の日)
スペインもイタリアもこの日は祝日で、
言ってみればみんなの日、みんなを祝う日。
スペインやイタリアでの子供の名前の付け方は大きく分けて3つ、
① 呼びやすい親しみやすい好きな名前を付ける
② その子にどんな未来を歩んで欲しいか考え、守護神を選び、そこから取る
③ 祖父母や両親と同じ名前にする
守護神…
神…
自分の名前…
私はこの、聖人の日にオメデトウと言う習慣がこの5年間イマイチわからなかった。
自分の聖人の日があるなんてどんな気持ちなんだろう?他の人たちはどういう祝いの感情を抱いてオメデトウと言ってるのかな?言われた本人は嬉しいのか?誕生日でもないのに?
と、思いつつも…
みんなと同じように誰かの聖人の日には、その人のFacebookページに一言「おめでとうー!」と書き込んだ。
スペインだけかと思いきやイタリアにも同じ習慣があった。
イタリアにきて幾度となく「スペインより宗教が日常に根付いている」と実感したが、サントにおいてもそれを感じた。
イタリアでは人名だけでなく、地域や村にも聖人がいた。ある日、授業後に教授が『知ってると思うが明日はここの大学がある地域の聖人の日だから授業は一切ないよ!』と言った。
「え!」と驚いた。
周りにいた友人たちは「私の村は〇〇月〇〇日がサントで休みよ!」「うちの町は〇月の第三日曜日よ!その日は小・中学校もないよ。」と教えてくれた。
村ごとにもあるなんて、
しかも祝日的な扱いで…。
そんな中、最近、ふと閃いたことがある。
1995年生まれの私は今年2019年=年女。
だから家族から「おめでとう」と言われた。
その時、
あー、こんな感じかー。と、
あの『オメデトウの気持ち』が少し分かった気がした。
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