BARCELONANDO :)

1995年生まれ。ヨーロッパ生活5年目。バルセロナ・イタリア・ヨーロッパ・言語学・哲学に関する記事。

【出題傾向・対策】スペイン大学入試 SELECTIVIDAD (PAU) 2018年秋情報

来年度から廃止…と毎年言われ続け、まだまだ存在するPAU (共通大学入学試験)。カタルーニャでは2018年も例年通り夏と秋にセレクティビダッが行われた。2019-2020年入学の試験もこの調子でいけばあるだろう。去年あたりから日本人の高校生で、スペインの大学に直接入学したいって子が急増してるらしいから誰かの役に立てばと思って、今日は私が受けた科目の出題傾向・パターン・答え方などを書いていこうと思う。最後にアドバイスも。

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スペインの大学入試 (以下 SELE)スペイン人の高校卒業者と全く同じ条件下で行われるから外国人にとっては超難関。必須科目からして、日本の高校で履修するものと全く違う…。専門知識はもちろん必要だし、日常会話レベルのスペイン語では絶対に合格しない。この試験に合格するためにB2レベル以上あればいいのかB1ではきついのか聞かれても判断が難しいから以前に載せたことのある過去問を参考に自分のレベルはどうか見てみるのもアリ。→ 【スペイン大学受験 Selectividad 過去問】バルセロナ - BARCELONANDO :)

2018年のSELEの科目は以下の通り:

Alemán
Análisis musical
Biología
CC. Tierra y medio ambiente
Cultura audiovisual
Dibujo artístico
Dibujo técnico
Diseño
Economía de la empresa
Electrotécnica
Física
Francés
Fundamentos de las artes
Geografía
Griego
Historia
Historia de la filosofía
Historia del arte
Inglés
Italiano
Latín
Lengua castellana
Lengua catalana
Literatura castellana
Literatura catalana
Matemáticas
Matemáticas aplicadas
Química
Tecnología industrial

2017年以降廃止された科目は:
Filosofía
Literatura Universal
Historia del Mundo Contemporánea
Economía

受けた4科目のうち3科目がまだ実在。なんで世界文学史無くなったんだろう。1番好きだった科目なのに。まあもう受験しないからいいとして…、じゃあ3科目を分析していく。

【Historia de la filosofía: 哲学史】
試験ではある哲学者の書いた作品の一説が出題される。AとBとCがあるから答えやすいものを選ぶ。それに関係ある質問が5問あるから答えていく。ここでは哲学史に関する知識、分析力、批判的に意見がいえる力を見られる。

1. テキストの核となるアイデアを簡潔に説明するとともに、それぞれがどのように関連づいているか答えなさい。(2点)
2. (2単語書いてあって) これらの単語はテキストの中で使われていたものであるが、どういう意味であるか簡潔に説明せよ。(1点)
3. この著者の考えを肯定的に説明しなさい。この文章にはないが、その著者が唱えたその他の説やアイデアを網羅させてください。(3点)
4. この概念と他の哲学者の説を比較せよ。(2点)
5. このテキストで著者が抱えてる問題点を哲学的思考を用いて述べよ。自分の考えを書く哲学エッセイを書け。(2点)

(例) 2018年のPAUで出題されたのは、
A. 古代と中世: プラトン
B. 現代: デカルトとロック
C. 近代: ミルとニーチェ

A.プラトンの作品は「国家 ("La República: libro II")」から一説が抜き出されたらしい。
B1. デカルトは Meditaciones Metafísicas, parte I, II, V y VI
B2. ロックは Ensayo sobre el entendimiento humano libro I, cap II と Segundo tratado sobre el gobierno civil, cap I, II, III, VIII, y XIX
C1. ミルは Sección IV de Sobre la Libertad y secciones II y IV del Utilitarismo
C2. ニーチェはGenealogía de la Moral と Sobre verdad y mentira y mentira en sentido extramoral

というように有名作品からばっかり。プラトンの「国家」以外日本語ではなんていうタイトルがついてるのか見たことがないからスペイン語で書いた。

2018年夏の過去問PDFが見たい人はカタルーニャのHPから ↓
http://universitats.gencat.cat/web/.content/01_acces_i_admissio/pau/documents/examens_2018/pau_hfil18jl_es.pdf

【Lengua castellana: スペイン語】
試験ではテキストを分析して、理解して、自分の考えを論理的にスペイン語で述べることができるかを見られる。言語だけでなく、文学史の問題も出題される。試験は1時間半で、内容は3つにわけることができる。①読解 ②筆記 ③言語学的問題 である。2つの試験の中から1つ選び回答する。それぞれ1つのテキストが印刷されており、①と②はその文章に基づいて作られている。

