BARCELONANDO :)

1995年生まれ。ヨーロッパ生活5年目。バルセロナ・イタリア・ヨーロッパ・言語学・哲学に関する記事。

【ガウディがSanctusに込めた意味】サグラダファミリアの秘密

バルセロナ代名詞でもあるサグラダファミリア2026年の完成予定に向けて現在も日々進化し続けている美しい大聖堂で、最近 (2018年7月2日) 生誕のファザード (la fachada de la passió) に大きな十字架がつけられた。上の方にあるから小さそうに見えるけど実は高さ7.5m、横4.25m、重さ18トンもある。その十字架の後ろにそびえ立つ4本の塔によく見ると "Sanclus" の文字が!いや "Sanctus"、ラテン語だ。それにしてもいっぱい書いてある。

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大学で哲学の作品を読んでいるとよく出てくるこの"Sanctus" という単語は「聖なる」という意味で、英語では "Holy"。クリスマスの歌で聞いたことある人も多いだろう。スペイン語では "Santo"と言う。なぜこんなに何度も同じ言葉が書かれているのか。ガウディ (Antoni Gaudí) はどんな意味を込めてここにこの文字を入れたのか。今日はその謎を紐解いていこう。

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カトリックの賛美歌の中では三位一体をもっとも聖なるものと崇め、「聖人」という言葉が3回、"Sanctus Sanctus Sanctus..." と繰り返されている。そのほかの場所には "HOSANNA (自由にしてくれ)" や "Excelsis Deo (天のいと高きところには神に光栄あれ)" と書かれている。"Excelsis Deo" は Gloria in excelsis Deo を少し短くしたもので、これは古くから伝わる典礼聖歌の一部でカトリック教会でミサの時に歌われるもの。ガウディは、不可知論者でも宗教に無関心な人でも、上を向いて空を見上げて、碑文を読もう、祈りを捧げようとすべきだ。と思い、Sanctus を塔の上に並べた。不可知論者とは「人間は神の存在を証明することも反証することもできないと唱える人」のことである。

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【なぜ動植物を石で造ろうとしたか】
ガウディの作品にはいつも動物や植物が掘られている。そして何よりサクラダファミリア全体はまるで森のよう。光が木の葉の隙間から降り注ぐかのように太陽の光がステンドグラスを通って聖堂内へ入ってくる。彼の代表作の1つでもあるカサバトリョの中は海の中、水の世界に入り込んだかのような神秘的な空間になっている。よくガイドブックには「ガウディは自然と建築を融合させたかった」や「ガウディは自然を愛していた」などと書かれているが、本当はそんなに薄っぺらい理由じゃない。ガウディの残した言葉、書き物、エッセイを読んでいくと様々な深い理由が書かれている。確かに一言でまとめるなら「自然と建築の調和」になるかもしれない。しかしガウディはこう言い残している『一度、石を置いてしまうとそこに草が生えることはなくなってしまう。動物たちだってそこにもう生きられなくなってしまうんだ。だから、その命までを奪ってする「建築」は花や動物に対する敬意を忘れてはならないんだ。』私はこの敬意がガウディ建築の根本にあり、その次に神への尊敬、そして自然を愛していた、融合させたかったという理由がくると思う。「人間は神が作ったものを超えてはならない。だからサグラダファミリアが完成した時の高さ (172.5m) はモンジュイックの丘 (180m) より低い。」というガウディの言葉も有名だ。(当時モンジュイックの丘は神の山と言われていた。)

【なぜあんなにも多くの彫刻を周りに…?】
サグラダファミリアの外観には何十もの美しい彫刻作品があるが、その理由を考えたことがあるだろうか。ガウディは宗教に対する市民の興味が時代とともに薄れていくことを予想していた。それを懸念していたため、あれほどまでに美しい建築美を外側にも創り出した。「そうすることで幅広い年齢層の人が色々な場所から訪れて大聖堂を見上げてくれるでしょう?」と。