① 読解で聞かれる内容
・文章に書かれてるアイデアに反する質問
・文中にある言葉、表現、ことわざ、句の意味
・自分で簡潔にまとめを書くか、意見を書く
・別のテキストと比べて一貫性があるかないか述べる
・文章の種類・構造、筆者の1番言いたい事
・著者の意見、考え、説を分析
・言葉と言葉の関係、動詞の時制、文中にある接続詞のやくわりなどについて分析

(例) A: セルバンテス
    B: フェデリコガルシアロルカ 
    C: アナマリアマトゥテ
    D: ラモンマリア デル バジェインクラン
       F: トルメス

② 筆記で聞かれる内容
文の構造を理解した上で、ちゃんと文章が書けるか。(発展させて→主張する) 文章を読んだ後、その著者のアイデアを理解し、正しい接続詞や言い回しで自分の意見を文字にできるか。テーマに沿った一貫性のある文章が作れるか。

③ 言語学的問題で聞かれる内容
意味論、シンタクシス、形態論、語彙、正書法について。(多義語・同義語なども)

 2018年夏の過去問PDF ↓
http://universitats.gencat.cat/web/.content/01_acces_i_admissio/pau/documents/examens_2018/pau_lles18jl.pdf 

【Inglés: 英語】
3つにわけれる。①リスニング (30分: 全体成績の30%) ②読解 ③筆記 (60分で読解は全体の30%で筆記は40%) 

これは解説いらないレベル。日本の高校で習った英語レベルと同等だと思うし、今までにしたことがある英語のテストと似た感じ。ただ、英語は筆記の配点が大きいから、そこに時間かけて点数稼ぐのもアリ!読解に時間かけて結局よくわからなかった…っていうよりいい。

2018年夏の過去問PDF ↓
http://universitats.gencat.cat/web/.content/01_acces_i_admissio/pau/documents/examens_2018/pau_angl18jl.pdf

【全科目に共通するポイント】
・問題/文章を理解して簡潔に要点だけ述べる。
・文章を作る時の構造も意識する。
・接続詞がporque, por eso, por tanto...と毎回同じパターンにならないように ya que や puesto que, dado que なども使う。
・主語が yo じゃない文章を書くことにも慣れること (客観的に書けるように)。
・問題はいつも選択式。だから試験開始後すぐ、冷静にまず一度両方の問題に目を通す。文章が読みやすい!ってのを選ぶんじゃなくて、あくまでこの文章は何問かある質問のベースになるだけだから、質問をよく読んで答えやすそうな方を選ぶ。(文章より質問を見て選択問題を!) 

【文学をやる人へ】
・試験ではとりあえず書く。文章量を多く。
・出題範囲の作品は全てきちんと読む。最初にまとめなどをネットで見ない。
・文学史のテストでは2つの作品を比較するパターンしか出てない。
→ 2つの作品の書かれた時代の特徴、芸術や宗教運動、その時代に活躍した他の作家と代表作を比較。それから著者の経歴も詳しく書く。
・私はA4の紙5枚にびっちり小さい字で書いて満点を出した。その解答のバランスを振り返ると、50%が時代背景、その時代の宗教・芸術・文学・経済運動、時代の特徴、その時代の有名な作家とこの作家の特徴と比較と思想について、30%が作品の内容を細かく分析、10%が言語学的分析でもう10%が最後に全てのまとめ。
・何年に出版された本か、全て書いた方が点数upしやすい。作品名の下には線を引くのを忘れずに。
→ El presente libro es una de las obras importantes de Miguel de Unamuno y es Niebla (1914), obra clave para entender sus pensamientos. (...) Por otro lado, sus obras más filosóficas son: Del sentimiento trágico de la vida (1912) y La agonía del cristianismo (1925).

【哲学をやる人へ】
・文量は文学ほど求められない。
・論理的に、わかりやすく、哲学の説や思考をまとめる。
・いちいち日本語で哲学用語を探さない方がいい。意味は日本語で理解するよりスペイン語で想像して類義語を見て、派の説明を読んでイメージする方がいい。
・勉強する上で、いつも「この哲学者とあの哲学者は考えてることが真逆だな」とか「この哲学者のこの説をあの人は否定したんだな」というように頭の中で関係図を作るといい。
・とりあえず読む。わかるまで、理解できるまで読む。スペイン語は理解できたけど、哲学がわからないって人は理解しなくていいから丸暗記する。
・文章を書く時に Sócrates dice que....dice que....って decir を使いすぎない。afirma que とか sostiene que とかバリエーションを!
・各哲学者が唱えた有名な説・思想に対して自分で例が作れるように。すごい例じゃなくていい。りんごがあったとして〜、って感じでわかりやすい日常的なもので例えればいい。

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